「オーブン+レンジ」でオーブンレンジ。複合調理家電でもあり、価格もそれなりにします。使いこなせるとかなり便利です。しかし、なかなか使いこなせないと言う人が多いようで、メーカー側もそれぞれに進化させるべく力を注いでいます。今回は、そんなオーブンレンジをクローズアップします。
なぜ使いこなしにくいのか?
単純に言うと、多機能だからです。「オーブン」機能を使うのか、「レンジ」機能を使うのか、「手動」で使うのか、「自動」で使うのか、「自動」で使う場合、どの「プリセットメニュー」を使うのか・・・。正直、書いていてすら、イラッとします。
どの機能を使うのか、どのメニューを使うのか、選んでいかなければなりません。ガスコンロのように、火を付けて、火加減を合わせれば終わりというものではないのです。
時短が叫ばれる今、かなり操作が面倒な家電でもあります。
スマホに似た感覚の東芝、パナソニック
この2社は、大型の「カラー液晶」と「タッチパネル」で、この問題に対応しようとしています。名付けて「スマホ対応」。
ガラケイ全盛期、ある日本の大手通信メーカーは新しく提案されたスマホを馬鹿にしたと言います。独立したテンキーを入力装置として持つ整ったガラケイに対し、多機能スマホは多機能すぎてユーザーは使いこなせないと考えたからです。
それはあっさりひっくり返されました。ひと目でわかる「カラー液晶」と「タッチパネル」で、ユーザーは直感的にスマホを操作することができたからです。
電子レンジを使うのか、オーブンを使うのか、プリセットメニューを選ぶのかをトップページに持って来て、そこから、いろいろな機能を見て選び、タッチする。操作がスマホと同じなのでラクラクです(写真は東芝のER-RD7000)
またパナソニックのオーブンレンジはスマホと連動。レンジ内にインプットされているレシピをスマホに転送することが可能です。つまり、買物先で必要な材料の確認ができますので、食材の買い忘れなどありません。逆に、スマホでレシピを決め、レンジと連動することももちろん可能です。
(スマホ連動は他のメーカーでも使っています)
音声ナビの三菱
視覚ではなく音声でガイドするのは三菱です。若い女性には大人気のスマホですが、50を過ぎますと、いくら視認性を上げたとは言え、見えにくいこともあります。そんな時にポイント高いのが、音声。指示に従ってボタンを押していけば、操作できます(三菱は使うボタンが光ります)。三菱の音声ナビは、イラッとすることがないくらい、うまく作られています。
IoT時代を先取るシャープと日立
デジタル化が推し進められた平成の御代(もうすぐ終わりですね)、その終盤に現実化が進んでいるのが、IoT。パソコンなどの通信機器だけでなく、すべてのモノをインターネットにつないでしまうことですが、家電でもそれが拡がりつつあります。
IoTにすると良いのは、クラウド上のAI(人工知能)が使えること。AIがあると何ができるかと言いますと、「会話」ができるのです。
オーブンレンジ 「本日のメニュー、何にします?」
女性 「冷蔵庫に、豚肉とキャベツがあるのよね。」
オーブンレンジ 「回鍋肉はどうですか?」
女性 「もっとさっぱりしたのは?」
オーブンレンジ 「豚肉はさっと焼いて檸檬を掛けて。キャベツはアスパラとさっとゆでてドレッシングを掛けるのは?」
女性 「なかなか美味しそうね。」
シャープのオーブンレンジに採用された「cocoro kitchen」は、まだここまで込み入った会話はできませんが、ナビよりもこうした会話のほうがイメージがわきます。間もよく心ひかれます。ちょっと気になる機能です。
日立はAmazonの「Alexa」とメニュー検索を連動させています。「Alexa」とは、対話型の音声操作ができるAIスピーカーとして、いま話題の「Amazon Echo」の人工知能です。メニューを決めて伝えると、そのメニュー番号を教えてくれるので、その番号にセット、食材を入れると調理してくれます。ただし、まだ始まったばかり、こちらはこれから。
「Alexa」は日々進化中。本体を買い替えなくても使い勝手が進化するのは、嬉しいですね。また、スマホ連動もしており、スマホでもメニュー検索できます。
各社のオーブンレンジを比較
さて、そんな各社から、30L、2段を基本スペックに、モデルをチョイスしましょう。
■シャープ スチームオーブン ヘルシオ(HEALSIO) AX-XW400
加熱水蒸気オーブンレンジ、ヘルシオは「カラー液晶&タッチパネル」が基本。しかも、パネルの中に「おはなし」ボタンがあるので、会話でメニューを決めることもできます。「今晩、何作ろう?」に対し、「今日は暑くなるみたい。スタミナのつく、スペアリブはどうですか?」といった会話が可能。ただし、使うにはWi-Fi環境下であることが必要です。
■東芝 過熱水蒸気オーブンレンジ 石窯ドーム ER-RD7000
素材のうまみや水分を350℃の高火力で閉じ込める「石窯ドーム」。カラー液晶のタッチパネルなので、文字が見やすくで操作がしやすい。現在の標準型オーブンレンジと言えます。
■パナソニック ビストロ スチームオーブンレンジNE-BS1400
カラー液晶のタッチパネルで操作。加えてスマホと連動。専用アプリでのレシピ検索、マイレシピの登録ができます。スマホ上でメニュー決めができるのは、やはり楽です。
■日立 過熱水蒸気オーブンレンジ ヘルシーシェフMRO-TW1
30L、2段のフルスペックながら、リーズナブルプライスを実現した意欲的なモデル。能力的には十分ですが、操作は昔ながらの白黒液晶&ボタン。しかし、それをサポートするべく、AmazonのAIスピーカーでのメニュー検索をできるようにしています。新しい操作を目指しているモデルと言えます。
■三菱 ZITANG レンジグリル RG-HS1
他のメーカーと異なり、三菱のオーブンレンジは2段モデルはありません。余り使わない機能を極力排除。加熱水蒸気もありません。コントロール部も昔ながらの感じですが、「音声ナビ」が付いています。欲張っていない分、すごく分かりやすく使いやすいです。
【筆者プロフィール】
多賀一晃 さん
1961年生まれ。慶應義塾大学大学院理工学部卒。大手メーカーにて商品開発、企画を担当後独立。国内はもちろん、世界最大の家電見本市「IFA」等で世界中の家電を取材し、役立つ情報を「生活家電.com」から発信中。日本経済新聞夕刊の家電製品特集や土曜日別冊「日経プラス1」の「家電ランキング」選者、WEDGE Infinity「家電口論」主筆としても活躍。
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