肉まんや小籠包、蒸し野菜、茶碗蒸しなど、私たちの食卓によく登場する蒸し料理。蒸気で“蒸す”というシンプルな調理法ではありますが、難しく感じて調理に躊躇している人も多いかもしれません。
でも大丈夫!「蒸し器」の使い方さえおさえておけば、蒸し料理はとても簡単です。そしてヘルシーで美味しく仕上がります。
この記事では、蒸し器の種類や使い方、蒸し方のコツをご紹介。フードスタイリストのダンノマリコさんによる簡単蒸しレシピも必見です。
そもそも蒸し料理とは?
蓋をとると、ほかほかの湯気が広がる蒸し料理。蒸気で蒸すだけのシンプルな工程で、肉や魚をヘルシーに食べることができ、野菜はカサが減る分たっぷり食べられます。
冷やごはんやおこわなどの主食や、プリンや蒸しパンなどのおやつなど、蒸して食べる料理はバリエーションがとても豊かです。
蒸し料理
肉まん、あんまん、シュウマイ、小籠包、点心、茶碗蒸し、プリン、蒸しパン、ケーキ、おこわ、白ごはん、ちまき…etc.
蒸して食べられる食材
豆、じゃがいも、とうもろこし、蒸し野菜、さつまいも、かぼちゃ、栗、鶏肉、豚肉、タラ、鮭…etc.
蒸し料理や蒸して食べられる食材はまだまだあります。ぜひ蒸して食べてみてください。
蒸し器は種類がいろいろ
蒸し料理を作る際に欠かせないのが「蒸し器」です。ステンレス製や竹製のもの、取り付け自由なパーツなど、蒸し器にはいろいろな種類があります。自分に合う蒸し器はどのタイプか、チェックしてみてください。
王道はステンレス製の蒸し器
家庭でよく使われているのが、上段・下段の2段に分かれた金属製の蒸し器です。
熱伝導がよく、短時間でしっかり蒸すことができるのが特徴。洗いやすく手入れがしやすいことも人気です。
下段の鍋を単独で使い、煮ものやゆでものをするなど、一つ持っているととても重宝します。
このステンレス製のタイプは、小さい鍋から大きな鍋まで、サイズに選択肢がある点もポイントです。頑丈なのでお皿に食材をのせて蒸したり、茶碗蒸しを複数並べたり、器ごと入れて安心して使うことができます。
自前の鍋にはめられるフリーサイズの折りたたみ式
蒸し器には折りたたみ式のタイプも。ハネが開閉し、自宅にある鍋にはめて使うことができます。蒸し器を持っていなくても、このパーツさえあれば手軽に蒸し料理を作ることが可能。たためばコンパクトになるので、収納にも困りません。
中央には持ち手があり、スムーズに取り外しができます。足付きで、鍋に水を入れて使います。
ハネを開閉することで、鍋の大きさにあわせることができ、1個で幅広い鍋に合わせることができる万能な調理道具。ステンレス製なのでお手入れはとても簡単で、気軽に使えます。
気分が上がる中華せいろ
本格的な見た目に憧れる人が続出中の「中華せいろ」。竹や杉、ひのきなどの木製で、雰囲気がありテンションの上がる見た目です。
鍋の上に組み合わせて使い、調理後にそのまま食卓に出すことも可能。一見、料理上手な人が使う道具という印象がありますが、1〜2人分からの少量の調理もできる優れものです。
お手入れさえきちんとすれば、意外にも使いやすいので、蒸し料理の初心者さんもぜひお試しを。
中華せいろの特徴は、何段も重ねて使うことができ、一気に蒸すことができることです。上手に調理をするカギは、どこに何を入れて蒸すかを考えること。
下段は火が通りにくい食材を蒸し、蒸し時間が短いものはその上の2段目3段目に入れて蒸すのがポイントです。
水が出やすいものや肉汁が出るものは、下段にセットするようにしましょう。一気に蒸しながら、先に蒸し上がった上段から外していきます。
シリコンスチーマーや電気蒸し器も
火を使わずに蒸し料理を作れる調理器具もあります。それはシリコン製のスチーマー。
野菜や肉などの材料を入れて電子レンジで加熱するだけで、短時間で出来上がるので、忙しいときやパッともう一品作りたいとき、コンロが埋まっているときなどに重宝します。鍋を使うよりも、後片付けがラクな点も魅力です。
暑い時期は、火を使った調理は大変ですよね。電子レンジでヘルシーな蒸し料理を作れるのは見逃すことができません。
また、シリコンスチーマー同様に、電気蒸し器も便利。電子レンジ派の方はぜひ両方チェックしてみてください。
フライパンなら蒸し器いらず!
