毎年2月~3月は確定申告のシーズン。
最近は主婦が収入を得る方法もさまざまなパターンがあり、“働いている”という感覚ではなくても、実は確定申告が必要というケースも結構あるんです。
そう、もはや、「確定申告は主婦には関係ない」とは言えない時代。
というわけで、迷いがちな確定申告のポイントをファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんに教えていただきました。さらに家計が得する確定申告のコツも伝授しちゃいます!
そもそも確定申告ってどんな人が行うの?
「確定申告」とは、1年間の収入を確定させて申告すること。その申告によって、翌年支払うべき税金の金額が決まります。
基本的には1円でも収入を得ている人はどんな人でも行う必要があります。
ただし、会社員や公務員、パート、アルバイトなど、勤務先から給与をもらっている“給与所得者”は、勤務先が代行してくれるため、自分ではやらなくて済みます。
が、例外もあり、給与所得者でも、年収が2千万円を超える人、2カ所以上から給料をもらっている人、副業の所得(収入から経費を引いた金額)が20万円を超える人などは確定申告が必要です。
フリーランサーや自営業者など給与所得者ではない場合は、自分で確定申告をしなくてはいけません。
収入を得ていない専業主婦であれば、確定申告は必要ありません。
確定申告の必要あり?なし?主婦の迷いがちなケースを判定!
「収入を得る」と一言でいっても様々なパターンがあり、確定申告が必要なのかイマイチ分からない…という人もいるのでは?
迷いがちなケースを【確定申告の必要あり】【確定申告の必要なし】に分けて解説。さっそくチェックしてみましょう!
【確定申告の必要あり】
① パートやアルバイトを掛け持ちしている
パートやアルバイトなど、勤務先から給料をもらっている人は勤務先が確定申告を代行していると述べましたが、それは勤務先が1つの場合。もし2つ以上掛け持ちして、給与をもらっていれば、金額にかかわらず確定申告が必要です。
② 在宅ワーク、内職などをしている場合
最近は、さまざまな種類の在宅ワークや内職があり、おこづかい稼ぎでちょっとだけやってみた、なんてケースもあるのでは?
基本的には、1円でも収入があれば確定申告をする必要があるので、在宅ワークや内職の種類、得た金額にかかわらず、確定申告を行なうのがルール。
③ サロンや教室を開催し、謝礼をもらっている場合
料理やハンドメイドなど自分が得意なことで教室を開いている人もいるでしょう。自宅でこじんまり行っているとしても、もし会費や月謝などをもらっているなら、それは収入。金額に関わらず基本的には確定申告が必要となります。
④ サイトなどで手作り品を販売している場合
アクセサリーや布小物、クラフトなどを販売できるサイトも多いですよね。そういったサイトやフリマアプリなどで自分の作ったものを販売している場合、趣味の延長だとしても、1円でも売り上げがあれば収入となるので基本的には確定申告が必要です。
⑤ ブログ収入がある場合
ブログを書くことで何らかの報酬を得ている場合も、在宅ワークと同様、確定申告が必要です。
というわけで、どんなパターンでも、1円でも収入があれば、基本的には確定申告が必要なのです。
風呂内さん’S ポイント
②~⑤で、在宅ワークや内職をはじめ、教室を開いたり、手作り品を販売するのに、企業(運営サイト)を通して行うパターンも多いですよね。
報酬を企業からもらっている場合は、振り込み時に、手数料や所得税の分を源泉徴収されていることもあります。
所得税が源泉徴収されているケースでは、経費などをしっかり計算して確定申告をすれば払いすぎた分が戻ることもあります。
一方、対個人で報酬を受け取った場合は、源泉徴収されていないので、確定申告をして納税をすることになるかも。
経費を引いたら赤字になっちゃったという場合、実際には納税する分がないとしても、確定申告は必要です。
青色申告の場合は赤字を繰り越すことができるため、ゆくゆくは黒字化した時などでは、ちゃんと赤字を申告しておくことで、むしろ税額が少なくなるケースもあります。
もし給与所得者が副業として②~⑤のようなケースで収入を得た場合はちょっと異なり、副業の所得(収入から経費を引いた金額)が20万円以下なら確定申告をしなくてもよいことになっています。
つまり、例えばパートをしている人が、所得20万円以下のハンドメイド収入がある場合は確定申告は不要です。
【確定申告の必要なし】
フリマアプリなどで不用品を売った収入がある場合
身の回りの不用品をフリマアプリで売ったお金も“収入”という扱いなのでは?と思いきや、これは収入ではありません。
「生活動産の譲渡所得」には課税されないルールがあり、使っていたものを売るのは収入にならないということ。なので、フリマアプリなどで不用品を売って得たお金については確定申告は必要ありません。
風呂内さん’S ポイント
この場合、1品で30万円を超える取引については生活動産ではないと判断されるため、通常、確定申告が必要です。
また、頻繁に恒常的に取引をしていると、利益が出ていなくても「事業」をしていると見られ確定申告が必要になるケースも。
迷ったら、近くの税務署や、税理士会連合会などの無料相談窓口に相談してみるといいでしょう。
主婦が得する確定申告とは?なにかメリットはある?
