高級食材として、一度は聞いたことがあるカラスミ。とにかく高いらしい、日本酒のツマミに最高らしい、などなど、ウワサばかりでまだカラスミ未体験という人も多いのでは。そんな伝説のカラスミ、どんなものなのか調べてみました。
カラスミとは?
カラスミは、ボラやサワラ、サバなどの卵巣を塩漬けしたものを乾燥させたもの。漢字で書くと「唐墨」となりますが、これは、カラスミの形状が、中国(唐)伝来の墨に似ていたことから付けられたようです。
日本では長崎県産のボラの卵で作られたものが有名ですが、日本以外でも台湾や、イタリアのサルデーニャ島などでも作られています。
このカラスミ、日本では江戸時代から、ウニやコノワタとともに「三大珍味」と呼ばれています。魚卵を使うので、形はたらの卵巣であるたらこや明太子とそっくり。でも色味は深いオレンジ色から茶褐色、たらこや明太子のように透明感はなく、墨っぽい色をしたものもあります。
味も大雑把に言えばたらこふう。「塩辛くねっとりとしたチーズのようなドライたらこ」でしょうか。ただじっくり味わうと、さすがは高級珍味。塩辛さの中にもコクがあり、まろやかな甘みすら感じるあとを引く旨味が感じられます。高価な酒肴として珍重されるだけのことはありますね。
薄く切り分けてオードブルにしたり、すりおろしてパスタにかけたり、軽く炙っても、香ばしさが増して、さらにおいしくいただけます。
・作り方
ボラの卵(生カラスミ)から自分で作るということはあまりないかも知れませんが、カラスミの作り方、6つの手順を追ってみましょう。
工場ではボラをさばくところから、家庭で作る場合は、大きめの鮮魚店などでボラの卵巣(生カラスミ)を購入するところから始めます。手に入れば4、5腹を一度に作ることができます。
1血抜き
生のカラスミの、縦に流れる太い血管、横に何本か入っている細い血管から血を抜くのですが、家庭で行う場合は待ち針などで、皮を破らないように、慎重に血管に穴を開けていきます。
穴が空いたら水につけながら軽く押し、血液を押し出します。
この血抜きがうまくいかないと生臭くなってしまうので、この作業はかなり大切。
仕上げに、ボウルに氷水を入れた中にカラスミをつけ、冷蔵庫で一晩寝かせます。
2塩漬け
バットに粗塩を敷き詰め、その上にカラスミを置きます。その上から塩でカラスミを覆い、ラップをかけて、冷蔵庫で24時間寝かせます。
1日経つと、カラスミから水分が出てビシャビシャに。その水分を捨て、また塩で覆ってラップをし、冷蔵庫へ。24時間後にまた取り出し、同じ作業をします。
4日ほど繰り返すと大分身がしまって、出てくる水分も少なくなりますが、もう少し繰り返して、全部で1週間ほど塩漬けします。
3塩出し
水分が抜けたカラスミから、今度は塩分を少し排出させます。さっと水洗いして余分な塩を落とし、水を張った大きめのボウルに2~3%くらいの塩を入れ、カラスミを浸します。2時間経ったら一度水(1度目と同様に塩をくわえる)を交換し、さらに2時間、合計4時間塩抜きをします。
4酒漬け
塩抜きをしたカラスミをキッチンペーパーなどでよく拭き、今度はお酒に浸けます。日本酒と焼酎を半々の割合で入れたバットにカラスミを寝かせます。(日本酒、焼酎はこのときカラスミが隠れるくらいの量を用意)
ラップをかけて、このまま冷蔵庫で5日間寝かせます。
5日後、寝かせたカラスミを触ってみて、芯まで柔らかくなっていたら天日干しへ。固いようならもう1、2日酒漬けを続けます。
5成形
酒漬けの終わったカラスミをキッチンペーパーでよく拭き、不織布ペーパーなどを敷いたバットにカラスミを寝かせます。その上にまた不織布ペーパーをかぶせ、重石のようにまな板を置きます。さらに1リットルの牛乳パック2本くらいを、均等に重さがかかるように載せ、冷蔵庫で一晩寝かせます。
6天日干し
干し網(木枠に金網を張ったものなど)の上に巻きすを広げ、カラスミを広げて干します。虫などがつかないよう、できればさらに目の細かい金網で蓋をしておくとベターです。直射日光は避け、風通しの良い場所で乾燥させるのがポイント。
夜はまたバットへ戻し、成形プロセスと同様に牛乳パックをのせ、冷蔵庫へ。20日間くらい干せば、自家製カラスミの出来上がりです!
・歴史
このように、食べるまで1ヶ月、大変な手間暇のかかるカラスミを、最初に作った人は一体何を考えていたのでしょうか。
カラスミづくりが始まったのは、なんと2000年以上も前。現在のレバノン辺りを根拠地にしていたフェニキア人が考案したものだそうです。その後アラブ系の人々によりアジア方面へ伝わり、日本での歴史はまだ300年ほどですが、日本のカラスミは地中海沿岸で作られるものより水分が多く、より濃厚でねっとりした食感に進化しました。
一方、もう一つのカラスミ大国台湾では、生産量の2/3を日本へ輸出していたという日本統治時代などを経て、現在では庶民でも気軽に買える価格で売られています。日本だと一腹で4000~5000円ほどするカラスミですが、台湾ではその約半分ほどで購入できるので、台湾旅行のお土産にもおすすめです。
カラスミの食べ方は?
