時間がかかる煮込み料理などが、短時間でおいしく調理できるツールとして人気の圧力鍋。便利で手放せない!という声がある一方で、使ったことのない人にとってはちょっぴりハードルが高いのも事実。使い方が複雑そうだし、急にシューシュー言い出すし、「圧力」という単語もコワモテな印象…。気持ちはよくわかります!
そこで今回は、圧力鍋の仕組みと基本的な使い方、使用する時の注意などを、初心者さん向けにわかりやすく解説します。最後には、圧力鍋でおいしく作れる簡単メニューも紹介しますよ!
圧力鍋のしくみと使い方
圧力鍋ってどんなもの?
圧力鍋とは、火にかけた時に生じる水蒸気を外に逃さず閉じ込めておくことで、鍋の中に圧力をかけて調理する鍋のことです。
鍋の中の圧力が高まるとそのぶん沸点も高くなるので、密封された鍋の中は100℃以上の高温・高圧状態になり、硬い食材を短時間で柔らかくしたり、出汁などを染み込ませたりすることが可能となるわけです。
また、普段よりも高い水温で食材を加熱できるため、調理時間を短縮でき、光熱費の節約にもつながるのです。
調理中に水蒸気を発生させる必要があるため、煮込み料理に使うことが一般的です。
圧力鍋の基本的な使い方は5ステップ
メーカーによって細かい部分は異なりますが、圧力鍋の基本の使い方は以下の通りです。
【STEP1】 材料を入れて蓋を正しくセットする
鍋の中に食材を入れ、説明書に従って蓋を正しくセットします。このとき必ず、鍋ごとに設定された規定量を守ることが大切です。多く入れすぎたり、水分が少なすぎたりすると、うまく調理ができなかったり蒸気口をふさいでしまったりする原因になるので要注意です。
【STEP2】火にかける
しっかりと蓋をしてから火にかけます。ガスコンロの場合の火の強さは、鍋底からはみ出さない程度の強火を目安にします。加熱することで、徐々に圧力がかかってきます。
【STEP3】加圧が始まったら弱火にする、または火を消す
加圧状態とは、おもり式であればおもりが揺れて鳴っている状態、スプリング式であれば表示ピンが上がって蒸気口から蒸気が出ている状態を指します。加圧が始まった合図を確認できたら、弱火にしてこのまま加圧状態を長時間キープするか、もしくはここで火を消して緩やかに圧力を下げていきます。火を消すタイミングは、料理の種類や好みの仕上がりによって変わります。
【STEP4】火を消したら放置して加圧を進める
火を止めた後も、鍋の内部は予熱によって材料をグツグツと煮てくれています。おもりが鳴っていたりピンが上がったままシューシュー音がしているうちは、まだ圧力がかかっています。蓋を開けず、圧力が完全に下がるのを待ちましょう。
加熱時間が短いものや、予熱調理が必要ない料理の場合は放置せず、ここで一気に圧力を下げます。一般的な方法は鍋を水につけて冷やし、内部の圧力を下げる方法ですが、急冷の方法はさまざまなので説明書に従いましょう。
【STEP5】圧力が下がったら蓋を開ける
音が止み、ピンが下がって圧力が完全に下がったのを確認してから蓋を開けます。その後、味付けなどの工程がある場合は仕上げを行いましょう。圧力が下がるまでは決して蓋を開けてはいけません。ほとんどの圧力鍋は安全装置が作動しているため、圧力が抜け切っていない状態では蓋が開かないようになっていますが、圧力が下がってくると力任せにむりやり開けることはできてしまいます。中身が飛び出して火傷をしたりキッチンが汚れてしまうこともあるので要注意です。
圧力鍋には「おもり式」と「スプリング式」の2種類がある
圧力鍋にはおもり式とスプリング式の2種類の加圧方式があります。主な違いは圧力がかかったときに発生する音や、圧力がかかったタイミングを判断する方法です。価格帯はどちらも安いものは1万円以下からありますが、高いものは6万円以上するものも。おもり式かスプリング式かによる値段の大きな差はないので、特徴をつかみ使いやすい方を選びましょう。どちらの圧力鍋もカレー・肉じゃが・ロールキャベツ・おでんなどの煮込み料理をはじめ、白米や玄米の炊飯や炊き込みご飯も時短でおいしく作ることができます。それでは両タイプの詳しい仕組みと、メリット・デメリットを見ていきましょう。
おもり式の圧力鍋とは?
