ひとりでお茶を楽しむ「独服体験」も
「界 加賀」ではもうひとつ、館内の茶庭にある茶室で、自分で淹れたお茶を静かにいただける独服体験があったのでチャレンジしてみました。
この茶室「思惟庵」は江戸の文政年間に建築されたそうで、フロントのある伝統建築棟とともに、国の有形文化財に登録されています。
そして「独服」とは、お茶をひとりで淹れて自ら飲むこと。界 加賀の独服体験は、この趣ある茶室を20分間貸し切って静かなひとり時間を楽しむことができるという内容になっています。
この体験はひとり1,500円(税・サービス料込み)で、事前予約制。予約した時間に茶室を訪れると、すでにお茶のセッティングは完了していました。
石川県らしく、用意されていたのは加賀棒茶。浅煎りと深煎り、2種類の加賀棒茶を飲み比べです。
貸切時間は、完全にひとりの空間。お茶の淹れ方についての説明書きが用意されていますが、作法はあまり気にせず自由に楽しんでくださいと言われてホッ。
柄杓で釜からお湯をすくい、急須に注いでいきます。サワサワと揺れる庭木の葉音、お湯が注がれる音くらいしか聞こえない。静寂もなんだか新鮮。
砂時計の砂が落ちるまで蒸らし、お抹茶碗に加賀棒茶を注いでいきます。
左手が浅煎り、右手が深煎り。色の濃さがまったく違います。味わいももちろん違う。
それぞれのお茶に合わせた和菓子も用意されています。浅煎りの加賀棒茶に合わせるのは、和菓子屋「落雁 諸江屋」の干菓子、花うさぎ。深煎りの加賀棒茶に合わせるのは、和菓子処「しもつね」の温泉卵最中です。
ちなみに使われている器はすべて九谷焼。欠けた部分が丁寧に金継ぎされているのを見て、なんだかうれしくなりました。
静かなお茶の時間は、日常生活ではなかなか得られない貴重なもの。20分はあっという間でしたが、体感的には1時間くらい茶室で過ごしたような感覚です。
客室にもこんなにかわいいお茶セットが!
これをきっかけに、器にもお茶にも目覚めそうな予感でいっぱいです。旅ついでの日本文化体験、とってもおすすめですよ!
〈補足情報〉
・金継ぎ工房は2023年4月にオープンしたばかり。毎日15:00〜17:30。
・金継ぎの見学や体験は、なんと無料(2023年6月時点)。作業体験「金継ぎいろは」は当日にフロントで予約できるので、チェックイン時に空きを確認しておくのがよさそうです。
金継ぎと独服を体験できるのは…
界 加賀
住所/石川県加賀市山代温泉18-47
撮影/瀬津貴裕(biswa.) 取材・文/佐藤望美
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