確定申告は面倒なイメージだし、なるべくなら避けたいというあなた。ここでは目からウロコの確定申告のメリットをご紹介。今まで見逃していたかも、という人は、確定申告をすることで得しちゃうかも!
●減税は医療費控除や住宅ローン控除だけじゃない!
会社員でも確定申告で医療費控除や住宅ローン控除をすれば減税になるのは有名ですが、それだけではありません。災害にあったときや盗難にあったときも、雑損控除という項目で控除ができます。
●医療費控除は10万円以下でも申告できるケースが
医療費控除は医療費が年間10万円を超えたら控除できるというイメージですよね。でも、所得が200万円以下だと、所得の5%を超えた分の医療費が控除されます。
例えば、
・夫の年収400万円で所得が276万円
・妻の年収250万円で所得が167万円
で、家庭の医療費が10万円ちょうどの場合。
医療費が10万円を超えていないので、夫の側では医療費控除ができませんが、妻の側で医療費控除をすることができます。
妻の所得167万円×5%=8.35万円。10万円との差額1.65万円を所得控除することができ、ちょこっと減税になるというわけです。
条件に当てはまる人は、忘れずに確定申告を!
●パート主婦はひと月88000円を超える収入には要注意
給料をもらっている人は、税制上の優遇措置で控除を受けることができ、年収が103万円より低ければ、所得税は納税しなくてもよくなります。
しかしお給料の場合、1ヶ月の収入が88000円を超えると概算された所得税が源泉徴収されます。年収がトータルで103万円を超えていないけれど、88000円を超える月があって所得税を払った、という場合は、確定申告をすると、戻ってくる場合があります。
●年末調整より確定申告のほうがラク!?
最近は、配偶者(特別)控除の見直しなどの関係で、給与所得者の年末調整の書類が難しくなっているよう。いちいち記入するのが面倒だったら、いっそのことパソコンや携帯電話で入力できる確定申告のほうがカンタンかもしれません。
会社によっては年末調整の書類の記入がシステム化されていてわかりやすいケースもありますが、勤務先のスタイルが手書きで年末調整の書類の記入が難しいと感じる人は、確定申告にトライしてみてはいかがでしょうか。
確定申告に慣れておいて損はなし!
在宅ワークをしたり、自分で教室を開いたり、手作り品を売ったり。今は、さまざまな形で収入を得ることができる時代。これまで確定申告に縁がなかった人も、今後必要になる可能性はゼロとはいえません。
エクセルで経費を管理したり、アプリを活用したり、小規模のうちから確定申告に慣れておけば、仕事の規模が大きくなったときにも役立ちます。
税務署の無料相談なども利用しながら、上手に確定申告に慣れていきましょう!
●確定申告について教えてくれたのは…
風呂内亜矢さん
【プロフィール】ファイナンシャルプランナー。テレビ、ラジオ、雑誌、新聞などで「お金に関する情報」を精力的に発信。わかりやすい解説に定評がある。
『ほったらかしでもなぜか貯まる!(主婦の友社)』など著書多数。
http://www.furouchi.com/
文/暮らしニスタ編集部
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