【安達さん宅(神奈川県)】
陶芸やソーイングなど多彩な趣味をもつ、奥さまの薫さん。この家に暮らすようになってから毎朝5㎞のランニングを欠かさないというご主人と、10歳のお嬢さんとの3人暮らし。
あこがれたのは、海沿いに昔から佇んでいるような家
「遊びに来てくれた友達から、薫の理想どおりの家ができたねって言われます」と、うれしそうに話す安達さん。海沿いの街に昔から立っているような家に暮らすのがあこがれだったといいます。
以前は、結婚してまもなく購入した建売り住宅に暮らしていた安達さん。
「当時は住みたい家のイメージもあまりないまま購入してしまい、何年か暮らしているうちに、何か違う感じがしてきて……。そこでやっと自分たちの求めるものと向き合って、本物の素材やアンティークのような味わいのあるものが好きなんだとわかりました」
子どもの健康のために環境のいい土地に移ることも考えていたので、思いきって理想の家を建てようということに。当時暮らしていた東京の家を売却し、あこがれの海沿いの街に賃貸マンションを借り、腰を据えて土地探しと家づくりをスタートさせました。
そんな安達さんが家づくりのパートナーに選んだのは「サラズ」。「住宅雑誌でいいなと思う家はみんなサラズさんの家だったので、迷わず相談にうかがいました。アンティークは好きだけれど、全部古いものではなく、ほどよくとり入れたいという絶妙なバランスや好みもよく理解してくださって、イメージどおりの家ができました」
快適に暮らせるように設備や居住性にはこだわりながら、イギリスのアンティークドア、ベルギーの200年以上前のレンガ、古材の梁などアンティーク部材をアクセントにとり入れ、新築なのに時の重なりを感じさせる、理想の家が完成しました。
1F キッチン
【Point】ヨーロッパの古い家から放出された古材を梁に。“設備”感のあるレンジフードはしっくいでカバー。経年変化で味わいが増すテラコッタタイル。(写真左)
【写真左】マットに仕上げたアイボリーのペイントとモザイクタイルの組み合わせが懐かしさを感じさせるキッチン。ガスコンロは、レトロなデザインの「ロジェール」をセレクト。
【写真右】白を基調とした清潔感のあるキッチン。飾り棚やアイランドカウンターのアクセントに古材を使い、ユーズド感を添えました。
【Point】モザイクタイルの天板でレトロ感をプラス。カウンターの飾り棚に古材をアクセント使い。
1F リビング
本物の質感とディテールへのこだわりで洗練されたユーズドスタイル
吹き抜けから心地よい光が降り注ぐリビング。味わいのある白い梁と、シンプルなデザインながらクラフト感のある「鐵音工房」のペレットストーブが、空間の質感をぐっと高めています。
【Point】クラシカルでおおらかさのある幅広のパイン材フローリング
リビングとキッチンの間のたれ壁は丸みをつけて、ヨーロッパの古い田舎家を思わせるデザインに。フローリングの幅や壁のディテールのあしらいもユーズド感のポイント。
【Point】エイジング加工の白い梁が洗練された味わい(写真2)。色をミックスさせて年月を重ねた風合いをつけたしっくい壁。(写真1)
しっくいの壁とパイン材の床で仕上げたシンプル&ナチュラルなリビング。エイジング加工を施した梁を白くペイントしたことで、野暮ったさを抑え、洗練されたカントリースタイルに。
1F アトリエ
【Point】ヨーロッパの石畳のような大理石の床
DK脇に設けた、陶芸やソーイングをするアトリエ。粘土や水を使うので、床は石敷きに。「石の床にしたことでコンサバトリーのような心地よい空間に。いちばん好きな場所です」
【Point】田舎家のよろい戸のようなシャビーな仕上げに
【Point】フランス直送の古材を渡したアトリエのデスク
1F トイレ
【Point】フランスのアンティークドアと古いかんぬき錠
トイレのドアはアンティークに。壊れていた鍵をとりはずし、古いかんぬき錠を組み合わせるこだわりで、「玄関から入ってすぐの場所なので、おトイレっぽく見えなくて大正解です」
1F バスルーム
浴室・洗面室一体型の、開放感のあるバスルーム。キッチンと同じモザイクタイルを使って、クリーン&シンプルななかにレトロテイストをほどよくとり入れました。
2F 子ども部屋
将来2部屋に仕切ることもできるように、ドアを2つつけた子ども部屋。バルコニーへのドアをパープルにペイントしてパリテイストに。
ままごとキッチンもアイボリーのペイントでノスタルジックな雰囲気に。「子どももアンティーク好きになってくれるといいのですが、今はキャラクターものに夢中です(笑)」
外観
【Point】ベルギーで 200年以上前に使われていたレンガ
しっくいで塗り上げた外観。「室内で見ると雰囲気が違うからと、上棟式に塗り色のサンプルをお持ちいただいて、外観もイメージどおりに仕上げることができました」
【Point】窯を解体した古レンガ。 刻まれた数字もおしゃれ
依頼前に知っておきたい! ユーズド感を出すポイント
ユーズド感を出すための素材選びやとり入れ方など、見た目からはわからない大切なポイントを現場のプロに聞いてみました。打ち合わせでよく聞かれるという質問も参考になります。
古材はコストが高いのでポイント使いがおすすめ
床を古材のフローリングにするとユーズド感はぐっと高まりますが、古材は値段が高いので、面積の多い床材に使うとコストがアップしてしまいます。コストを抑えながらユーズド感を出すには、梁や棚板、窓の下台など内装のアクセントになる部分に古材を使うのがおすすめ。古材のボリュームを多くするとぬくもりのある雰囲気に、少ないとほどよいユーズド感が楽しめます。
エイジング加工は、ディテールにこだわらないと安っぽくなるので要注意!
