新型コロナウィルスをはじめ、目まぐるしく変わる世界の状況。価値観も国や人それぞれで、教科書やマニュアル、「今まで通り」が通用しないことも多い、今の時代。
子どもたちが悩みを抱えたときには、状況に応じて、自分自身で深く考えて答えを導くことが大切になってきます。そんな「考える力」を身につけるのに最適なのが、“哲学”です!
どんなことにも、まず「疑問」を持つこと
「深く考える力」は大人になってからでは、なかなか身につきません。子どもの頃から習慣化することが重要です。先ごろ出版された『子どもテツガク』の著者・哲学者の小川仁志さんは、まず「疑問」を持つことが大切だと語ります。
「また、『こうじゃないかな?』『やっぱりあっちかな?』など、さまざまな視点で見てまとめていくことが『深く考えること』です 。
逆に、浅くしか考えられない人は、インターネットやSNSで発信される情報を鵜呑みにしてしまう。人の言ったことをそのまま受け止め、そこから問いを深めようとしないんです。深く考える力を持っている人は、人生を主体的に生きられるようになりますよ」
ここでは、『子どもテツガク』より、子どもから発せられる素朴な質問と、それに対する小川さんのアドバイスをご紹介しましょう。
どうしていじめるの?
「この問いで私が言いたいのは、いじめっ子も、いじめられっ子も、傍観者も同じ目をもっているということです。誰もがイライラする存在であり、それが表に出てしまうのがいじめっ子。その時いじめられっ子でも、次にいじめっ子になることだってあります。傍観者はどっちにもなりえます。
これはいじめっ子への問いではなく、みんなどの立場にもなりえることを考え、当事者意識を持ってもらうために、ぜひ一人ひとりに考えてほしいですね」
なぜ涙が出るの?
「涙を流すと、目の前に涙のフィルターがかかって、世界がぼんやりしますよね。これって、もしかしたら、本当の世界がわざとぼんやり見えるようになのかもしれない。悲しいときは世界をちゃんと見たくないし、うれしい時はちゃんと見たいけど、ぼんやりしたほうがきれいに見えることもあります。
それに、涙って心を満たしている液体なのかも。悲しいときは、誰かに無理やり心をギュッとにぎられるような、うれしい時は心をギュッと抱きしめられるような。心が絞られて涙が出るのかもしれません。
悲しい時もうれしい時も、たくさん泣くと心がすっきりする。その時は、もう心を満たしている液体はなくなっているんです。ときどき泣いて、心をすっきりさせることも大切です」
『子どもテツガク』って?
『子どもテツガク』の中に書かれているのは、「答え」ではなく、86の「問い」。書かれている小川先生の意見をもとに、「自分なら……」と考えられる一冊です。
いろんな視点で捉えることは、哲学の大事なプロセス。ほかにも、学校では教えてくれない「なぜ」が、可愛いイラストとともにたくさん掲載されています。
たくさんの「なぜ」は大人も考えさせられるものばかり。この本をきっかけに、親子で一緒に会話をしながら、考えてみませんか?
イラスト/林ユミ
文/暮らしニスタ編集部