多くの健康効果が知られている緑茶ですが、最近、水でいれる「水出し緑茶」には、熱いお湯でいれる緑茶以上の嬉しい効果があることがわかってきました。家にあるお茶の葉で、すぐに作れて見た目も涼しげ。これから夏の飲み物の定番は、水出し緑茶でいかがですか?
水出し緑茶とは?
お茶の葉に、80度以上のお湯を注いで30秒から1分ほど置いたものが普通の緑茶。カフェインが含まれるので、眠気ざましやリフレッシュにも役立つほか、緑茶に含まれるカテキンの一種、エピガロカテキンガレートという成分とカフェインの効果で、心臓や脳血管、呼吸器系の病気になるリスクを減らしてくれます。
国立がん研究センターの研究では、緑茶を1日に5杯以上飲んでいる人の死亡率は、1杯以下の人に比べ、男性で13%、女性で17%低くなるという結果が出たことも。
エピガロカテキンガレートという成分は、抗酸化作用や、体脂肪の蓄積を抑制する作用、中性脂肪を低下させる作用などがあり、生活習慣病予防には強い味方となるのですが、実は、この緑茶のカテキンは数種類あり、低温で抽出する緑茶には、免疫力アップに強い効果のあるタイプのカテキン=エピガロカテキンが含まれることがわかりました。
この、免疫力アップに効果がある、エピガロカテキンを摂取できるのが、茶葉を水に浸してじっくりと時間をかけて抽出する水出し緑茶なのです。
抽出されるカテキンの種類は、抽出時の水の温度によるので、熱いお湯でいれた緑茶を冷やしたものでは、このエピガロカテキンを含む水出し緑茶の効果を得ることはできません。
・旨み甘みが豊富
緑茶の魅力のひとつでもある苦みや渋みですが、この二つがあまり強すぎるものは苦手な人も多いでしょう。そんな苦味や渋みの原因であるある種のカテキンは、低温でいれた場合はあまり出てこないので、水出し緑茶では、お茶の苦味や渋みよりも、旨みや甘みがまさって、まろやかな味のお茶になります。
また、水出しすると、お茶の旨み成分「テアニン」を十分に引き出すことができるので、まろやかな甘さを味わいたいときは、水でいれるのが良いでしょう。
・カフェインが少ない
実は緑茶には、コーヒーよりも多いカフェインが含まれているのですが、低温でいれると、このカフェインの抽出量も格段に減るので、カフェインをとると眠れなくなってしまうというような人にも、水出し緑茶はぴったりです。
・ビタミンCを多くとれる
緑茶にビタミンCが多いことはよく知られていますが、ビタミンCは熱に弱く、高温でいれると壊れてなくなってしまうこともあります。水出し緑茶なら、高い温度で壊されることもなくビタミンCを抽出し、体の中に取りこむことができるので、ビタミンCを積極的にとりたい場合はやはり水出し緑茶の方が良いでしょう。
・免疫力を高める
水出し緑茶に免疫力を高める効果があることを発見したのは、農業・食品産業技術総合研究機構の研究員でした。数年前、緑茶の成分を研究しているときに「お茶をいれてからさます」という作業の時間を短縮しようと、水で緑茶をいれてみたのが始まりです。
水でいれた緑茶に、人間の細胞を加えてみたところ、免疫細胞の「マクロファージ」が活性化し、有害物質を退治し始めたのだそうです。
この現象から、水出し緑茶には特有の免疫を高める効果があると話題になり、その後の分析により、マクロファージを活性化させたのは、緑茶に含まれるカテキンの1種「エピガロカテキン」だとわかりました。
エピガロカテキンは、緑茶を低温でいれることで多く抽出されるため、水出し緑茶を飲むと熱い緑茶を飲むよりも、免疫力をアップする効果が期待できるのです。
・2煎目でもとてもおいしい
水出し緑茶のもうひとつのメリットは、2煎目でもおいしいところです。お湯出しの場合、2煎目には苦味や渋みが増してしまうのですが、水出しの場合はそれがありません。また、お湯出しでは酸化しやすくなる茶葉も、水出しでは2煎目まで少し時間をおいても使えます。
抽出されるカテキンの種類が違うため、水出しで使った茶葉を、2煎目でお湯出しに使うこともできますが、その際は覚醒作用のあるカフェインや、抗酸化作用などのあるエピガロカテキンガレートを摂取することができるでしょう。
おいしい水出し茶の作り方って?