・そのままで
5mmほどの厚さにスライスして、そのままちびちびとお酒のアテに。シンプルで、カラスミそのものの味を楽しめる食べ方です。
・炙って
好きな厚さにスライスし、そのままあるいは日本酒を軽く振りかけて30秒ほど、炙るかオーブントースターなどで焼くと香ばしくいただけます。
・パスタなどに振りかけて
カラスミもイタリアのボッタルガも、クリーム系のパスタとの相性が抜群。おろし金で粉状にして豪快にかけていただくと、かなり幸せになれるでしょう。
・お茶漬け
カラスミのお茶漬けなんて贅沢ですね。ごはんの上にネギと刻んだカラスミ、海苔などをのせ、熱い番茶かだしを注いで。
・チャーハンに
これも贅沢なチャーハンになりますね。ネギと卵程度のシンプルなチャーハンを作り、炒め終わりの直前に粉状にしたカラスミを混ぜ、すぐに火からおろしていただきます。
・ピザのトッピングに
魚介系のピザに振り掛けると、3ランクくらい上のゴージャスなお味に! カラスミには火を通さず、焼いた後のピザに粉状のカラスミをふりかけて。白ワインと一緒にどうぞ。
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カラスミを使ったレシピ
暮らしニスタに届いたカラスミレシピ。日本のカラスミからイタリアのボッタルガまで、皆さんどんなふうに楽しんでいるのでしょうか?
乳脂肪ゼロ!!ボッタルガbottargaの軽い冷製パスタ、寄り添うアメ子と乾燥情熱
【材料 (1人分)】
パスタ…50g
絹豆腐…150g
豆乳生クリーム…70cc
コンソメパウダー…8g
からすみ…100g
メーラ 子供…各4ケ
ドライ パッションフルーツ…3ケ
タイム…少々
ふつうの半分の量のパスタでも、いつもの倍くらい濃いおいしさで大満足のカラスミパスタ。輸入物のボッタルガをたっぷり使って。
2018.06.14やっと作りました、からすみパスタ!!https://kurashinista.jp/articles/detail/47724少し湿度の高い今の季節・・・・爽やかな軽い口当たりのソースにからめ仕上げました。クリーム・クリー...続きを見る
シャリNoirとマグロのStendhalな、ある日
【材料 (1人前)】
Calrose(生米)カルフォルニア米…1カップ
寿司酢
シャンパンビネガー…20g
砂糖…9g
塩…5g
イカ墨ペースト…適量
塩ゆで 空豆…12粒
まぐろ 柵…150g
トッピング
からすみスライス…1枚
金箔・プラチナ箔…少々
金箔・プラチナ箔…少々
空豆・まぐろ薔薇…各1
金箔とカラスミでとにかく贅沢なマグロ丼。いや、丼ものとは言えないオシャレ感です。マグロの合間にカラスミをチビチビと、なんて幸せすぎますね。
2018.05.31((( ̄へ ̄井) なんだよ・・・・・イカレちゃってるじゃないか!!大丈夫か?じぇんじぇん大丈夫!!スタンダールと言えば・・・Le Rouge et le Noir “赤と黒”だろ黒いシャリとまぐろが・・・・マンネリな日常か...続きを見る
1本118円の葉付き人参で、遊びまくる・・・・・
【材料 (1人前)】
葉付き人参…1本
グレープフルーツジュース…50cc
桜エビ、天ぷら粉…少々
のり佃煮、マヨネーズ…少々
自家製サーモンふりかけ、パルメザンチーズ…少々
からすみ、マヨネーズ、レモン汁、ゆず胡椒…少々
マヨネーズにレモン汁と柚子胡椒、そして、カラスミを混ぜたディップ。ほんのりとカラスミ色に明るくなったマヨネーズを、新鮮なにんじんに添えます。
2017.06.29兵庫県 丹波春日部 高見正美さんの葉付き人参を1本 購入!!葉っぱもみずみずしく・・・・見るからに美味しそう!!セルフィーユに似た葉っぱ・・・・普段は、あまりお目にかかれませんよね。もう・・・・徹底的に遊んでやろうと思いス...続きを見る
セロリと仲良く遊ぶ、マリネ、フリット、マスタード、リコッタ、からすみ、生ハム
【材料 (1人前)】
セロリ…適量
生ハム…少々
バルサミコ酢…少々
もろみ味噌ドレッシング…少々
生ハム…少々
粒マスタード
金山寺味噌…少々
リコッタチーズ…少々
からすみ…少々
グリーンオリーブ…少々
ピンクペッパー、カイエンパッパー…少々
オードブルをきれいに盛り合わせたら、カラスミパウダーをパラパラと振りかけて。それだけで豪華さが増して、ステキなおもてなしの一皿になりますね。
2017.05.02セロリ(英: celery、学名: Apium graveolens var. dulce)は、セリ科の植物。嫌い・・・て人と、大好物!!て人と、2分化されますよね。私は・・・・後者です。マヨ・・・・なんて、、、食べ方は、...続きを見る
まとめ
カラスミ、と聞くとなんだか高級で手が出ない食材のような気がしていましたが、最近はお手頃価格で購入できるものも増え、ファンの層が広がっているようですね。
レシピのバリエーションも、お酒好きの人のためのおつまみから、大人も子どもも楽しめる食べ方へと変化。呑兵衛さんのお楽しみだけにしておくのは勿体無いですし、カラスミデビューを果たしていない人は、この機会にぜひチャレンジしてみてください。
まとめ/伊波裕子
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