外まわりにもバルコニーにもみずみずしい緑があふれる内田さんのお宅。都心の住宅地にありながら、まるでリゾートのようなさわやかな空気が流れています。 「親子3人と、犬と猫と、たくさんの鉢植えが一緒に引っ越してきました」と笑う奥さま。新居のプランニングにあたっては、暮らしの中に自然が無理なくとけ込むように工夫を凝らしたそう。
「最優先したのは、ダイニング&キッチンを“戸外っぽい空間”にすること。それまで住んでいた家のキッチンが暗くて閉鎖的だったので、今回は明るく、開放的で気持ちのいい場所にしたかったんです」。 ダイニング&キッチンにバルコニーをつなげ、全面を窓にすることで、その願いが形に。丹精しているグリーンも、ますます身近な存在になりました。 同じフロアには、勾配天井のおおらかさを味わえるリビングがひと続きに。どちらも白い塗り壁でまとめ、木部も白くペイントしたことで、明るさと広がりが生まれました。この塗装の作業をはじめ、1階の壁の珪藻土塗り、玄関脇のフリースペースの床張り、玄関ポーチのレンガの敷き込みなどは、すべてご夫妻がみずから手がけたのだそう。「本物の素材を使いたかったので、予算内で理想をかなえるにはこの方法しかなかったんです」と内田さん。そのこだわりと行動力に脱帽!です。
内田さんのHAPPY POINT !
- 長い時間を過ごすキッチンとダイニングをどこよりも心地よく
- 木、石、レンガ、タイルなどの素材は、自然に古びていく本物を使う
2F LDK
【コストダウンIDEA】木部のペイントは水性塗料をDIYで拭きとり仕上げに
2階は間仕切りのないワンルーム空間。バルコニーまで視線が抜けて、実際より広々と感じられます。ダイニングの上にはロフトが。
グリーンを眺めつつ、朝の光を浴びながら食事ができるダイニングは、以前からの憧れ。道路の電線が目立たないよう、バーゴラでさりげなく目隠ししています。
2F バルコニー
オールドローズやイングリッシュローズ、料理に使うハーブなどがずらり。床のウッドタイルは「イケア」のものをDIYで設置。
2F キッチン
【写真左】バルコニーとの一体感と、大理石張りの床のおかげで、イメージしていた“戸外っぽいキッチン”が完成。収納の面材にはラフな質感のラーチ材を使いました。 LDから死角になる場所にパントリーをプラン。食品ストックや調理器具などのほか、来客用の寝具をしまえる棚もつくりました。
【写真右】アイランドカウンターは白い角タイルで仕上げて、大人っぽい印象に。
【コストダウンIDEA】パントリーの入り口には扉をつけず布だけで目隠し
2F リビング
【写真左】リビングの一角はピアノコーナー。背後には本棚を造りつけました。
【写真右】天井の勾配は斜線制限によるもの。それがかえってのびやかな印象を与えています。無垢のパイン材の床と珪藻土の壁からも心地よさが伝わって。
ロフト
LDのはしごの上には、おもちゃでいっぱいのプレイスペースが。キッチン側がオープンになっているので、声も気配も届きます。
1F トイレ
【コストダウンIDEA】トイレは家全体で1カ所だけに。設備費と工事費をカット
階段下を生かしたトイレ。右奥には愛猫のトイレが置いてあり、専用の出入り口(!)も設けてあります。壁の仕上げはDIYで。
1F 子ども部屋
【コストダウンIDEA】1階の壁はすべてDIYで珪藻土を左官仕上げに
陽大くんの部屋。今は宿題などはダイニングでしています。水色の壁には、珪藻土の上からペイントできる塗料を使いました。
1F フリースペース・玄関ホール
奥さまの好きなものを集めたアトリエのような空間。ガーデニング用品も気兼ねなく置けるよう、床を古材とタイルで仕上げました。
【コストダウンIDEA】古材とタイルは入居してからご主人がDIY
フリースペースのディスプレイを満喫できる玄関。たたきのタイルはヨーロッパの古城で使われていたという「オールドシャンボール」。
1F 洗面室・浴室
【写真左】洗面台も素材感にこだわって、角タイル+ステンレスのバーのみに。ボウルと水栓金具は「セラトレーディング」のものを施主支給。
【写真右】「ユニットバスの質感が好きではないので」、在来工法にこだわったバスルーム。真っ白いタイルと大理石から清潔感が伝わります。
外観
【コストダウンIDEA】フェンスなどの外構工事を省き植栽を楽しむホームセンターで好みのレンガを購入してDIY
【写真左】木製のバーゴラとフラワーボックスがぬくもりを添える、シンプルな外観。「これから外壁につたを這わせる予定です」
【写真右】グリーンに包まれたエントランス。アプローチのレンガは古びた表情のアンティークをセレクトしました。
設計のPOINT
プランボックス一級建築士事務所 小山 和子さん
1955年広島県生まれ。女子美術大学芸術学部卒業。87年に小山一級建築士事務所、95年に湧井さんと共同で現事務所を設立。施主のこだわりを形にする家づくりを進めている。
湧井 辰夫さん
1951年東京都生まれ。工学院大学専修学校建築家卒業。95年に小山さんと共同で現事務所を設立。「ものづくり」にこだわり、現場でのアドリブ感を大切に設計活動を続けている。
内田さん宅の敷地は、住宅密集地にある角地。北側斜線制限と道路斜線制限が両方かかっていたため、斜線に沿ってギリギリまで天井を上げ、2階フロアの開放感を高めました。一方、1階は主に夜休むだけのフロアと考えて、天井高は抑えめに。ゲストの目にふれないことから、内装も自主施工にしてコストダウンに役立てました。
内田さんは素材やプランの好みが明確で、優先順位のつけ方にも迷いがなく、予算内でこだわりを凝縮させた住まいになったと思います。
DATA 内田さん宅(東京都)
長男の陽大(はると)くん(7歳)、ミニチュアダックスフントのプリン、黒猫のムギと。
家族構成 |
夫婦+子ども1人+犬+猫 |
敷地面積 |
69.91㎡(21.15坪) |
建築面積 |
41.93㎡(12.68坪) |
延べ床面積 |
81.35㎡(24.61坪) 1F46.57㎡+2F34.78㎡ |
構造・工法 |
木造2階建て(軸組み工法) |
工期 |
2013年10月~2014年4月 |
本体工事費 |
約1949万円 |
3.3㎡単価 |
約79万円 |
設計 |
プランボックス一級建築士事務所(小山和子、湧井辰夫) TEL 03-5452-1099 |
施工 |
河端建設㈱ TEL 03-3926-1111 |
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