おもり式の圧力鍋は、鍋蓋の蒸気口に「おもり」がついていて、火にかけてから数分後、設定された圧力値に達すると漏れ出た水蒸気によっておもりがリズミカルに揺れることで音を出し、一定の圧力がかかっていることを教えてくれます。弱火にするタイミングが音でわかるので、他のことをやりながらでも調理が可能な上、加圧スタートのタイミングが確認しやすいので、初心者さんにおすすめです。また、構造がシンプルなので全てのパーツを簡単に取り外すことができ、お手入れがラクなのもポイントです。
おもり式のメリット…目と耳の両方で加圧のタイミングがわかる・構造がシンプルでお手入れがラク
おもり式のデメリット…圧力の調整ができない・大きな音と水蒸気が出る
スプリング式の圧力鍋とは?
一方スプリング式の圧力鍋は、鍋蓋に圧力表示ピンがついており、一定の圧力がかかるとピンがせり上がる仕組みになっています。ピンについた目盛りで圧力状態を確認して火を弱めます。加圧調理中にほとんど音が出ないため、子どもが寝た後などでも静かに調理ができますが、ピンを目視で確認する必要があるため、加圧スタートまでは目が離せません。スプリング式のいちばんのポイントは、圧力を調整できること。例えばトロトロに煮込みたいスジ肉のシチューなどは高圧、野菜を適度に柔らかくしたいときは弱めにするなど、さまざまな料理に使い分けることができます。そのため、おもり式に比べると構造が複雑でお手入れにも手間がかかるので上級者に向いています。
スプリング式のメリット…音が静かで蒸気が出ない・圧力を調整できる
スプリング式のデメリット…加圧開始まで目が離せない・お手入れがやや難しい
圧力鍋を使う時の注意点
圧力鍋は、正しく使えばプロ級の料理が簡単に作れる頼れるツールですが、使い方を間違うと危険なものであるという認識も必要です。使用時には下記の注意点を守ると同時に、説明書をしっかりと確認することが大切です。
【注意点1】蓋を開けるタイミングは圧力が完全に抜け切ってから
圧力鍋でいちばん危険なのは蓋を開けるときです。ほとんどの圧力鍋には安全装置がついており、加圧状態では簡単に蓋を開けられない仕組みになっていますが、ある程度圧力が抜けた状態であれば、強引に開けることはできてしまいます。
圧力が抜け切る前に蓋を開けてしまうと、中身が一気に飛び出してしまい、火傷や事故につながります。じゅうぶんに放置するか水につけるなどして減圧してから、圧力鍋についているダイヤルやボタンの減圧装置を操作して、圧力を完全に抜き切ってから蓋を開けるようにしましょう。
【注意点2】加圧しすぎによる液状化と焦げ付きに注意
加圧が始まってから火をじゅうぶんに小さくできていなかったり、止め忘れたりすると、加圧のしすぎで具材は柔らかいを通り越してぐちゃぐちゃの仕上がりになってしまいます。また、加圧中は蒸気が蒸発しているので、水がなくなってしまい具材が焦げ付いてしまうことも。取扱説明書やレシピを参考に、水分や具材の量や、加圧時間を守りましょう。
【注意点3】空焚きは鍋の故障や火災につながる
密閉された圧力鍋は水分の蒸発量が少ないため、水分量が少なくても素早く柔らかく仕上げることができます。しかし、適切な時間と火加減を守らずに加圧をし続けると水分や煮汁が蒸発し、焦げ付きや空焚きの原因になります。火にかけているのに蒸気が出なくなったり、圧力が下がってきたりしたら、空焚きになっている可能性があります。そうならないためにも、レシピの分量と加圧時間はしっかりと守りましょう。
【注意点4】圧力鍋の蒸気の出口をふさがってしまうと爆発の恐れアリ
圧力鍋は、鍋の中を密閉状態にして、内部に圧力をかけて調理するものです。蒸気口など圧力調整部分が詰まった状態で使うと、余計な水蒸気が逃げ場を失い、鍋内部の圧力は非常に高くなってしまいます。圧力が限界まで達すると爆発してしまうため、蓋が飛んだり中の具材が吹き出したりすることがあり、非常に危険です。使用前は必ず、蒸気口に異物が詰まっていないかを確認しましょう。
【注意点5】 圧力鍋で失敗せずにカレーを作るには…
圧力鍋で作る定番料理といえば、カレーやシチューですよね。圧力鍋を使うなら、レシピにある水の量と火加減を厳守することが大切です。カレーが焦げてしまうのは水の量が足りないか、火が強すぎるのが主な原因。逆に、加圧時間が長すぎると具材が全て溶けてドロドロのスープ状になってしまいます。
また、圧力鍋でルーを入れたカレーやシチューのように濃度や粘性の高いものを加圧すると、蒸気口をふさいでしまい蒸気が抜けなくなる可能性があるので非常に危険です。カレーやシチューを作る時は、まず食材だけを圧力鍋で調理し、圧力が下がって蓋を開けてからルーを加えて仕上げましょう。
圧力鍋で料理するときに注意すべき食材の種類
圧力鍋を使うときに注意しなくてはならないのが、鍋に入れてはいけない食材です。調理中に蒸気口をふさいでしまう危険のあるものはNGです。膨らむ性質のあるもの、茹でると泡立つもの、少量でも爆発する可能性がある食材、とろみのある調味料、規定量以上の食材も入れてはいけません。
NG食材…豆類、餅、練り物、麺類、カレーやシチューのルー、重曹、大量の油や酒類、炭酸飲料など
圧力鍋を選ぶときは安全に関わるマークをチェック!