蒸し器がなくても、フライパンを代用して蒸し料理を作ることができます。
食材をクッキングシートやアルミホイルで包み、フライパンに水を注いで蓋をします。あっという間に即席の蒸し器に変身!
フライパンは浅型よりも深型のほうがいろいろな食材を蒸すことができます。
蒸し器の蒸し方&使い方をじっくり解説
蒸し料理を美味しく作るためには、使い方を覚えておくことが大切です。今回、家庭でよく使われているステンレス製の蒸し器を使い、食材の蒸し方や調理のコツを紹介していきます。
1.【蒸す前の準備として】蓋にふきんを巻きつける
ステンレス製の蒸し器の場合、蒸気によってふたに水滴が溜まります。その水滴が素材に落ちるのを防ぐために、蓋にふきんや手ぬぐいなどを巻きつけていきます。
布に火がつかないように、しっかり巻くのがポイント。ゴムなどでしばっても安心です。
竹や木で作られている中華せいろは、蓋から水滴が落ちにくい構造になっているため、ふきんや手ぬぐいを巻きつける必要はありません。
2.まずは水を沸かす
まず下の鍋に水を入れて沸かします。水の量は、半分よりも少し多いぐらいが目安。水の入れすぎは蒸す際に食材にお湯がかかってしまうため、気をつけて。
また、少なすぎると空焚きになる場合もあるため、水の量は意識して使いましょう。
3.湧いてきたら上鍋をのせて蒸し始めます
蒸し始めるのは、お湯が沸いてから。上鍋に蒸す食材を事前に入れ、下鍋の上にのせてセットします。
ここで蒸しているのは、冷蔵庫にある野菜の数々。お皿に蒸したい野菜を並べ、そのまま皿ごと蒸し器へ。中火で蒸しましょう。
短時間で蒸せるパプリカやエリンギ、ブロッコリーは先に取り出し、さつまいもやにんじんなどは火が通るまでじっくり待ちます。
4.ゆっくりじっくり蒸すときは菜箸をかませる
やわらかく蒸したい、時間をかけて蒸したいというときは、鍋とふたの間に菜箸などをはさんでおきます。蒸気をほどよく逃す中華せいろと同じように、高温になりすぎずに蒸すことが可能。
ゆっくり蒸すことで茶碗蒸しやプリンは割れず、野菜は歯ごたえを残しつつうまみのある味わいに。蒸す食材や道具を見ながら、試してみましょう。
※蓋をずらして乗せておいても同様の効果があります。
5.蒸気が出ているかを確認しながら
空焚きになっていないか、蒸気が出ているか、などを見守りながら蒸し上がりを待ちましょう。強火で一気に、中火でじっくり、食材に合わせて火加減を調整します。
6.やわらかくなったものから取り出して
ブロッコリーやパプリカ、エリンギなど、蒸し上がったものから取り出していきます。
7.竹串を刺してやわらかくなっているかを確認したら出来上がり!
最後に残ったのは、にんじんとさつまいも。竹串などを通して食べられる固さかチェックをして、器に盛ったら出来上がりです。
蒸すことで素材の甘みが引き出され、そのまま食べても味わいに感動します。塩やマヨネーズなど、お好みで一緒にどうぞ。
蒸し野菜にディップを添えて【レシピあり】
ここでご紹介するのは、蒸し野菜に添えるアボカドとツナのディップのレシピ。野菜を蒸している間にディップを作り、蒸し上がった野菜につけていただきましょう。
【材料】
・お好みの野菜 ※今回は、かぼちゃ、にんじん、ブロッコリー、エリンギ、パプリカを使いました。
・アボカド…1/2個 (熟しているもの)
・ツナ缶(ノンオイル)…1缶
・オリーブオイル…大さじ1/2
・レモン汁…大さじ1/2
・塩…小さじ1/2
・こしょう…少々
【作り方】
1.アボカドはボウルに入れてフォークなどで粗くつぶし、汁気を切ったツナ、オリーブオイル、レモン汁を合わせ、塩こしょうで味を整える。
2.野菜は食べやすい大きさに切り、鍋よりもひと回り小さな皿に重ならないように並べます。その後、蒸し器の上段に入れます。
*にんじん、かぼちゃなどの固い野菜は1cm程度の厚さにすると火が通りやすい。
3.火が通ったものから取り出し、ディップをのせながら食べましょう。
フライパンが蒸し器に変身!簡単な使い方
蒸し器の代わりにフライパンを使う方法もあります。フライパンにクッキングシートを敷き、蒸したい食材を置きましょう。クッキングシートをめくって水を注ぎます。
フライパンからはみ出しているクッキングシートは、火が燃え移らないように折りたたみます。
蓋をして蒸し始めます。蒸す食材やフライパンの大きさに合わせ、水の量を調整しながら作ってみてください。
