台湾生まれの「電鍋」は、炊く・煮る・蒸す・温める・同時調理・低温調理・湯煎料理ができるマルチ鍋。スイッチを押すだけの簡単操作で、ごはんを炊いたり、スープやおかずを作ったり。デザートも作ることができるんです。今回はこの「電鍋」の使い方を詳しくご紹介。初めての人でも作りやすい電鍋レシピもぜひチェックしてください!
「電鍋」とは
台湾生まれの、水蒸気で調理する万能家電「電鍋」。使い勝手のよさと愛らしいビジュアルで、日本でも愛用者が増えています。
・正式名称:大同電鍋
・発売:1960年
・得意なこと:ふっくら煮込んだり、蒸したりすること
・苦手なこと:細かい温度調節や時間設定
電鍋の4つの「こんなにスゴイ!」
1.炊く、煮る、蒸す、温めるetc. いろいろできる!
発売当時は炊飯器として売り出されていた電鍋ですが、ご飯を炊くこと以外にも、煮たり蒸したり温めたりと、さまざまな料理に大活躍!
2.ほったらかしでOKだから初心者でも失敗なし!
材料と水を入れて「炊飯スイッチ」を押すだけ。あとはほったらかしで、スイッチが上がるのを待ちます。簡単で、料理初心者や忙しい人におすすめ。
3.一度に何品も完成!同時調理ができる
蓋さえ閉まれば、材料は何層に重ねてもOK。下段でメインの煮込み、上段で副菜の蒸し野菜など、複数の料理が一度にできるので、時短にも。
4.途中で蓋を開けたりスイッチを切っても大丈夫!
圧力鍋と違い、調理途中に蓋を開けて中の様子を見たり、スイッチを切ることも可能。ただし湯気が熱いので、蓋を開ける際はやけどに気をつけて。
電鍋の構造
1960年からほとんど変わらないシンプルなつくりの電鍋。購入時についてくる、基本のパーツをご紹介します。
本体
付属品
・しゃもじ
・計量カップ(180ml)
・電源コード(外せるタイプと、外せないタイプがあります)
「電鍋」本体&メンテンナンスQ&A
電鍋を販売する大同日本さんに聞きました。
Q.内鍋蓋って何に使うの?
内鍋蓋は料理を保存する際に使うもの。粗熱がとれたら内鍋に蓋をし、そのまま冷蔵庫などに入れられます。電鍋は水蒸気が内鍋の中に入り込んで加熱する仕組みなので、調理中は内鍋蓋を使用しないでくださいね。
Q.電鍋の付属品の洗い方は?食洗機も使える?
外蓋、内鍋蓋、内鍋、スチームプレートは、一般的なお皿と同様に中性洗剤で洗えばOK。食洗機も使用できます。
Q.電鍋の外鍋って水洗いしてもいいの?
外鍋の内側は中性洗剤とやわらかいスポンジで水洗いして大丈夫。ただし、外側はなるべく水がかからないよう注意しましょう。クレンザーや金属タワシも使用NG。また、水質や使用頻度によっては外鍋の内側に水アカが生じますが、これは自然現象です。使用後は、乾いた布でふき取り、いつも乾いた状態を保つようにしてください。
Q.外鍋の中が焦げちゃった!
食材のエキスが外鍋に落ちると、焦げつきの原因に。耐熱皿や内鍋などに食材を入れて調理をすれば抑えられます。加熱中に外鍋にはね落ちることもあるので、その場合は使用後に外鍋の内側を洗いましょう。
Q.外鍋の中が黒ずんできた…。どうしたらきれいになる?
