【Uさん宅(兵庫県)】
「ナチュラルだけれど、テイストがかたまっているのではなく、住みながら自分たちらしく味つけできる家にしたかったんです」と語るUさん夫妻。どこに依頼しようかと探した末に出会ったのが、自然素材を使ったシンプルな家づくりをする福田工務店でした。
ちょうど同社は女性建築士の近藤友佳子さんとコラボした「カフェの家プロジェクト」を始動したばかり。おしゃれだけれど気取りがなく、ほっこりくつろげるカフェのような空間はUさんの希望にもぴったりで、イメージどおりの家が完成しました。
ポイントのひとつがスギの足場板を使った床。近藤さんの自邸で使っているのを見て、「すき間があいたり、釘が見えているのがいい感じだなあと思い、わが家にも採用してもらいました」。実際、やんちゃ盛りの男の子2人がいるUさん宅では傷や汚れも避けて通れませんが、「それも味ですよね」とおおらかに受け止めています。
同じ足場板でつくったカウンターやオープン棚も、木やアイアンの素材感を生かした飾りけのないデザイン。だからこそ、無造作に並べた普段使いの雑貨が絵になり、いきいきとした表情を見せています。壁はまっ白なしっくい。ここにもUさんはちゅうちょなくピンや釘を打ち、フレームを飾ったり小物をとりつけたり。まさに自由に「住みこなして」います。
1F DK
【写真左】床はスギの足場板を自然塗料で仕上げてざっくりした風合いに。カウンターも足場板でつくり、棚には木のトレーやかごを使って収納しています。ペンダントライトは「バフ ストックヤード」で購入。
【写真右】デッキに面したサッシはフルオープンにでき、光や風がふんだんに入ります。洗いざらしの布をクリップで吊るしたカーテンも、素材感が心地よい。
カウンター上の木の飾り棚は、ガーデングッズの問屋さんで購入。吊り棚のグラスホルダーは、プレート立てを使って自作したもの。
「しっくい壁は釘やピンが打ちやすいんですよ」とディスプレイを楽しんでいます。
1F キッチン
子どもたちも出入りしやすいオープンなキッチン。カウンターのキッチン側に電子レンジや炊飯器など見せたくないものを収納。吊り棚は「雑誌で見たカフェ風の家を参考にしました」
キッチンはオーダーキッチンの「H&H」で展示品を入手。ピシッと四角いステンレスのシンクや「SMEG」のコンロなどこだわりの設備に、足場板のオープン棚がほどよいゆるさをプラスして。
LDから見えない壁面に棚を設け、ストック品などを収納。リサイクルに出すものもここに置き、勝手口からさっと持ち出せます。冷蔵庫も勝手口の向かいの壁面に置き、LDから見えにくいように。
1F LD
床はじかに座っても気持ちいいスギの足場板。しっくい壁はあまりコテむらをつけず、シンプルに仕上げました。天井にはスライドコンセントを設置し、スポットライトやペンダントを自由にとりつけて。
ラフな雰囲気が魅力のUさん宅ですが、じつは暮らしやすさへの配慮もこまやかです。「近藤さんは"仕事を持つ先輩子育てママ"として、同じ目線で提案してくれました」と奥さま。家族のメッセージボードにもなる黒板塗料を塗った扉や、階段を上り下りする子どもたちがキッチンのママと顔を合わせられる設計など、家族が仲良く暮らせる工夫がそこここに。2階にまとめた水回りも「動線がスムーズで、思った以上に使い勝手がいいですね」
また収納スペースはたっぷりとり、冷蔵庫などの家電はLDから見えない場所に配置。モノがいっぱいでもおしゃれに暮らせるのは、見せたくないものをしっかり隠せるプランのおかげです。
ウッドデッキに面したLDは、サッシをフルオープンにするとまるで外とひと続きのような開放感。お子さんたちは裸足でスギの足場板の床の室内を駆け回り、そのままデッキへ、そして庭へ。「光と風と木がいっぱいの家」というUさんの希望どおり、ナチュラルな空間に日ざしが満ち、風が家じゅうを気持ちよく通り抜けます。
「たいていあけっぱなしなんです」という玄関ドアからは、近所のお子さんがわが家のように入ってきたり、デッキにはご近所の飼い猫がのんびり顔を出したり。そんな風通しのいい暮らしが似合うUさんのお宅です。
1F ウッドデッキ
【写真左】まるでLDの延長のようなウッドデッキ。お子さんたちの遊び場に、ビール片手にくつろぐ場にと、暮らしの一部として活用しています。雲や月を眺めるなど、自然を感じられるのもうれしい。
【写真右】 板を目透かしに張ったフェンスで外からの視線を遮りながら、風通しをキープ。DIYで棚をとりつけ、小さな植物などを並べています。
1F LDK
21.5畳の広々としたLDK。キッチンは“見せる収納”にする一方、エアコンは白いルーバーを設けて隠し、生活感は感じさせながらおしゃれに。ソファは「トラック」のもの。
鳥はUさんの好きなモチーフのひとつ。数字の6は「長男が小さい頃に、最初に反応した数字なんです」とのかわいい思い出が。スイッチプレートはレトロな雰囲気のアメリカ製を選びました。
1F リビング
【写真左】リビングと玄関の間に収納スペースを設け、リビング側の扉は黒板塗料で仕上げてメッセージや絵を描くボードに。