PSCマーク
圧力鍋は、国が定めた安全基準に適合していることを示す「PSCマーク」を付した製品でなければ、国内で販売ができません。購入するときには圧力鍋に「PSCマーク」の表示があるかを確認しましょう。
SGマーク
一般財団法人製品安全協会が定めた安全基準に適合していることを認証された製品には「SGマーク」がついています。万が一、SGマーク付き製品に欠陥があり、表示期限内に日本国内で人身損害が起きた場合、賠償する制度が付加されています。
圧力鍋で作るおすすめ料理5選
圧力鍋を愛用している暮らしニスタさんたちのおすすめレシピから、初心者さんでも安全に作れそうなものをピックアップして紹介します。
圧力鍋で作る簡単じゃがバター
【材料】
新じゃがいも(中):3コ
水:100cc
バター:適量
塩こしょう:適量
ホクホクおいしいじゃがバターも、圧力鍋を使えば加圧時間はわずか8分!あらかじめ入れておいた切り込みにバターをONして塩こしょうで調味するだけで完成。もう一品欲しいときやお子さんのおやつに最適です。
▶https://kurashinista.jp/articles/detail/77991
ダイエットにも!手羽元で作るなんちゃって参鶏湯
【材料】
手羽元:2パック(14本)
塩:適量
にんにく:1かけ
しょうが:1かけ
もち麦:100g
切り込みを入れた手羽元に塩を振り、にんにく、しょうが、もち麦、水と合わせて圧力鍋で10分加熱!骨から肉がホロリと取れる、ボリューム満点のダイエットメニューの完成です。
▶https://kurashinista.jp/articles/detail/80233
やわらかキャベツと豚肉とミックスビーンズの食べるスープ
【材料】
キャベツ:1/2コ
にんじん:1/3本
豚肉薄切り:150g
にんにくチューブ:小さじ1
オリーブオイル:小さじ1
水:1リットル
ミックスビーンズ:1缶
塩:小さじ1/2
コンソメキューブ:2コ
ローリエ:1枚
粗挽きこしょう:適量
豚肉とにんじんを炒めたら、キャベツは1/2コを芯をつけたまま6等分にカットして詰めて10分煮込むだけ。キャベツがトロトロになり、芯も柔らかく甘くなります。豚肉と豆も旨みも溶け出して奥深い味わいに♡
▶https://kurashinista.jp/articles/detail/86452
角煮と煮卵は同時調理!あったまる〜手作り沖縄そば
【材料】
豚バラブロック:800g
しょうが:3かけ
長ネギの青い部分:1本分
卵:3コ
酒:100ml
本みりん:大さじ2
砂糖:大さじ2
しょうゆ:大さじ3
水:100ml
紅生姜・刻み白ねぎ・かまぼこ:各適宜
沖縄そばだし(粉末):適量
圧力鍋で角煮を作っている間に別の鍋でゆで卵を作り、圧力鍋に移して合わせ、煮詰めていきます。照りよく仕上がったら沖縄そばのだしで温うどんを作ります。角煮と卵を乗せ、好みの具材をトッピングすれば完成です!
▶https://kurashinista.jp/articles/detail/100411
あんこ作りも圧力鍋ならあっという間!
【材料】
ささげ(小豆):2袋(240g)
茹で汁+水:480cc
砂糖:大さじ7
自分で小豆を煮てあんこを作ると好みの甘さに仕上げられるので、和スイーツがよりヘルシーに楽しめますよ。コトコトと長時間に詰めるイメージですが、圧力鍋なら加熱25分+蒸らし10分でOK!お好きなスイーツにアレンジして召し上がれ。
▶https://kurashinista.jp/articles/detail/91397
圧力鍋をかしこく使って、楽しく時短と節約を目指そう!
手間のかかる料理が驚くほど簡単に作ることができる圧力鍋。基本的なルールをおさえておけば、使い方は難しくありません。料理がおいしくできるのはもちろん、時短も節約も叶うとくれば使わない手はないですよね!加圧中・予熱中は手が空くので、忙しい人にもおすすめです。お料理のレパートリーが増えるのもうれしいですね♡
まとめ/暮らしニスタ編集部
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