以下の方法でお手入れできます。重曹は外鍋がアルミ製の製品に使用すると黒く変色してしまうので、使用しないでください。
①外鍋に水を7分目まで入れ、酢を1杯(180ml)または食品用クエン酸30gを入れます。
②よく混ぜたら炊飯スイッチを入れ加熱。
③沸騰したら手動で炊飯スイッチを上げ、電源コードを抜きます。
④ぬるま湯になったら中の水を捨てます。
⑤きれいな水ですすぎ、やわらかい布で拭き、乾かします。
電鍋の選び方
大きさは2種類
日本で販売されている電鍋の大きさは2種類。
【Mサイズ】は6合炊きで全体直径31cm、内鍋直径20cm、高さ25cm。
【Lサイズ】は10合炊きで全体直径35cm、内鍋直径24cm、高さ29cmです。
料理の量だけでなく、置き場所や調理に使用したいお皿のサイズなどを考慮して選びましょう。
カラバリいろいろ!
日本では上の6カラーに「ローズゴールド」を加えた7色を販売(2022年5月現在)。
日本では白が人気で、台湾では緑と赤が定番カラー。色によりサイズが1種類だったり、電源コードの取り外しの可・不可、外鍋がアルミ製かステンレス製かの違いがあります。
電鍋とあわせてそろえたい便利グッズ
・せいろ:蒸し料理を作ったり、同時調理したいときに使います。Mサイズは21cm、Lサイズは27cmが外鍋にはまります。
・蒸し板:小さめのせいろを使うときに使います。蒸し板を外鍋にはめればその上に置いて使えます。
・クッキングシート:せいろに敷く蒸し紙を作ったり、落し蓋代わりに使います。
・耐熱ボウル:内鍋の代わりに使用。せいろやざる、耐熱皿を一緒に使って同時調理が可能です。
・平ざる:内鍋や耐熱ボウルの上にざるを重ねれば、上下段で同時調理が簡単にできます。
・トング:調理後はお皿がとても熱くなるので、トングがあると便利。すべらないように気をつけて。
電鍋発売元 大同日本公式の別売りアイテムもあります
・ステンレスせいろ:電鍋に重ねて、せいろ部分だけでも最大3段の調理が可能。ステンレス製でお手入れもラク。
・ステンレス蒸し皿:Mサイズの内鍋の上にぴったり置ける大きさで2段調理が可能に。
・フッ素加工内鍋:Mサイズに合う大きさ。お米を炊いても鍋にこびりつきません。
電鍋を使ってみよう!
電鍋の基本を知ったら、さっそく実践。電鍋初心者さんは、簡単なものを蒸したり、だしをとってみて。電鍋のおいしい魅力に気づくはず!
ご飯を炊く
もとは炊飯器として開発された電鍋だから、ご飯を炊くのはお手のもの。一般的な電気炊飯器と違い蒸気で炊きあげるので、米粒が立っていてハリがあり、噛むほどにお米のうまみが感じられます。白米だけでなく、炊き込みご飯やおこわもおいしい!
さらに水分量を調整すればお粥も調理可能。電鍋で作ると、炊飯同様にお米の粒感がしっかり感じられる仕上がりに。保温機能を上手く活用することで、「サラサラ」と「もったり」、どちらのお粥もできます。
〈材料〉3合分
米…3合
水…電鍋の内鍋の3の目盛りまで
〈炊き方〉
1.お米を研いで水気をきり、内鍋に入れる。水位線まで水を入れ、30分浸水させる。
2.外鍋に水1カップを入れる。①をセットし、外蓋をしてスイッチを入れる。
3.できあがったら、そのまま10分ほど蒸らす。
〈MEMO〉
蒸らし終わったあと放置すると、内鍋にご飯がこびりついてしまいます。すぐに混ぜておひつに移すか、食べる分だけ盛り付けて、残りはラップに包んで冷凍しましょう。
煮る
電鍋なら煮込み料理もほったらかしで大丈夫。直火調理ではないので焦がす心配がありません。保温スイッチを入れておけば、調理が終わっても温かいままです。また、むぎ茶を煮出すのにも便利!
