床材に張るフローリングやタイル、壁紙やしっくい、珪藻土など内装に使う素材は、インテリアのベースになる大切な要素です。
好みのインテリアスタイルを実現し、居心地のよい空間をつくるには、内装材の選び方とコーディネートがポイントになります。
内装材は床材から決める
室内での面積が大きく、インテリア全体のベースとなるのが、壁や天井、床です。特に床は、一度施工すると、はがして張りかえるのに手間がかかり、重ね張りをすると建具の高さが合わなくなるなど、簡単にリフォームしにくい部分。
また、壁面に比べて工事の規模も大きくなりがちでコストもかさみます。まず、床材を慎重に検討し、飽きのこない色や素材のものを選び、壁面や室内木部などを合わせていくとよいでしょう。
床材を選ぶポイント
床材を選ぶポイントは、
- 質感や色などのインテリア性
- 使用頻度に合わせた耐久性
- 使用目的を考えたメンテナンス性
の3点。
床材は白っぽい、明るい色にすると部屋が開放的な印象になり、広く見える効果があります。その場合でも、壁より濃度をもたせた色にするほうが落ち着きます。
水回り以外の床材は、家全体を通して揃えることが多いですが、コストダウンのためには、来客の多いリビングダイニングのある階はグレードの高いものにして、寝室などの部屋は手頃なものにするという手もあります。
玄関や水回りは掃除のしやすいものにすると手間がかかりません。玄関のたたきには耐久性の高いタイルがよく使われますが、廊下やホールも同様にすると広がりが生まれます。
水回りの床は水分に強く、滑りにくいことも重要です。
床材の種類
単層フローリング
単層フローリングとは、天然木をそのまま加工した、いわゆる無垢材のこと。複合タイプよりは価格は高めですが、無垢材ならではの自然な風合いと素足で歩いた時の肌触りの良さは格別。断熱性や調湿性が魅力で、削り直しも可能です。
一方で、色むらや木目のバラつきも多く、パイン材などのやわらかい樹種のものは傷がつきやすいという短所もあります。湿度の変化で伸縮する性質もあるため、反りや狂いが生じることも。
このため施工に手間がかかり、定期的にワックスがけなどのメンテナンスが必要となります。
複合フローリング
複合フローリングとは、基材となる合板の表面に天然木を薄くスライスした突き板を張ったタイプ。
突き板が厚いものほど価格は高めですが、耐久性もアップ。仕上げの塗装や基材の種類により、強度を高めたものや耐水性をもたせたもの、滑りにくいものなど、さまざまな性能を備えたものがあります。
色みや価格のバリエーションも豊富で、床暖房対応の商品も多く販売されています。
その他の床材
床材にはほかに、ビニール素材でお手入れが簡単なクッションフロアやプラスチックタイル、石材やテラコッタタイル、畳、天然素材を原料としたコルクやココヤシなどがあります。
なかでも天然素材の床材は、その心地いい質感が魅力。調湿性や断熱性などのすぐれた機能を備えた内装材として、最近人気です。
壁材の選び方
内装に使われる壁材を大きく分けると、壁紙(クロス)、塗り壁、木、タイルや石などがありますが、現在多く使われているのが壁紙です。
壁紙(クロス)
壁紙の代表格はビニールクロスでと呼ばれる塩化ビニル製の壁紙で、織物調や和紙調、自然素材調や塗り壁調のものなど、さまざまなタイプがあります。
色やデザインが豊富で、メンテナンスが簡単。汚れや傷に強いタイプや脱臭作用があるものなど、機能的な商品もふえています。
また、最近は輸入品を中心に紙製のクロスも人気。ケナフやコットンなどの植物を原料とした壁紙も続々と登場し、森林資源保護の面からも注目されています。
塗り壁
塗り壁材は、住宅の高気密化や健康志向などの影響もあって、かつて日本家屋の壁に多く使われてきたしっくいが見直されています。
消石灰に糊、わらすさなどを練り合わせたもので、耐火性や保温性、耐久性などにすぐれています。自然の調湿作用があるため、結露が抑えられ、カビが発生しにくいという長所も。
また、消臭機能が高い珪藻土も人気の自然素材。植物プランクトンのケイ藻などが堆積したものが主原料で、調湿性や遮音性、断熱性などがあり、内装だけでなく外装にも利用されています。
自然素材か新建材どちらが合うか
内装材は、自然素材と新建材に大きくわけられます。無垢のフローリングやしっくい、珪藻土の壁材などに代表されるのが自然素材の内装。
