新築時に、家電の買いかえを検討する人も多いはず。家電大好き!な建築家、宮地亘さんに、選び方のポイントや、
新築時だからこその設置方法について、プロの目線からアドバイスしてもらいました。
新築は、家電とのつきあい方を見直すチャンスと心得よ
新居のプランを考えるとき、家電の設置場所はあらかじめ決めなくてはならない大切な要素です。特に冷蔵庫や洗濯機、テレビなどの大型家電は、サイズや置き方によってプランそのものが左右されますし、どこにテレビを置いてどうくつろぐか、どこに冷蔵庫を置いてどう調理をするかなど、家電のレイアウトによって入居後の暮らしも大きく変わってきます。せっかくの新築時ですから、手持ちの家電をそのまま使うにしても、新しく買いかえるにしても、自分たちの暮らしに合った設置方法をじっくり考えて、プランに反映させるのがおすすめです。
その際、自分たちと家電とのかかわり方についても改めて見直してみてはいかがでしょうか。たとえば「炊飯器は本当に必要?お鍋で炊けば、いらないのでは?」と考えれば、キッチンに炊飯器を置くスペースを用意しなくてすみます。同様に、湯沸かしポットは? 食洗機は? エアコンは?など、ひとつひとつの家電について要・不要を考えてみましょう。家を建てるときは、つい「この際だからあれもこれも……」となってしまいがちですが、反対に「暮らしを見直して取捨選択をするチャンス」ととらえれば、不要な家電のないスリムな暮らしをスタートする絶好の機会になります。
10~15年で買い替えると考えて手頃なものを選ぶべし
家電を買いかえるときは、ハイスペックにこだわらないのが正解。「せっかくだから、いちばんいい最新型モデルを」と思う人が多いようですが、今は新製品発売のサイクルがとても短く、最新モデルもすぐに旧式になってしまいます。しかも、家電の寿命は長くても10年から15年。すぐに次の買いかえ時期がくると思って、高価な最新モデルより、ちょっと型が古くても手頃なものを選ぶのがおすすめです。
また、家電選びのポイントとして、デザインをあげる人も多いはず。やはりインテリアになじむ、きれいなデザインの家電を選びたいものです。ただし、デザイン重視で機能性に欠ける製品があるのも事実。反対に、機能はいいのにデザインがちょっと、という製品もあります。このバランスがとれていて、「デザインだけ」や「機能だけ」に偏らない家電がやはり理想的。機能性重視でデザインの気に入らない家電を使う場合は、LDから見えないところに設置場所をつくっておくなど、気持ちよく使える環境をととのえましょう。
あとから増やせないコンセントに泣くことなかれ
最後に、家電はあとからでもふやせますが、コンセントだけはふやせないので、あらかじめ綿密に計画を。必要な場所に必要な数だけ用意するのはもちろん、設置する位置も工夫してみては。たとえばテレビ用のコンセントは床から90㎝くらいの高さにつけておくと、テレビ本体やキャビネットなどですっきり隠せます。こんな配慮をするだけでも配線が目立たなくなり、室内のくつろぎ感が高まるはずです。
【キッチン】毎日使う家電を「美しく& 使いやすく配置」がカギ
冷蔵庫
まずはLDから見えない場所に置くことを考えよ
オープンキッチンの場合、冷蔵庫がまる見えにならないように配置すると、LDのくつろぎ感を損ないません。パントリーを設けて中に入れてしまう手もありますが、LDから距離があると飲み物をとりに行ったりする動線が長くなってしまい、パントリーの扉の開閉が面倒になる場合も。視線の届きにくい角度に置くだけでも、十分に効果があります。
側面の仕上げや奥行きサイズまでチェックすべし
冷蔵庫を選ぶとき、見落としがちなのが側面の仕上げ方。正面の扉部分と側面の色が同じものを選ぶと、わが家のような側面が見える配置でもすっきりまとめられます。また、隣に配置するキャビネット類と同じ奥行きのものを選ぶと、前面のラインがそろってきれいに見えます。
調理家電
出したままでも気にならないデザインが鉄則
「機能はいいけれどデザインがイマイチ」が多い調理家電。でも、デザインが気に入らないからと扉の中にしまってしまうと、出し入れが面倒になって死蔵するハメに。毎日気軽に使うためには、やはり見える場所に出しておいても気にならないレベルのデザインを選ぶのが正解です。
【宮地さん宅】
宮地さん宅では、冷蔵庫は調理中すぐ手の届く位置にありながら、LDからはほとんど見えません。隣の背面キャビネットと奥行きをそろえて、さらにすっきりと。
操作ボタンが 「上面」なら 許容範囲
操作ボタンが前面についている炊飯器やホームベーカリーなどは、LDから見たときにごちゃごちゃした印象に。ボタンが上面についているものなら、椅子に座っている目線では気になりません。さらにカウンター上には間を少しずつあけて並べて、よりすっきりと見せましょう。
白で統一した調理家電を、間を少しずつあけてレイアウト。特にデザイン性にこだわった家電でなくても、ととのった印象になります。
電子レンジや オーブンは 扉のあき方を 見落とすなかれ
電子レンジやオーブンの扉には、上からあけるものと横からあけるものがあり、それによって使いやすい設置場所が変わってきます。たとえば上からあけるフラップ式は、高い場所に置くと出し入れがしにくいもの。使いたい製品が決まっているなら、それに合わせて設置場所をプランすると安心です。
食洗機
国内メーカーの製品ならではのメリットにも注目
外国製の食洗機はスタイリッシュなデザインが人気ですが、日本製にもさまざまなメリットが。そのひとつが「洗浄」と「乾燥」を別々にできる製品が多いこと。手洗いした食器を乾燥だけさせたいときなどに便利です。また、引き出し式のコンパクトなタイプが多いのも日本製。シンク前に立った姿勢のままで、スムーズに食器を入れられます。
サイズを選ぶとき 「大は小を兼ねる」 は厳禁!