木材の加工やペイントで、年月を重ねた風合いに見せるエイジング加工。ユーズド感を演出するのに欠かせないテクニックですが、ディテールにこだわらないと安っぽく仕上がってしまいます。ドアノブやハンドルは、よくさわる部分のペイントがはげたように、木部の傷や丸みは、実際の暮らしで傷がつきやすい場所を想定して、時の重なりを感じさせるように仕上げます。
欧米のアンティークドアはサイズが大きめ。設計者と相談してから購入して
ヨーロッパやアメリカのドアは大きいので、せっかく気に入ったデザインのものがあっても寸法が合わなくて使えなかったり、そのために間取りを変更しなくてはならないことも。デザインによってはサイズを小さくすることもできますが、プロポーションが変わるので、イメージの違うものになってしまう場合も。アンティークのドアを使いたい場所が決まっている場合は、どれくらいのサイズのものが使えるのか、事前に設計者と相談しておくとよいでしょう。
今っぽさが出てしまう設備機器や電化製品は、なるべく見えないように
レンジフードや空調設備、冷蔵庫などの大型電化製品は、快適な暮らしのために欠かせません。でも機能優先のデザインで、素材もプラスチックや磨き上げたステンレスなど、ユーズドインテリアになじまないものが多く、そのままだと“悪目立ち”してしまいます。目立たない場所に配置できるようにあらかじめ間取りを検討したり、木製カバーで目隠しをする、レンジフードは壁と同じしっくいや珪藻土で仕上げるなど、イメージを損なわないように工夫しましょう。
よくあるQ&A
Q. アンティーク部材の虫食い穴が気になるのですがそのまま使っても大丈夫?
A.「気分的になんとなく気持ち悪い」というのはよくわかりますが、ずっと昔の古い虫食い穴なので、虫が生きているということはないので安心してください。また、虫食いの穴が構造などに影響することもありません。
Q. アンティークレンガは室内でも屋外でも使えるの?
A. 室内でも屋外でも使えますが、古いレンガは凍結したときに割れることがあるので、寒冷地で屋外に使う場合はその点を考慮しておきましょう。玄関アプローチに敷き詰める場合、割れ(クラッシュ)もいい味わいになります
Q. アンティークの照明器具はそのまま使えるの?
A. アンティークショップで販売しているものは修理ずみなので、そのまま使用できますが、器具の劣化による漏電などが心配な場合は、シェードだけ生かす方法も。アンティークガラスは味わいがあるので雰囲気がアップします。
DATA.安達さん宅(神奈川県)
設計のPOINT
素材感にこだわって明るく快適に
㈱Sala’s(サラズ)
伊賀 千恵さん
質感を大事にされていたので、古いものをポイントに使いながら、本物の素材感を生かしました。南北に長い敷地でしたので、光がたくさん入るように、こまかく仕切らず、たれ壁やそで壁で適度にゾーニングしました。
profile.
ヨーロッパのカントリースタイルをモチーフに、質感とディテールにこだわった家づくりを提案するハウスビルダー。施主の思いをいっぱい詰め込んだプランニングに定評あり。
家族構成 |
夫婦+子ども1人 |
敷地面積 |
156.20㎡(47.25坪) |
建築面積 |
62.50㎡(18.91坪) |
延べ床面積 |
105.38㎡(31.88坪) 1F 60.31㎡ + 2F 45.07㎡ |
構造・工法 |
木造2階建て(枠組み壁工法) |
工期 |
2009年8月~2010年1月 |
設計・施工監理 |
㈱Sala's(Home Sala) TEL: 086-250-3800 |
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