【むぎ茶レシピ】
〈材料〉1L分
むぎ茶(市販のもの)… 1パック
水…1L
〈作り方〉
1.内鍋にむぎ茶と水を入れる。
2.外鍋に水1カップを入れる。①をセットし、外蓋をしてスイッチを入れる。
3.スイッチが上がったら、できあがり。
〈MEMO〉
出かける前にスイッチを入れて、帰ってくるまで茶葉を抜かずに放置しても、えぐみなどが出ずおいしく作れます。
蒸す
電鍋は蒸しものが大得意!じゃがいものほか、トウモロコシ、さつまいもを蒸すのもおすすめ。卵なら、ゆで卵ならぬ「蒸し卵」が手間なく完成。白身がふわふわしていて、電鍋ならではのおいしさです。
【蒸し卵(ゆで卵)レシピ】
〈材料〉
卵…適量
〈固ゆでの作り方〉
1.外鍋にスチームプレートを入れ、水1/2カップを注ぐ。
2.耐熱皿にのせた卵をセットし、外蓋をしてスイッチを入れる。
3.スイッチが上がったら、そのまま3分ほどおき、冷水にとる。
【半熟卵レシピ】
1.外鍋にスチームプレートを入れ、水2カップを注ぐ。外蓋をしてスイッチを入れる。
2.湯気が出てきたら、耐熱皿にのせた卵をセットする。外蓋をして9分蒸し、冷水にとる。
温める
冷凍食品やできあいの惣菜も、電鍋で温めれば、まるでできたてのような味に。蒸気を利用するので、電子レンジとは異なり水分が奪われず、しっとり、ふっくらと仕上がります。
【冷凍ご飯の温め方】
耐熱皿にのせた冷凍ご飯(ラップから外したもの)をスチームプレートにのせて、外鍋に水を注ぎスイッチを入れる。注ぐ水はご飯1杯で1/2カップが目安。
【冷凍しゅうまいの温め方】
冷凍しゅうまいを凍ったまま耐熱皿に並べ、スチームプレートにのせて、外鍋に水を注ぎスイッチを入れる。注ぐ水は写真の量で1カップが目安だが、様子を見て足す。
だしをとる
電鍋でとるだしは格別!外蓋を外したまま加熱するので、だしパックに最適な温度が保たれるため、えぐみのない透き通った黄金色のだしがとれます。香りが飛んでしまうので、できれば当日中に使い切って。
〈材料〉600ml分
だしパック(市販のもの)…1袋
水…600ml(だしパックの袋に記載の量)
〈作り方〉
1.外鍋に水1カップを入れる。内鍋にだしパックと水を入れてセットし、外蓋をせずにスイッチを入れる。
2.できあがったら、だしパックを取り出す。
2品同時調理の方法もチェック
電鍋の最大の強みは同時調理ができること。スチームプレートの上に小皿を並べたり、ざるや内鍋で上段と下段に分けて、2品を一度に作ったり。この複数皿使いや上下段ワザを覚えると、1品だけ作るのがもったいないなんて気持ちになってしまうかもしれません!
〈2品同時メニュー〉
①ほたての茶碗蒸し
②舞茸とほうれん草と油揚げのごま和え
〈ほたての茶碗蒸しの材料〉2人分
ボイルほたて…60g
椎茸(薄切り)…2個
三つ葉(3cm幅に切る)…1/2かぶ
A
卵…1個
だし…180ml
しょうゆ…小さじ1/2
塩…少々
〈舞茸とほうれん草と油揚げのごま和えの材料〉2人分
ほうれん草…1/2束
油揚げ…1枚
B
しょうゆ…小さじ1
砂糖…小さじ1/2
すりごま…小さじ1
〈準備〉
・ ボウルにAを入れて混ぜ、耐熱の器に注ぎ、椎茸を入れて軽く混ぜる。
・ 耐熱皿にほうれん草と油揚げをのせる。
・ ボウルにBを入れて混ぜる。
〈作り方〉
1.電鍋の外鍋に水1/2カップを入れ、スチームプレートを置き、茶碗蒸しをのせる。
2.①の茶碗蒸しの器に、割り箸をのせて、ほうれん草と油揚げの耐熱皿をのせる。
3.スプーンの丸い部分を内側に入れて外蓋の間に挟み、少し間を空け、スイッチを入れる。
4.湯気が出て6~7分ほどしたら、ほうれん草と油揚げを取り出し、茶碗蒸しにほたて、三つ葉(茎部分)を入れ、外蓋を戻して、そのまま加熱する。
5.スイッチが上がったら、保温スイッチを入れて15~20分おく。
6.ほうれん草と油揚げを冷水にとり、水気をよく絞ったら、食べやすい大きさに切り、Bのボウルに入れて、混ぜる。
7.それぞれのお皿に盛り付け、茶碗蒸しは三つ葉(茎の部分)を飾る。
電鍋でデザートも作れます!
