阪神・淡路大震災や東日本大震災以来、住まいの耐震性に注目が集まり、各ハウスメーカーも競って耐震性の研究を進めています。
家は大切な財産。何かあってから後悔しないように、プランニングはもちろん、耐震性についても万全を心がけたいものです。
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住宅の耐震性を高めるポイント
土地の選び方
まず、敷地がしっかりした地盤であることが重要です。軟弱な地盤はできるだけ避けるのがベターですが、もしそこに家を建てる場合は、地盤改良や入念な基礎工事を行うことで耐震性を高めることができます。
建物をシンプルなつくりに
建物そのものがしっかりしたつくりであることが大切です。バランスのとれたシンプルな形であり、耐震壁がバランスよく配置されていると、耐震性はよりアップします。
逆に複雑な形であったり、凹凸の多い家は、耐震性をきちんと計算したうえで慎重に設計・施工を行わなければなりません。
耐震技術は日々進歩しており、常に新しい技術が開発されています。よく説明をしてもらったうえで、納得の行く選択をしましょう。
耐震性を高めるための土地選び
建物の耐震性を高める前にもっとも重要なことは、しっかりとした地盤の土地を選ぶことです。地盤が良くても液状化の恐れがあるところもあるので、注意が必要です。
見分け方の確かな方法は地盤調査ですが、土地購入前に調査できない場合も多いので、まずは役所などで地盤や液状化などの近隣データをチェックしましょう。
「土を盛った盛土は軟弱だが土地を削った切土は安全」とか、「◯◯台という地名なら安全」などの見方は不確かで危険です。建築前に必ず地盤調査を行いましょう。
造成地は軟弱地盤のおそれがある
土地探しで注意したいのが、造成したばかりの土地。もとの地形が推測できないため、一見、大丈夫そうに見えても地盤に問題があるケースが多いのです。
特に、高台に盛り土をした造成地は要注意。切り土(もとからの地盤)と盛り土が混合した地盤が生まれてしまうことがあるからです。
切り土は地盤が比較的丈夫なことが多いですが、擁壁で止めている盛り土は崩落や沈下のおそれもあります。
また建物が切り土と盛り土の両方にまたがっていると、不同沈下(土地の一部が沈んでしまう現象)が起こることもあるので注意が必要です。
たとえば、平成16年の新潟県中越大震災では住宅被害は造成地に集中しており、残念ながらその危うさが露呈したといえます。
信頼のおける業者に相談したうえで、入念な補強工事や地盤改良をすることをおすすめします。
水の近くの土地は注意が必要
造成地のほかに気をつけたいのが、川のそばや、田んぼや畑だった土地。軟弱な地盤であることが多く、地盤改良で追加費用が必要になることもあります。
「沼」「谷」「川」など水にまつわる地名の土地は注意したほうがいいでしょう。
土地の基礎工事と地盤補強
基礎工事
一般的な基礎の種類には、「ベタ基礎」と「布基礎」があります。
一戸建ての基礎部分には、布基礎と呼ばれる工法を採用するのが一般的ですが、軟弱な地盤の場合、より耐震性に優れたベタ基礎をおすすめします。
このベタ基礎は、地面からの湿気をシャットアウトするうえ、不同沈下を防ぐというメリットがあります。阪神・淡路大震災以来、ベタ基礎を採用するケースが増えているようです。
地盤補強
軟弱な地盤、硬い地盤が深いところにある場合は、地盤やその深さに合わせて改良工事が必要になります。
その場合、追加費用は100万〜200万円ほど必要になります。
地盤調査を請け負うボーリング会社とは
安心して住むことができる家を建てるためには、先述の通り土地選びはとても重要なポイントです。
ただし、土地を見ただけで地盤の状態を知ることは不可能です。購入してから後悔するのを避けるためには、地盤についてしっかり調査したうえで、その地盤にあった基礎や工法を選ぶ必要があります。
地盤について調べたい場合は、役所で近隣のボーリングデータをもらい、担当設計者に見てもらうことができます。
また昔から住んでいる人に話を聞いたり、古地図を調べて、昔の状態を知ることも大切。さらに、専門のボーリング会社(地盤調査会社)に調査を依頼することもできます。
地盤調査の費用は会社によってさまざまですが、できれば2〜3社に依頼し、結果を比較検討するのがベター。第三者に調査してもらうことで、客観的な調査結果を得ることができます。
耐震・免震・制震の特徴を理解する
家を建てる際、地震に対しては長い間「耐震」という考え方が主流でした。「耐震」とは、柱や梁を太くしたり、筋かいを入れることで建物を強固にし、揺れに耐えられるつくりにしたものです。
現在の建築基準法の耐震基準に基づいて建てられた家であれば、中程度の地震でも損害を極めて小さく抑えることができるといわれています。