食洗機のサイズは家族の人数に合わせるのが基本。「大きいほうがお客さまが来たときに便利だから」と、大容量のものを買ってしまうと、普段使うときに水や洗剤の無駄遣いに。もったいないからと汚れた食器をためて洗う人もいるほどです。コンパクトなタイプならこまめに洗えて気持ちがいいもの。もちろん、面積の限られたキッチンにも向いています。
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【リビング】インテリア性と快適さにこだわってセレクトを
テレビ
壁が白ならフレームも白!
テレビのフレームは黒が当たり前と思っている人が多いかもしれませんが、僕はフレームの白いテレビをおすすめしています。リビングの壁は白の場合が多く、テレビも白だと背景にさりげなくとけ込み、存在感が薄まります。特に効果を感じるのはテレビをつけているとき。フレームがほとんど目立たなくなります。ただし同じ白でも製品によって色みや質感はさまざま。壁の色になじみやすい落ち着いたトーンの白を選ぶのがポイントです。
【宮地さん宅】
白いフレームのテレビを壁かけに。壁内や床下に配線し、デッキ類を隣接した部屋に置いているため、リビングのAV機器はこれだけ。
テレビの設置場所の下に、デッキ類をおさめるニッチを設けた例。出っ張りができず、キャビネットなどを置くより省スペース。
PCモニターとしても使えるように準備するべし
最近はテレビそのものに、インターネット配信のビデオ(HuluやacTVila)やYouTubeを見られる機能がついている場合がほとんど。そのため、テレビの配線にはコンセントとアンテナのほかに、LANケーブルが不可欠です。もしテレビを壁かけにするなら、壁の中に掃除機のホースくらいの太さのパイプを通して、その内部にケーブル&コード類をまとめておくのがおすすめ。将来、接続スピードの変化に対応したいときなどに、ケーブルの交換がしやすくなります。
壁かけにするならデッキ類もすっきりが理想形!
新築時こそおすすめしたいのがテレビの壁かけ。壁の中にコード類をすっきりと隠せるので、インテリアを損いません。LDと収納スペースなどとの間仕切り壁を利用すれば、収納側に配線を出すことで設置や交換作業もラク。テレビの設置場所近くの壁をニッチ状にくりぬき、そこにデッキ類をおさめると、さらにすっきりします。
リビング階段の壁を利用してテレビを設置予定のお宅。左手の階段下の死角部分にデッキ類の置き場も確保。
エアコン
「目安の畳数」が 小さいもので十分な場合もありと心得よ
エアコン選びの基準は「どれくらい涼しくしたいか」。部屋全体をすぐに冷やしたいなら、部屋の畳数に見合ったタイプを選ぶべきですが、暑さをやわらげたい程度であれば、まずは「目安の畳数」が小さいものを設置しておき、必要になったらもう1台追加できるように、ダクト用の穴とコンセントだけ用意しておく手もあります。断熱性が高くて風通しのいい家であれば、12畳のLDに6〜8畳用のエアコンで十分というケースも多いようです。
意外とあなどれない「ホットカーペット」
床暖房は人気の高い設備ですが、設置には数十万円から100万円ほどの費用がかかります。そのわりに、使う時期は1年のうちのほんの数カ月。そう考えると、寒い時期だけ、必要な場所でだけホットカーペットを活用すれば、ずっと経済的です。ちなみに「富士通ゼネラル」から発売されている電気カーペットは、電磁波99%カットのすぐれもの。安心して使えておすすめです。
【洗面室】狭いスペースなのでサイズや安全性を考慮
洗濯機
サイズと扉のあき方が 最重要ポイント!
