【Iさん宅(千葉県)】
ご主人と奥さま、8歳の長女の3人家族。ご主人が育った実家と同じ敷地内にあるので、土間を通じてご両親とも頻繁に行き来があるとか。友達が遊びに来やすいこの家は、お嬢さんもお気に入り。
ご主人が生まれ育った実家の隣に、新しい家を建てたい。Iさん一家の家づくりは、そんなところからスタートしました。Iさん一家と隣家のご両親、家と家をゆるやかにつなぐ空間として、玄関に広めの土間が誕生。「初めて図面を見たときは、こんなに広い土間をつくるんだと少しびっくりしましたね」と奥さまは笑いますが、隣家と行き来したり、子どもが遊んだり、ご主人が趣味のスノーボードの道具の手入れをしたりとさまざまな楽しみ方ができる、おおらかで心地よい空間となりました。
土間の床には、施工を担当した工務店からの提案で木片を埋め込みました。あえて墨色に仕上げてあるので、汚れを気にせず、気軽に出入りできます。土間を上がれば長めの廊下と子ども部屋が続くので、お嬢さんの友達にも好評。長い上がりかまちが来客をやさしく迎えます。
1F 玄関・土間
【写真左】スノーボードやテニスなどアクティブな趣味が多いⅠさん一家。玄関の奥には靴のまま入れる扉つきの納戸を設けたので、大きめのアウトドアアイテムなどもすっきりしまえます。
【写真右】玄関前は、自転車置き場とアプローチを兼ねたスペース。大きめの屋根をつけたので、雨の日でも安心。
玄関扉の取っ手は毎日ふれるものなので、木製で手ざわりのいいものをセレクト。扉をあけると目の前に広がる広い土間に、訪れた人はびっくりするとか。かまちが長いので、家族で腰かけて靴を履けます。
1F 土間
【写真左】玄関を入って正面が子ども部屋。お嬢さんは遊びに来た友達と一緒に、土間と部屋を自由に行き来して楽しんでいるそう。
【写真右】工務店のアイディアで生まれた木片入りの土間。「掃除が大変かなと気になりましたが、普段はほうきでさっと掃くだけで、十分きれいになります」と奥さま。
玄関とは別に、隣のご両親の家に向けて大きな引き戸を設置し、ここから行き来しています。軽く声をかけ合ったり、顔をのぞかせるのにちょうどいい距離感。
2F DK
高く仕上げた天井は、板材を張ってやわらかな印象に。ダイニングテーブルがちょうどおさまるコンパクトなスペースですが、広いバルコニーやハイサイドライトで、明るく開放的な空間になりました。
梁と柱を生かし、さりげなく“和”を感じさせるDK。和室まで自然につながり、広々とした空間に。
【写真左】ダイニングテーブルの製作や照明のセレクトも田中さんに依頼。壁面の収納部は上がカウンターになっているので、好きなものをディスプレイできます。
【写真右】壁は珪藻土がメインですが、ダイニング奥の壁だけは樹脂仕上げに。子どもの絵や学校からのお便りなどを、気軽にテープでペタリ。壁全体が楽しいディスプレイボードになりました。
「風通しのいい家がほしい」「広い玄関がほしい」と、Iさん夫妻の希望はとてもシンプル。そんなご夫妻がリクエストしたのが、子どもの絵や作品をテープで貼ることができる壁でした。樹脂で仕上げたリビングの壁は、テープが簡単にはがせるので、学校から持ち帰った絵やプリントなどを気軽に貼ることができます。「なにより、自分の絵を貼ってもらえると子どもがうれしそうですね」と、奥さまもできばえに満足しているそうです。
また、冬はこたつで過ごしたいというIさん一家にとって、畳の部屋は必須のスペース。ダイニングと仕切りなしに続く和室は、みんなでテレビを見たり、ごろ寝をしたり、冬には家族でこたつを囲んだりと、6畳弱の限られたスペースがリビングとしての役割も果たしています。
設計を担当した田中ナオミさんのホームページを初めて見たとき、「こんなおおらかな家をつくるのはどんな人なのか」と興味をもったというIさん夫妻。「こまかい要望は出さず、田中さんにおまかせしました」という言葉どおり、プランニングはスムーズに進んだとか。信頼できるパートナーを見つけたことで、納得のいく家づくりができたようです。
