長い間人気俳優であり続け、昨年秋に75歳で亡くなった樹木希林さん。表舞台での華やかな活躍とは別に、さまざまな職業や年代の人々と、直筆の手紙を通して交流を続けていたそうです。
このことは希林さんが亡くなる以前にはあまり知られていませんでしたが、亡くなって10日後に放送されたNHK「クローズアップ現代+」で取り上げられ、大きな反響を呼びました。「あー、あの番組ね」と思い出したかたも多いのでは?
“縁や絆を大切にする希林さん“が映し出された直筆の手紙
CM撮影で訪れた場所、演じた人物のモデルになった女性、ゲストとして招かれた成人式に出席した新成人…。自身がかかわりをもった対象に真正面から向き合うからこそ紡ぎ出された、希林さんの体温がこもった言葉たち。
一文字一文字の不揃いな大きさやかすれ具合などからは、手紙を綴っている最中の希林さんの心の動きや息づかいが感じとれるようです。
“わたしはこんなになったけど”北海道の無人駅に送った手紙
この手紙は北海道・宗谷本線の無人駅「比布(ぴっぷ)駅」の待合所の一角に飾られています。ここは希林さんが1980年の人気CM「ピップエレキバン」の撮影で訪れたロケ地でした。駅舎がリニューアルされた2016年の秋、お祝いの気持ちをユーモアたっぷりな言葉とイラストに込めてFAXで送ったもの。
“誰かの熱い思いがあるところに関わっていく それも手だわネ”
将来がはっきりしない若者へ送った手紙
長野県上田市にある美術館「無言館」。2016年にここで開かれた風変りな成人式で、参加した新成人たちに希林さんから手渡された手紙のうちの一通です。
希林さんは、参加する新成人が答えた事前アンケートを読んで一人ひとりに手紙を書きました。津山さんの回答には“将来の夢・目標”の欄が空白で、希林さんはそこに着目してこんなメッセージを綴りました。
「わたしネ 偶然役者の道に入ったけど60才過ぎてやっと将来役者目指すかなと定まったのヨ」
「自分の中の夢が はっきりしない時――ならば誰かの熱い思いがあるところに関わっていく――それも手だわネ」
これは新成人宛てに書かれたものですが、子育て真っ最中の暮らし二スタ世代にとっても励まされるメッセージではないでしょうか。
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文/暮らし二スタ編集部
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