最近の洗濯機(特に斜めドラム式洗濯機)は大型化が進んでいて、設置場所にも相応のスペースが必要。一般的な640×640㎜の防水バンではおさまらず、740×640㎜のタイプが必要なこともあるので、サイズ確認は必須です。あわせて洗面室などに運び入れる通路の幅もチェック。ドアノブやドアそのものをはずさないと通らないこともあります。また、ドラム式の場合は扉の開く向きによって使いやすい設置場所が左右されます。右開きの場合、右側に立って作業すると扉が出し入れのじゃまになるので注意が必要です。
洗濯機専用の単独回路を用意しておくと安心
洗濯機の乾燥運転中はかなりの高温になり、流れる電流の量が多くなるため、ほかの回路とまとめてしまうとブレーカーが落ちるおそれが。洗濯機専用の回路を用意しておくとその心配がありません。高い温度になるそのほかの家電(電子レンジ、炊飯器、食洗機など)も、それぞれ回路を分けておくと安心です。
冷暖房機
「オイルヒーター」は安全面で強い味方
狭い洗面室内で使うスポット暖房機としておすすめなのがオイルヒーター。やわらかな暖かさで火事ややけどの心配がなく、小さな子どものいる家でも安心。タオルウォーマーとしても活躍しています。
宮地家で愛用しているのは、「無印良品」の小型タイプ。小さくて軽く、ほかの部屋で使う場合も移動がラクラク。
夏は小回りのきく扇風機で暑さを乗り切るべし
スポット冷房機の代表といえば扇風機。夏場はもちろん、洗濯機の乾燥運転で暑くなった洗面室のクールダウンにも重宝です。場所をとらないコンパクトなデザインを選び、コンセントの用意も忘れずに。
失敗しない家電選びの鉄則
【ハイスペックにこだわらない】
最新型モデルを選んでも、すぐに次のモデルが発売され、あっという間に旧型に。しかも家電の買いかえサイクルは10〜15年。ちょっと型落ちの手頃なモデルで十分!
【“デザインだけ” “機能だけ”のバランスの悪い製品はNG】
家電は機能性とデザイン性のバランスが大切。使いやすくてインテリアにもなじむ家電を選ぶためには、デザインも機能も、ついでに価格も“ほどほど”の製品がベスト。
【設置場所と搬入経路を必ず測る】
家電は売り場で見ると小さく見えるもの。「予定のスペースに置けない!」ということがないよう、特に冷蔵庫や洗濯機などは、本体、設置場所、搬入経路を必ず測って購入。
[番外編] 家電大好き! 宮地さんの愛用家電
「アップル」製品
いちばんの魅力は、使っているときの作業そのものが楽しいことと、使うことで生活が楽しくなること。
僕の考える“いい家のあり方”にも似ているんです。
「BOSE」のモバイルヘッドセット
「iPhone」用に使っている、リモコンとマイクつきのイヤホン。音楽を聴いている間も電話を受信でき、
手元のマイクで話せるのが便利。低音がきいた音質も◎。
「マキタ」の充電式 クリーナ
合言葉は「ダイソン1台より、これ2台」(笑)。コードレスなので気軽に使えて、特にキッチンにはマストです。
この業務用タイプは、吸い込み口の先を照明で照らしてくれる機能が便利。
「エプソン」のプロジェクター
仕事部屋に設置してホームシアターを楽しんでいます。手頃な価格なのに画質は十分。HDMIに対応していて、
デジタル映像が見られるのも高ポイントです。スクリーンはつけずに白い壁にそのまま投影しています。
「conof.」のシュレッダー
ゴテゴテしたスイッチのないシンプルなデザインがお気に入り。さらにA4サイズの紙を一度に8枚まで断裁できて、
機能性にも文句なしです。家で仕事をしている人におすすめしたいですね。
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宮地 亘さん
1970年千葉県生まれ。工学院大学工学部建築学科卒業後、高橋克彦建築事務所を経て2001年に独立。“白物家電”から最新のデジタル機器まで幅広い知識をもち、家づくりの依頼者から家電選びの相談を受けたり、一緒に大型電気店に選びに行くことも多いそう。HP「おうちや」やfacebookにも、気になる家電についてのコメントが。
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