【台湾屋台のクリームプリンの作り方】
プリンカップに電鍋の金属部分が直接触れないよう、濡れ布巾などを敷くのがコツ。なめらかで均一に火が通ったプリンになります。
〈材料〉プリンカップ4~5個分
生クリーム…100ml
牛乳…150ml
卵…2個
練乳…大さじ2
グラニュー糖…大さじ2/3
[カラメルソース]
グラニュー糖…40g
水…大さじ1
湯…大さじ1
〈作り方〉
1.小鍋にカラメルソースのグラニュー糖と水を入れて火にかけ、鍋を揺すりながら茶色になるまで焦がし、湯を加えてソースにし、プリンカップに入れる。
2.電鍋の内鍋に卵とグラニュー糖を入れて、泡だて器でよく混ぜる。
3.②に生クリーム、牛乳、練乳を2回にわけて加え、その都度よく混ぜる。
4.①のプリンカップに③を9分目まで注ぎ、ラップをそれぞれにかぶせる。
5.外鍋に水1/4カップを入れ、スチームプレートをのせて、その上に濡れ布巾を敷き、プリンカップをのせる。
6.スプーンの丸い部分を内側に入れて外蓋の間に挟み、少し間を空け、スイッチを入れる。
7.スイッチが上がったら、スプーンを外して、保温スイッチを入れて、15~20分おく。
8.プリンカップを取り出して、粗熱をとり、冷蔵庫で2~3時間冷やす。
「電鍋」の使い方Q&A
Q.何℃までの耐熱容器なら電鍋で使える?
調理中、鍋の中は最高250℃まで温度が上がります。250℃以上の耐熱容器(セラミック製、金属製、ガラス製、陶器製)を使用してくださいね。
Q.電鍋で使える耐熱容器のサイズを教えて!
以下を目安にしてください。
・電鍋のサイズM:直径18cm/一辺13cm/縦13cm、横11cm、高さ9.5cm以下
・電鍋のサイズL:直径20cm/一辺15cm/縦15cm、横13cm、高さ11.7cm以下
Q.電鍋を置いて調理するのがNGな場所は?
感電や破損の原因になるので、水槽の近くなど水がかかる恐れのある場所や、ガスコンロ、ヒーターのような火元の近くに置かないでください。屋外での使用もNGです。
Q.調理中に外出しても大丈夫?
はい、大丈夫です。調理が終わるとスイッチが自動的に切れ、加熱が終了します。ただし保温機能をオンにしておくと、40~50℃の保温状態が続きます。食品が悪くならないようにお気をつけください。
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しっとりやわらかな蒸し豚も、うまみ凝縮スープも、デザートも。1台あると料理のレパートリー無限大で、料理がどんどん楽しくなること間違いなしですよ!
出典:『ぜーんぶ電鍋!』
炊く・煮る・蒸す・温める・同時調理・低温調理・湯煎料理など、電鍋で作る68レシピを収録。電鍋ヘビーユーザーのインタビューやコラムなど、台湾好きにはたまらない1冊に!
『ぜーんぶ電鍋!』
1,500円/主婦の友社
記事を読む⇒蒸し器の基本の使い方。実はフライパンでも蒸し料理ができる!
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