実は簡単!蒸し器で作る豚肉シュウマイ
蒸し料理といえばシュウマイが思い浮かびますが、自分で作るとなるとちょっと難しそう…。でも実は、シュウマイはとても簡単に作れるんです。
今回ご紹介するのは、中華せいろで作る豚肉のシュウマイです。玉ねぎと生姜を多め入れた一品。ひき肉はなるべく脂身の多いものを選び、粘りが出るまでしっかり混ぜるのがポイントです。
【材料(12個分・約2人分)】
A
・豚ひき肉…200g
・オイスターソース、しょうゆ、砂糖、ごま油…各小さじ1
・酒…大さじ1
・塩…小さじ1/2
・玉ねぎ…小1/2個
・生姜の粗みじん切り…大さじ2
・片栗粉…大さじ1
・シュウマイの皮…12枚
・キャベツ…適量
【下準備】
せいろ(蒸し器も同様)にキャベツをしいておく。
*キャベツがない時はオーブンペーパーを周り1cmほど開けて敷く。全面を覆うと蒸気が上にいかないため。
*蒸し器の鍋に水をはって火にかけておく。
【作り方】
1.大きめのボウルにAを合わせて粘りが出るまで手で円を描くように混ぜる。
2.別のボウルで玉ねぎと生姜に片栗粉をまぶし、①に混ぜる。練らない程度に合わせる。
3.②を12等分にしてからシュウマイの皮で包む。スプーンやバターナイフでタネをすくい、皮の中央にのせる。親指と人差し指を合わせて円を作り、中に押し込む。上面と側面を整えて底を平らにならす。
4.キャベツを敷いたせいろに③を並べ、沸騰した鍋の上にのせる。中火で8分ほど蒸したら出来上がり。蒸し時間は鍋のサイズに合わせて調整を。
そのまま食卓に出しても素敵な中華せいろ。豚肉と玉ねぎ、生姜のシンプルな材料で作り、しっとりとした舌ざわりがたまりません。材料はシンプルでレシピも簡単。気軽に作ってみてください。
昔ながらのたまごプリンも蒸し器で簡単!
手作りプリンは黄身を多めにして作るのが一般的ですが、白身が余るため、ちょっと困ってしまうことも。今回は、そんないつも余ってしまう白身も使った蒸しプリンをご紹介します。
【材料(4個分)】
・たまご…4個
・牛乳…300ml
・きび砂糖…大さじ4 ※上白糖でもOK
・バニラエッセンス…2〜3滴
*お好みで
ホイップクリーム、チェリー缶、メープルシロップ…適宜
【下準備】
蒸し器の下の段に水を入れ、火にかける。
※今回は、ステンレス製の鍋を使いました。
【作り方】
1.ボウルにたまごをわりほぐし、砂糖をあわせて混ぜる。
2.鍋に牛乳を入れて中火にかけ、フチにフツフツと気泡が出てきたら火からおろす。
3.①に②の牛乳を合わせて混ぜ、ザルでこす。カップに均等に流し入れ、上段にのせる蒸し器に並べておく。
4.③を沸騰した鍋の上にのせ、菜箸2本かませた状態で蓋をする。中火(ポコポコとお湯が沸いて湯気が常にあがっている状態)で6分、弱火(フツフツとお湯が沸いて湯気がうっすらとあがる状態)にして3分蒸したら、火を止める。箸を外して再び蓋をし、余熱で10分置く。
5.カップを揺らし、たまご液が固まっていれば出来上がり。鍋から出して粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やし、お好みで生クリームなどをトッピングする。
*使用する容器により加熱時間は変わります。時間どおり固まらない場合は、フタをしたままごくごく弱火で3分ずつ加熱しましょう。
出来上がったたまごプリンに、お好みでホイップクリームをのせ、チェリーを飾ります。喫茶店のプリンのような昔懐かしい雰囲気はグッとくるもの。メープルシロップやカラメルソースをかけて召し上がってください。
プリンのほか、蒸しパンや蒸しケーキなど、いろいろなスイーツを作れるのも蒸し料理の魅力です。蒸し器で手軽なスイーツ作りも楽しんでみて。
シュウマイもプリンも作れる蒸し料理
蒸し料理は、ステンレス製の蒸し器や中華せいろ、折りたたみ式のパーツ、フライパンなどで誰でも手軽にできる料理です。
冷蔵庫にあるキャベツやもやし、鶏肉、ソーセージなど、蒸すものはなんでもOK。もち米から蒸したり、冷やご飯やあんまんを温めたり、毎日食べる炭水化物の調理にも大活躍です。
シュウマイや小籠包、茶碗蒸しなど、いろんな蒸し料理にチャレンジしてみてください。
監修・調理/ダンノマリコ 撮影/中村彰男 文/鈴木有子
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