2F キッチン
【写真左】コの字型のカウンターは収納スペースもたっぷりあるので、カウンター上はいつもすっきり。料理をする奥さまとお嬢さんが、カウンター越しに会話を楽しむことも多いそう。
【写真右】「以前住んでいた賃貸物件では植物があまり育たなかったので、バルコニーや庭でグリーンを楽しめるようになったのがうれしい」と奥さま。室内には自慢のサボテンコレクションが。
2F 和室
冬はこたつで過ごすというⅠさん一家。縁なし畳でモダンな和のスペースをつくりました。収納扉も革の取っ手をつけたりとユニーク。ここには主に季節はずれの衣類を収納。
1F 子ども部屋
現在は寝室で家族全員が寝ているので、この子ども部屋はもっぱら遊び部屋。1階の子ども部屋と廊下で子どもたちが遊び、2階では親たちがゆったりお茶を飲むという過ごし方もできます。
2F バルコニー
深い軒がほっと落ち着ける和の雰囲気をつくり出しています。「LDKから見えるので、物干し竿のスタンドはつけたくなかった」と田中さん。普段は折りたたみ式の物干しスタンドを使っています。
1F 廊下
長めの廊下は、お嬢さんと友達の格好の遊び場。この廊下を見ると、子どもたちは走らずにはいられないのだとか。正面のカウンターはポスト口も兼ねていて、家の中から郵便物を受けとれます。
1F 浴室
香りのいいヒノキを壁と天井にふんだんに使ったバスルーム。ハイサイドライトを設け、採光と通風も万全。ヒノキはお手入れも意外と簡単だとか。
1F サニタリー
トイレと洗面室、脱衣室が一体になっています。「掃除がしやすくて気に入っています」と奥さま。シンプルな洗面台は実験用シンク。シンプルかつ大型で、使い勝手も抜群だそう。
2F 洗面コーナー
「小さな子どもがいる家庭では手を洗う機会も多いので、リビング横に洗面台をつけるプランがおすすめ」と田中さん。食事前に手を洗うときも1階の洗面室ではなく、ここでOK。
外観
生垣に囲まれた同じ敷地内にあるご両親の家とのバランスも考え、違和感なくなじむように仕上げた外観。深い軒が和の印象を与え、暮らしを安らかに守ります。
DATA.Iさん宅(千葉県)
設計のPOINT
隣家とも違和感なくなじむ新しい「和の家」をデザイン
田中ナオミアトリエ一級建築士事務所
田中 ナオミさん
ご主人が育った家の隣に位置するので、“和”をイメージしたデザインと、ほどよい距離感でつながる家にしたいと思いました。土間には玄関とは別に、隣家に向けて大きな引き戸を設けたので、ここから気軽に声をかけ合ったり、庭を眺めたりすることができます。また、Ⅰさん夫妻は「木の家にしたい」「ごろりとできる和室がほしい」とリクエストがシンプルかつ明確だったので、住んでからの生活がイメージしやすく、デザインにもプラスαが生まれました。
profile.
女子美術大学造形学科卒業後、藍設計室などを経て、1999年現事務所を設立。家事と仕事と生活と赤ワインが大好き。NPO法人家づくりの会理事。
家族構成 |
夫婦+子ども1人 |
敷地面積 |
170.07㎡(51.45坪) |
建築面積 |
58.74㎡(17.77坪) |
延べ床面積 |
95.88㎡(29.00坪) 1F 50.97㎡ + 2F 44.91㎡ |
構造・工法 |
木造2階建て(軸組み工法) |
工期 |
2006年8月~2007年1月 |
本体工事費 |
約1995万円 |
3.3㎡単価 |
約69万円 |
設計 |
田中ナオミアトリエ一級建築士事務所 TEL: 0426-70-2728 |
施工 |
かしの木建設 TEL: 043-237-1886 |
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