コラム

料理研究家・植松良枝さん〜ゆっくり育む、新しい家族との時間

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料理研究家・植松良枝さん〜ゆっくり育む、新しい家族との時間

料理家やスタイリスト、カフェのオーナー、手芸作家……「好き」を生かしながら活躍する、あの人のライフスタイルを拝見するこの連載。植松良枝さんのご自宅を訪ねる3話目では、新しい家族を迎え、少しずつ変化の見え始めた暮らしの様子をご紹介します。

産後の暮らしを自然体で支えた、アウトドアリビング

植松さんの暮らしに、昨年大きな変化がありました。男の子を出産し、新しい生活が始まったのです。


ふくふくとした愛らしい姿は、生後間も無くの様子。「よく眠り、手のかからない子だったんです」

「3月に出産し、里帰り先からここに戻ってきたのはちょうど新緑の頃。
外出がまだあまりできない私と息子に会いに、毎日のように友人らが訪ねてくれたので、ウッドデッキでお茶を飲んだり、おしゃべりしたりして過ごしました。
家にいながらも、私も外の空気を味わえたのは良かったですね」

リビングに面したこの庭は、植松さんにとって第二のリビング。
入居後、真っ先に手を加えたのはこの場所だったというほどですから、思い入れもひとしおです。
オリーブやシマトネリコ、ジューンベリーやスモークツリー、そして数々のハーブ。
家で過ごす時間が多くなる産後の暮らしに、自然の力は新鮮味と潤いを与えてくれました。


息子さんがお腹にいるときに買った起き上がりこぼし。「ハノイのロシア雑貨のショップで見つけました。この表情、ロシアっぽいですよね」

出産前は、年に何度も世界中を飛び回っていた植松さん。
最後の海外旅行は、レシピ開発に携わるベトナム料理店「ヨヨナム」の研修旅行で妊娠7ヶ月の頃に訪れたハノイだと言いますから、そのエネルギッシュさは言わずもがな。
イベントのフード担当や自宅やギャラリーなどでの料理教室など、土日を問わずインプットとアウトプットを繰り返してきました。


妊婦時に最後に行ったベトナム旅行でのワンシーン。


料理教室があるので、なるべく生活感は出さないようにしている、というリビングの一角も、子どもの帰宅とともにベビー仕様に。「おもちゃやお世話グッズはかごにしまい、クッションやラグでコーナーを作っています」。ラグは、インドで見つけたカンタ刺繍のもの。

「産後は、もっと仕事のことを考えて焦ったりするのかな、と心配していたんです。
でも意外とそんなことはなくて。
この庭があったおかげで、人と会ったり自分もリフレッシュしたりしながら、のんびり子どもと過ごせたのが良かったのかもしれません」

 

お気に入りで、子育てをもっと楽しむ

子育てが始まると一気に増えるのが、お世話グッズや子どものおもちゃ。
お気に入りのアイテムを収納に取り入れることで、植松さんは楽しく、自分らしく共存していました。

「体温計や爪切り、薬などのこまごましたものは、山本美文さんのシェーカーボックスにひとまとめにしています。
蓋つきなので、すっきりしまえます」

 

オムツは北欧の白樺のかごへ。持ち手つきなので使い勝手も上々です。
仕切り代わりとして中に入れているのは、ベトナムのPPテープ素材のかご。
ミニサイズのものを、こんなふうにかわいらしく使うのも、植松さんらしいアイディアです。

赤ちゃんと過ごす生活は、肌に触れるものを見直すきっかけにもなりました。

「赤ちゃんって、ふわふわなものが大好き。
まだ感情を表に出せず、“快適か不快か”しかない赤ちゃんにとっては、できるだけご機嫌になれる“快適”な状態でいてほしいと思っています。
“衣食住”という言葉は、食より前に“衣”がきていますよね。
そのくらい、肌から受け取る影響は大きいのだと思います。
赤ちゃんの敏感な肌に触れるものは、食と同じくらい気をつけてあげたいです」


「子どものグッズは詳しくなかったんですが、まわりにいる先輩ママたちから色々と教えてもらえるのがありがたいです」。デンマークのブランド「Joha(ヨハ)の肌着もそのひとつ。上質なメリノウールやオーガニックコットンを使った肌着は、お祝いでいただいて惚れ込み、自分でも買い足したそう。

良質な赤ちゃん用のファブリックに触れることで、「オーガニックコットン」の良さも再認識したと言います。

「洗えば洗うほど柔らかくふわふわの手触りになるし、コットンなのに伸縮性もあるんです。
ベビー布団も、オーガニック素材にこだわった『プリスティン』を選んだのですが、何回洗っても丈夫です。
普通のコットンとこんなにも風合いが違うのかと驚いています」

一緒に作って、一緒に食べる。そんな気持ちを育てたい

お子さんは、最近離乳食が始まったところです。
さまざまな食材との初めての出会いを、植松さんは試行錯誤しながら楽しんでいます。
「離乳食って、始まると大変だよー、面倒だよー、なんて聞いていたから、ちょっと構えていたんです。
ちゃんと離乳食の本も買いましたよ。
でも始まってみたら、大人の食事作りの一部を切り取るだけだから、あんまり気負うこともなかったみたい」

この日は、蒸篭で蒸しあげたかぼちゃをペーストに。
「好きな道具を使うことも、やる気やテンションを上げるのに一役買いますよね」


使っているのは、クロックと呼ばれるタイのスパイス用すり鉢。

「つぶしたかぼちゃは、このままあげたり、ツナと混ぜたり、出汁でのばしたり、おかゆにトッピングしたり、色々使えますよ」


おかゆに使う米粉は、スパイス瓶に。

「米粉は水と一緒に10分くらい煮て、10分蒸らします。
これならペーストにしなくても、簡単にとろとろのおかゆができますよ」

「これからいろんなものを食べていくのが楽しみですね。
こんな子になってほしい、こんなことをしてほしい、というのはあんまりないんです。
野菜を育てて、一緒に食べる、それさえできたらいいかな、と今は思っています」

母になったら変わること、変わらないこと

4年ほど前、南インドを旅したときに訪れた手製本の出版社「タラブックス」で購入した絵本。「装丁や手刷りの美しさに惹かれて買った一冊を、今は子どもとめくっているなんて不思議な気持ちです」(現在は「水の生き物」というタイトルで国内でも販売されています)

「産後はもっと大変だとか、もっと生活がガラリと変わるのかな、と思っていたけれど、ネガティブな変化はありませんでした。
でも、時間の使い方は変わってきたかな。
今までは夜まで延々仕事をしていたのが、17時のお迎えに合わせてメリハリができたし、
週末はなるべく家族の時間にあてるようになりました。
近くの公園にお弁当を持ってピクニックに行くのが楽しみなんです」

素直に好奇心に従いながら、ジャンルの垣根を越え、次々と新しい扉を開いてきた植松さん。
それは旅をすることで触れる文化や味覚、人との出会いがそうさせているのかもしれません。
好奇心の引き出しの数は、出産を経て、またひとつ、もうひとつと増えていきそうです。

「子どもと世界中を旅をするのも楽しみだし、離乳食のように、子どもを迎えて新たに知った食の世界も。
仕事を通じてアウトプットしていきたいことも、まだまだたくさんあります。
いろんな料理を作りたいし、楽しみたいです。
でも、最終的には豚汁とおむすび、卵焼きに戻ってこれるような、そんなホッとできる暮らしが理想です」

 

撮影/松木潤(主婦の友社写真課) 取材・文/藤沢あかり

 

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