しかし地震のエネルギーが建物にそのまま伝わり、建物全体で揺れを受け止めるため、全壊はしないまでも損傷を受ける危険性は高く、また、揺れによって家具が転倒し、住人がケガを負うこともあります。
近年、耐震性に対する考え方が進歩して、地盤の揺れそのものを建物に伝わらないようにする「免震」という考え方が登場しました。
この「免震」方式では、建物と地盤の間に免震装置を組み込み、地震の揺れをそこでシャットアウトします。揺れが建物に伝わらないため、家具などが倒れにくく、被害を最少に抑えることが可能。
平成16年に一戸建て住宅向けの免震システムが次々に登場して以来、この「免震」の考え方はかなりのスピードで普及しています。
ただこの「免震」方式にもデメリットがあります。コストが高く、工期も長くなります。また、地盤の制約があり、プランによっては採用できないケースもあります。
そこで、「耐震」と「免震」の中間の考え方として「制震」が登場しました。柱や梁に粘りのあるダンパーを入れ、そこで自身のエネルギーを吸収して建物の揺れを制御します。
地震が起こっても損傷はダンパーに集中するため、地震後の回収コストも抑えられます。
耐震・免震・制震のメリット・デメリット
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メリット |
デメリット |
耐震 |
・コストが抑えられる |
・地震エネルギーが建物にそのまま伝わるため、外装・内装の損傷や、家具の転倒などのおそれがある。 |
免震 |
・揺れが低減されるため、家具の転倒や破損、建物の損傷が少なくなる |
・ コストがかかる
・ 地盤によっては対応できないケースがある
・ 工期が長い
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制震 |
・ コストが抑えられる
・ どんな地盤にも対応できる
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・免震に比べて揺れは低減されない |
耐震性と建築工法
木造住宅には、大きく分けて軸組み工法と枠組工法があります。どちらも柱と梁だけでは持たないので、筋かいや面材を入れた耐震壁をバランスよく配します。
一昔前までは2×4に代表される枠組み工法のほうが地震に強いともいわれていましたが、現在は各工法で基準を満たせばどちらが強いとはいえないほど技術が進歩しました。
十分に乾燥させた強度の高い木材を使用し、耐震等級の基準を満たせば木造でも必要な耐震性が得られるので、鉄骨造やRC造のほうが地震に強いとも限りません。
木造軸組み工法の耐震性を上げる方法
木造軸組み工法は日本に古くから伝わる建築方法で、在来工法とも呼ばれています。間取りの自由度が高いというメリットの半面、地震や風などの水平方向の力に弱いというデメリットがあります。
木造軸組み工法による建物の耐震性を上げるためには、いくつかの方法が考えられます。
まず適切な箇所に筋かいを入れることで、建物そのものの強度をアップ。
また、補強金物で土台や柱を基礎に固定することで、建物が持ち上がるのを防ぎます。
さらに、コーナーに火打ちと呼ばれる補強を行うことで、地震によるねじれやゆがみを防止することができます。
耐震性の高いプランにして構造計算を
大きな吹き抜けは、開放的で気持ちがいい空間になりますが、家の強度や耐震性の面からは不安材料となることも。
また、木造3階建てでビルトインガレージをつくるケースではとくに、耐力壁を適切に配置するなど、耐震性を考慮したプランニングが必要です。
ついついデザインを優先しがちですが、なるべく正方形に近くて、内部にしっかり壁が入って・・・という家が地震に強いことは知っておきましょう。
極端に細長だったり、L字などの変形の家、吹き抜けやビルトインガレージが大きい家などは、たとえ建築基準法で構造計算が義務付けられていない2階建てでも、構造計算をしたほうが安心です。
ところで、耐震性の高い設計をしても施工がいい加減では元も子もありません。図面通り施工しているかを現場でチェックする人がいるかどうか、設計者や施工業者に確認を。
なるべく建て主自ら足を運び、骨組みの段階で見て、いろいろ質問してみましょう。
建築基準法はあくまでも目安に
建築基準法では、耐震性を高めるための基準が定められています。この基準を守って家を建てれば、大地震が起きても家は全壊しないといわれていますが、かなりダメージを受ける危険性は残ります。場合によっては住み続けることができなくなるかもしれません。
もし大地震が起こっても住み続けられるような家にするには、免震システムを設置したり、壁量をふやすなど、基準以上の耐震性を備えた家づくりが必要です。
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