一方、新建材とは、ビニールクロスや複合フローリングなどです。大量生産ができて工期も短いため、コストダウンがはかれる新建材は、手入れがラクな点も歓迎されてきました。
しかし最近は、そうした点では新建材に劣るものの、自然素材が見直されてきています。
傷ついて色あせたり、古びれたりはしますが、素材のもつあたたかみや質感、時とともに増すツヤや傷そのものを味わい深く感じるという人も増えています。
新建材は、最初の美しさを比較的ラクに長く保てますが、いったん傷ついて古くなれば、新品と比べて見劣りがします。ただ、5〜10年で内装をかえる必要がある場合は、コストの安いものが選べる点で魅力です。
このように自然素材と新建材は一長一短。たとえば子どもが小さい場合、壁はビニールクロスや塗装にすれば、リフォームしやすいので落書きされても気楽。
成長に合わせて色柄を変えても。リビングだけ雰囲気のある珪藻土にするのも手です。
部屋別の内装材セレクトガイド
部屋 |
壁材 |
選択のポイント |
床材 |
選択のポイント |
リビング・ダイニング |
クロス、左官・吹きつけ材、木質系 |
暮らしの中心となるスペースなので、集中してコストをかけるのも効果あり。好みを反映させつつ、落ち着ける色や素材に。 |
フローリング、カーペット、天然繊維、コルク、リノリウム |
フローリングが一般的。幼児やペットのいる家庭では、遮音性や歩行性、手入れのしやすさでコルクやリノリウムもおすすめ。 |
寝室・子ども部屋 |
クロス、木質系 |
寝室は安眠できる色や素材に。子ども部屋は年齢や好みに合わせて。結露しやすい北側の部屋は調湿性の高い素材を選んでも。 |
フローリング、カーペット、コルク |
2階なら、フローリングは必要に応じて防音タイプに。カーペットやコルクにすれば、吸音性のほか、保湿性、歩行感のよさもクリア。 |
和室 |
クロス、左官・吹きつけ材、木質系 |
「じゅらく」などの左官壁のほか、塗り壁風、和紙調のクロスが一般的。リビング脇なら、同じクロスで統一しても。 |
畳 |
最近は畳表や縁に色柄のバリエーションがあるので、選択肢は豊富。琉球畳はやや割高だが、モダンな雰囲気に合うので人気。 |
キッチン |
クロス、タイル、左官・吹きつけ材、石 |
シンクやコンロまわりは、耐水性や耐火性、清掃性のよさからタイルやステンレスなどが一般的。珪藻土やレンガも。 |
フローリング、コルク、リノリウム、クッションフロア、Pタイル |
耐水性や清掃性、歩行感のよいものに。おしゃれなタイル硬く、冬場は冷えるが、床暖房にするには適している。 |
洗面室・トイレ |
クロス、石、タイル |
水ハネしやすい洗面台まわりをクロスにするなら、耐水性があり、拭き掃除しやすいものに。 |
フローリング、タイル、石、天然繊維、クッションフロア、Pタイル |
水や洗剤がかかりやすいので、耐水性や耐薬品性があり、掃除のしやすいものがベスト。 |
玄関・ホール |
クロス、左官・吹きつけ材、石、タイル、木質系 |
家族や来客を迎える場所なので、上品さと個性を大切に。
|
タイル、石、フローリング |
土足で使うたたきは、汚れが目立ちにくく、洗い流せる素材に。ポーチとたたき、ホールを同じタイルで統一すると広がりが。 |
内装はめざすテイスト決めが重要
壁や床などと同様に、建築段階から決めておくものでインテリアの重要な要素になるのが、幅木やカウンターなどの木部、室内ドアや収納扉などの建具、キッチンなどの設備機器です。
さらに竣工後、家具やカーテン、照明器具などを加えてはじめて、インテリアは完成します。これらの色使いやデザインがトータルに調和していると、センスよく感じられます。
テイストやスタイルは「住宅のインテリアコーディネートは内装から!役立つ内装デザインの基本」を参考にしてください。
内装で凝るよりも家具で演出
マイホームの実現となると、好きなテイストに合わせて細部にまで力が入るのも当然です。
しかし、もし「絶対にこれがいい!」というこだわりがないのであれば、内装はできるだけシンプル&ベーシックにして、カーテンや家具、雑貨で楽しむのもありです。コストを抑えられ、メンテナンスもラクです。
万人に受けやすいシンプルな内装ならば、中古で転売する際の市場価値が高まるというメリットもあります。
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