水出し茶を作ると言っても、専用の茶葉があるわけではありません。普段お湯出しで飲んでいる緑茶の茶葉で大丈夫です。
【用意するもの】
・茶葉…30g
・ミネラルウォーター、もしくは水道水…1ℓ
・氷…適量
(・茶葉を入れるパック…1枚)
・水出しをするための容器
【手順】
1, 冷水ポットに茶葉を入れる。フィルターのない容器の場合、洗うときのことを考えると、お茶パックなどにいれたほうが便利。
2, 水を茶葉が浸る程度(容器の底から2~3センチの高さまで)入れ、茶葉が開くまで5~10分置く。
3. 氷を容器の高さの半分ほどまで入れる。
4. 残りの水を入れ、マドラーや菜箸などでよくかき混ぜる。
5. 冷蔵庫に保存して、冷えたら飲み頃。24時間以内で飲みきるのがおすすめ。
氷で水出し緑茶の作り方って?
水出し緑茶をさらに進化させ、エスプレッソのような深い味わいも楽しめるという「氷出し緑茶」という飲み方もあります。
効果は水出しと同様、免疫力アップにつながるものですが、より低温で抽出するためか、味わいがさらにまろやかに、深みが出て、さらにおいしくいただけます。氷がとけた分を少しずつ飲むということで、特別感がアップして、おもてなしにも最高です。
【用意するもの】
・茶葉…5〜6g
・氷…3cm角程度のものなら3〜4個
・水出しをするための容器(急須でOK)
・小さめのグラス
【手順】
1. 急須に茶葉を入れ、その上に氷を均一にのせる。
2. 5~6分、氷が溶け出すまで待つ。
3. 氷が溶けて、適量の水に変わったら、グラスに注ぐ。
4. 2煎目以降もこの手順で、10煎ほどまでは楽しめる。
水出し緑茶専用のおすすめボトルって?
毎日作りたい水出し緑茶。フィルター(茶こし機能)が付いているものなど、水出し緑茶を作るためのボトルがあれば便利ですね。テーブルに出して緑茶の色を楽しめるようなもの、携帯にも便利なものなど、5つのボトルをご紹介します。
HARIO (ハリオ) フィルターインボトル 750ml オリーブグリーン FIB-75-OG/HARIO(ハリオ)
注ぎやすい急須で定評のあるハリオのフィルターつきボトル。茶葉はダイレクトにボトルの中へ。注ぎ口部分にフィルターが付いています。耐熱ガラスなので温かいお茶にも対応、片手で持ちやすい仕様なのも嬉しいですね、
HARIO (ハリオ) かご網付き 水出し 茶 ポット 1,200ml ダークグリーン HCC-12DG/HARIO(ハリオ)
家庭用で容量重視なら、1.2ℓ入るこのポットがおすすめです。クラシックな形状ですが、フィルターのサイズが絶妙で、ファンの多い商品。ボトルの中央あたりに茶葉が入るので、水量が半分よりも減れば、それ以上お茶が濃くならないという、よく計算されたつくりです。
岩崎 冷水筒 ブルー 2.2L タテヨコ・ハンドルピッチャー ネクスト K-1297NB/岩崎
2.2ℓの大容量に加えて、このボトルの素晴らしいところは、縦にも横にも置けるところなんです。夏場など特に、冷蔵庫のボトルケース部分がいっぱいで…ということが起こりますよね。そんな時に、寝かせて収納できるこのボトルなら安心です。開口部が広いので、内側も洗いやすく、たくさんお茶を飲むファミリーにはぴったりの商品です。
MIU COLOR ガラス水筒 ボトル 700ML大容量 カバー付き 鉛無し 学校や会社各場所用(茶こし&グレー)/MIU COLOR
おしゃれなボトルで水出し緑茶を外出先でも。網目の細かいフィルターで、茶葉が出てくることもなく、おいしいお茶を、ゴクゴク飲むことができます。本体は匂いうつりの心配のないガラスボトルで、キャップはステンレス。洗いやすさもポイントです。
ガラス水筒 ONEISALL 水筒 ボトル 耐熱ガラス 透明 水筒の専門店 二重ガラス ボトル ケータイマグ 茶こし付き 男女兼用 贈り物 直飲み (600ml)/oneisall
上部に茶こしがついたスタイリッシュなボトル。600mlで携帯にもちょうど良いサイズです。二重ガラスになっている分、容量に比べると見た目がやや大きめですが、きれいなグリーンの水出し緑茶や、カラフルなフルーツ&野菜を入れたデトックスウォーターなど、デスクに置いておくだけでやる気が出そうなボトルです。
まとめ
何気なく飲んでいた緑茶ですが、水でいれると味も効果もこんなに違ってくるとは。甘みが増した緑茶なら、きっと子どもたちも喜んで飲んでくれるはず。夏場は麦茶専門、というお宅も多いですが、冬の風邪シーズンに備えて免疫力をアップさせるためにも、水出し緑茶を飲むことを習慣づけたいですね。
まとめ/伊波裕子
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