【写真右】リビング内階段の下の壁厚を利用したラック。好きな本や雑誌を飾りながら収納できます。木とアイアンの素材感が空間のアクセントにもなって素敵。
リビングのドアはネットショップにオーダーし、好みの色に塗装してアンティークのドアノブをつけました。サイドのガラス建具は造作したもので、回転させて通風を確保できます。
1F 洗面コーナー
木のカウンターに陶器の手洗いボウルを設置。窓の上のブルーの部分は間接照明で、「木にブルーのペンキを塗ったらどんな感じか試し塗りしてみたら、思いがけずいい色になりました」
1F 音楽スタジオ
ドラムやベースもガンガン鳴らしてバンド練習や録音もできる、プロ仕様の音楽スタジオ。建築音響の専門家が設計・施工を手がけ、防音・遮音性だけでなく音響効果も十分に計算されています。
2F アトリエ
2階の廊下にカウンターと棚を造りつけ、ミシンで手作りしたり、パソコン作業をする小さなアトリエに。子ども部屋と寝室の間にあるので、個室にいる家族の気配も感じられ、すぐ横の階段からLDKの様子も伝わってきます。
2F 子ども部屋
将来は2部屋に分割できます。中の様子がうかがえるように、ドアはチェッカーガラスをはめて造作しました。天井を高くして梁をあらわしに。ロフトはお子さんたちお気に入りの遊び場です。
2F 寝室
広めのウォークインクローゼットを隣接したので、寝室はすっきりした空間に。調湿・防臭効果のあるしっくい壁が効果を発揮。東向きの窓から朝日がさし込み、目覚めもさわやか。
階段
階段も踏み心地のやさしい足場板。ラックに飾った小物や本の表紙が目に入り、楽しい気持ちになります。階段の手すりは肌ざわりのいい木製、廊下の手すりはシンプルな白スチール製。
2F 廊下
広いバルコニーに面した窓からの光が白いしっくい塗りの空間に広がり、明るさは十分。左手奥が洗面室で、洗濯物を持って直接バルコニーに出られるから洗濯物干しもラクです。
1F 玄関ホール
【写真左】玄関ホールの壁にはディスプレイ用のオープン棚を設置。棚受けをつけないすっきりしたデザインにして、壁面を照らすスポットライトもつけました。小さな木の椅子はご主人のお父さまの手作り。
【写真右】たたきにはネットで選んだモザイクタイルを張ってもらいました。出しっぱなしの靴も絵になる玄関です。
【写真左】玄関ドアは「上手工作所」でオーダー製作したもの。どっしりとした無垢材をヴィンテージ風に仕上げ、鉄フレームの明かりとりと合わせて、おしゃれなカフェのエントランスのように。
【写真右】神戸の雑貨ショップで買ったアイアンのフックをとりつけ、お気に入りの帽子やストールを掛けて収納兼インテリアに。帽子は床に置いた帆布のストッカーにもぎっしり!
外観
白い吹きつけ仕上げのシンプルな外観に、木のフェンスや枕木の階段がぬくもりをプラス。通りに面した窓は小さくし、プライバシーに配慮。
駐車場にタイルで描いたト音記号を発見!音楽一家のかわいいシンボルに。
DATA.Uさん宅(兵庫県)
Profile.
Uさん一家
ご主人はミュージシャンで、家の中にいつも音楽が流れる、Uさん一家。おふたりとも以前は古い長屋をセルフリフォームして住んでいたほどのインテリア好き。現在は6歳と3歳のパワフルな兄弟の子育てに奮闘中。
設計のPOINT
自然素材をシンプルに仕上げて 甘すぎないカフェ風空間に
一級建築士 近藤 友佳子さん
私がめざしている「甘すぎないカフェのような家づくり」と、Uさんのお好きな方向性が似ていたので、プランニングはスムーズに進みました。床はスギの足場板を「オスモカラー」のチーク色で渋めに仕上げ、壁や天井にはアールをつけずフラットに。建具にもモールなどはつけず、極力シンプルに仕上げました。また、いつも家族の気配が感じられる空間設計や、生活感のある部分を見せない工夫もしています。
profile.
京都工芸繊維大学卒業後、大手ゼネコンで意匠設計を担当。2006年「カフェのような家」をコンセプトに自邸を設計。現在、福田工務店とコラボして「おうちカフェ」の提案を行っている。
家族構成 |
夫婦+子ども2人 |
敷地面積 |
142.42㎡(43.08坪) |
建築面積 |
67.72㎡(20.49坪) |
延べ床面積 |
122.57㎡(37.08坪) 1F 64.60㎡ + 2F 57.97㎡ |
構造・工法 |
木造2階建て(軸組み工法) |
工期 |
約2300万円 |
本体工事費 |
約62万円 |
3.3㎡単価 |
2009年10月〜2010年2月 |
設計・施工 |
福田工務店 TEL: 0120-965-830 |
★おしゃれな注文住宅を建てたい方はこちら
★注文住宅のカタログを取り寄せたい方はこちら
こちらの記事もおすすめ!
2017.08.17Mさん宅(東京都)2人のお子さんをのびのびした環境で育てたいとの思いで、家を新築することにしたMさん。家族の気配を感じながら、さまざまな過ごし方ができる住まいをと、スキップフロアで間仕切りのない家を調べていました。そんな時...続きを見る
コメント
全て既読にする
コメントがあるとここに表示されます