ワインを飲むと頭痛がする、その原因がワインの酸化防止剤=亜硫酸塩かもしれないという話、聞いたことはありますか? 世界中のほとんどのワインに添加されているこの亜硫酸塩ですが、一体どんなもの?大丈夫なの? 知っておきたい食品添加物、亜硫酸塩についてまとめてみました。
亜硫酸塩って何?何に使われている?
・亜硫酸塩とは
亜硫酸塩は硫黄を焼いた時に生成される物質。硫黄が酸化したものです。抗酸化及び抗菌特性を持っていて、食品の品質と見た目を維持するために広く用いられている食品添加物です。
・ワインの酸化防止剤として
ワインはぶどうを発酵させて作るお酒ですが、ふとラベルを見るとそこにある「酸化防止剤」という表記、気になったことはありませんか? お酒に添加物? と疑問に思った人も多いでしょう。
ワインに添加される酸化防止剤というのは、具体的には亜硫酸塩のことです。
亜硫酸塩がワインの醸造工程で添加されるのは、雑菌が繁殖するのを抑えるためと、ワインの酸化を防ぐため。さらに、すでに酸化してしまった状態から回復させる作用もあるそうです。風味、味わい、安全性を守る役割を果たしています。
亜硫酸塩を構成する物質である硫黄は、数千年前から古代ローマ時代のワイン造りに、雑菌の繁殖を防止する目的で使われていたと言われており、亜硫酸塩とワインは古くから切っても切れない関係なのです。
・ドライフルーツの漂白剤として
自分で作ってみるとよくわかりますが、フルーツは、そのまま乾燥させると、黒っぽくなってしまいます。変色を抑えるために、亜硫酸塩や二酸化硫黄という添加物が使われる場合があります。
亜硫酸塩の体への影響は?
亜硫酸塩は人の体にどのような影響を及ぼすのでしょうか?
厚生労働省が定める食品衛生法では、ワインに添加する亜硫酸塩の使用上限は350mg/Lです。これはもちろん、体に害を及ぼす量ではありません。さらに、ボトリング後は時間がたつにつれ、徐々に減少していきます。
とはいえ、亜硫酸塩にアレルギーを持つケースもあり、その場合は、少量でも蕁麻疹や腹痛、下痢、喘息などのアレルギー症状を引き起こすことがあるそう。
ワインを飲んで頭痛がするのは、この亜硫酸塩に対してのアレルギー反応ではないかとする説もありますが、まだまだ解明できていない部分が多くあるようです。
また、喘息のかたもアレルギー症状を引き起こす可能性があるとのことなので、気をつけましょう。
無添加ワインを選ぶべき?
世界中で飲まれているワイン、もちろん高級なワインにも添加されている亜硫酸塩。
日本では、この亜硫酸塩を使わずに醸造する、「酸化防止剤無添加」と表示のあるワインも製造されています。各メーカーによりその製法は異なりますが、使用する酵母を吟味したり、加熱殺菌したり、細菌を除去するフィルターを使ったり、ボトルに詰める際、酸素を極力排除したりという工夫がなされています。
とはいえ、実はそもそも、亜硫酸塩はブドウが発酵してワインになる過程で自然に生成されるものなのです。つまり、亜硫酸塩無添加のワインにも、自然発生した亜硫酸が含まれていることは知っておきましょう。
酸化防止剤無添加であるにもかかわらず、ラベルに「酸化防止剤」と書かれていることがあるのは、このような理由からです。
なるべく摂取を避けたい、という場合は、国産の「酸化防止剤無添加」のワインを選ぶと良いでしょう。
数はまだまだ少ないですが、日本の「酸化防止剤無添加」のワインは、ここ数年でその生産量も増え、味の改良もなされています。 その中からおすすめのワインを厳選してご紹介します。
サッポロ うれしいワイン 酸化防止剤無添加ポリフェノールリッチ <有機プレミアム> 720ml [ 赤ワイン フルボディ ]/サッポロ
厳選した有機栽培ぶどうのみを使用し、抗酸化作用のあるポリフェノールをリッチに含んだ酸化防止剤無添加ワインです。華やかな香りと、お料理と相性の良いコクのあるしっかりとした味わいが特長、毎日気軽に飲める価格もうれしいですね。 赤のフルボディの他に、甘口・赤、フルーティーな白、辛口の白、ロゼなど、シリーズ揃って酸化防止剤無添加です。
サントリー 酸化防止剤無添加のおいしいワイン。白 [ 白ワイン 甘口 日本 1800ml/サントリー
ほんのり広がるフルーティな味わいで、口当たりは爽やか。酸化防止剤を一切使わずに、ぶどう果実の香りと味わいをたっぷりと引き出した、やわらかな口当たりの白ワインです。爽やかで飲みやすい甘口の白のほか、同シリーズでは重めの濃い赤、軽めの赤、ストロング白なども。いずれも飲みやすく、和食に合うのがポイントです。
メルシャン おいしい酸化防止剤無添加白ワイン ペットボトル [ 白ワイン 中辛口 日本 1500ml ]/メルシャン
酸化防止剤を添加せずに丁寧に造られた、本当においしいワインです。ワイン専用品種のブドウを使用し、醸造から瓶詰めまで、ワインと酸素の接触を最小限にして製造時の酸化を抑えるメルシャン独自の『フレッシュ製法』で無添加に。ボトルは、ワインの品質を守るコーティングを強化した、ワインのためのペットボトルを使用。スクリュータイプのキャップも、飲み残しを保存するのに便利ですね。 同シリーズで、ジューシーな赤、しっかりめの赤も揃っています。
とりすぎはNG!どのくらいまでなら大丈夫?
先ほども述べましたが、日本での亜硫酸塩の使用基準量は、食品添加物の指定・使用基準を定める食品衛生法により、「350mg/L」と上限が決められています。 この数値内なら、長期にわたって日常的にワインを摂取しても、健康に害を及ぼすことはないと言えるようです。
ちなみに、FA0(国連食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)の合同食品添加物専門家委員会(JECFA)においては、1日の摂取許容量(ADI)が二酸化硫黄として0~0.7mg/kg体重・日と設定されています。 体重50kgの成人では、0.7 x 50 =35mgです。日本の制限いっぱいの350mg/Lの亜硫酸塩が使われているとして、0.1L、つまり100mlが1日に推奨される量ということになりますね。
日常的に飲んでも健康に害を及ぼすことはないとはいえ、あまり飲み過ぎないほうがよさそうですね。
まとめ
気になり始めるとどこまでも心配になってしまう食品添加物の問題。最近は、ワイン生産者も、酸化防止剤を必要最小限にしようと工夫し、実際に添加量は減少傾向にあるとか。
どうしても気になる人は、酸化防止剤無添加のワインを選んだり、飲む量を気をつけるなどして、上手に付き合っていきたいですね。
文/伊波裕子
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