コラム

“貯金しすぎ”で、なぜか貯金が増えないカラクリとは⁉

更新日：2017.10.28

「子どもの教育資金、足りるかしら？」「老後はどうしよう？」…など、お金の不安は尽きないもの。ファイナンシャルプランナーとして数多くの相談に答えてきた畠中雅子先生が、そんな不安とサヨナラするための心得をアドバイスします！

給与天引きで毎月しっかり貯金しているはずなのに…

「30代の方の家計診断をしていると、月に5万円とか10万円とか、けっこうな額を貯金している家庭がよくあります。でも“貯金のしすぎ”という落とし穴があることもお話しておきましょう。

たくさん貯金をしている家庭の中には、もちろん実際にできている家庭もありますが、実はそれで赤字になっている家庭もあります。これは、そもそも貯金額の予算立てがおかしいのです。

家計診断で知り合ったＷさん（37才女性・夫36才・息子12才・娘10才）の家もそう。
Ｗさんのお宅は手取りが25万円で５万円を給与天引きで先取りするしくみを作っています。残りの20万円でやりくりしようとするのですが、最終的にいつも足りずに、いろいろな通帳から借りてきてしまう。結果的に集計してみると、年間60万円貯まっているはずの貯金が、ほとんど貯まっていません。

だったら最初から２万円と決めて、２万円積み上げていけば、１年間で24万円貯まるわけです。貯金がふえない理由に、こうした予算立ての失敗というのがありますよね」

そもそも目標額が間違っているかもしれません

「改めてＷさんに『１年間の貯金の目標額は？』と聞くと『100万円」という答えが。
そうすると月5万円＋ボーナス20万円、という形になるのですが、子どもの食費や教育費がかかり始める時期に25万円から５万円の貯金を取り分け、残りの20万円でやりくりするのは厳しいのではないでしょうか。また住宅ローンのボーナス返済もあるというので、ボーナスから20万円を取り分けるのもたいへんです。

もともと収入が500万円ぐらいの家庭が、目指す金額が100万円は多すぎるということです。100万円を目指すのは、収入が700万円半ばぐらいからの家庭です。

こんなふうに目標額を設定し間違えると、Ｗさんのようにやりくりしているうちに、いくら貯まったのかわからなくなり、貯金のモチベーションもどんどん下がってきます。たまにメディアに年収が300万円台なのに、年間の貯金が100万円というスゴイ人が出てきますが、おそらく子どもの小さい一時期を切り取っているから、たくさん貯めることができているのでしょう。
そういう人であっても、子どもが高校生や大学生になったときにも同じように貯金ができるかというと、たぶん違うでしょうね。

大事なことは周りの情報に振り回されず、わが家の適正な金額を貯金し、それを確実に積み上げていくということです」

※畠中雅子著『サヨナラ、お金の不安』（1200円＋税・主婦の友社刊）より

畠中雅子／ファイナンシャルプランナー
社会人の娘、大学生、高校生の息子の母。実体験に基づく的確なアドバイスに定評があり、多数のメディアで幅広く活躍している。『Como特別編集　子育て中でも貯金ゼロでも1000万円貯める10のルール』（主婦の友社）、『どっちがお得？定年後のお金』（高橋書店）など著書多数。

取材・文／池田純子

Profile畠中雅子

ファイナンシャルプランナー
社会人の娘、大学生、高校生の息子の母。実体験に基づく的確なアドバイスに定評があり、多数のメディアで幅広く活躍している。『Como特別編集　子育て中でも貯金ゼロでも1000万円貯める10のルール』（主婦の友社）、コミックエッセイ『結婚したらすぐ考えるお金のこと』（KADOKAWA）など著書多数。

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