藤川さん(京都)
手仕事のやさしさにスパイスを加えて程よいかわいさに
白いしっくいの塗り壁に瓦葺きの三角屋根、アンティークレンガのアプローチ。室内に入る前から「かわいい!」と歓声がもれる藤川さんのお宅です。新築なのに使い込んだような味のある木の床は、パイン材を自然塗料で仕上げてヴィンテージ感を出したもの。左官職人さんによるしっくいの壁や天井は、ぽってりとした質感とコテむら具合が絶妙です。
このナチュラルな素材使いと職人さんたちの丹念な手仕事が、藤川さん宅のかわいらしさのいちばんのポイント。さらに階段の上り口やパントリーの入り口など、あちらこちらに設けたアーチの丸みもやさしい表情を生んでいます。
「でも……」と語るのは奥さま。「かわいいのは好きだけど、“やりすぎ”にならないようにしたかった。カッコいい要素も入れて、ほどよいかわいさにしたいなと思いました」
なるほど、ふんわりした雰囲気のLDKの中で、アイアンの室内窓など、ちょっとハードな素材がきいています。キッチンのカウンターに貼った白いタイルは、甘さの出るモザイクタイルを選ばず、シンプルな10㎝角に。アトリエとの間の引き戸は落ち着いたグレーです。差し色は子ども部屋や水回りに限って使い、LDKはナチュラルなトーンでまとめているのも、飽きのこない、品のいいかわいらしさにつながっています。
好きなものがありすぎて、逆に悩んだ、と奥さま。「やりたいことを全部採用するとごちゃごちゃになりそうでしたが、ハウスビルダーのコーディネーターさんが上手にまとめてくれました」
雑誌やネットで「いいな」と思う写真を集めて担当者に渡し、提案されたプランを検討。じっくり時間をかけてのプランニングでした。「言葉で説明できないイメージも、コーディネーターさんが理解してくれ、ドンピシャなものを提案してくれるのがうれしかったです」。何度も参加した見学会も参考になったそう。
デザインに目を奪われる藤川さんのお宅ですが、間取りにもこだわりがいっぱいです。ひとつは玄関からの動線。シューズクローゼットを通り抜け、パントリーを経てキッチンにつながる動線は、買い物帰りにとても便利です。
もうひとつはスキップフロア。階段途中に本棚とデスクを造りつけた小部屋を設けました。「家族の気配がわかる書斎が欲しい」とのご主人の希望でしたが、すっかりお子さんの遊び場になっているそう。
そしてリビングに併設した奥さまの手仕事のアトリエ。グレーの引き戸が空間を分けるとともに、インテリアのアクセントにもなっていますが、じつはこの引き戸、予算の都合であきらめる寸前だったそう。「主人がカーポートの設置を延期して、その予算を回せばいいと言ってくれたんです」。そんなご主人の愛情にも支えられ、奥さまの夢がいっぱい詰まった、家族が笑顔で暮らせる家が完成しました。
LDK
パインの床材の仕上げに使った自然塗料は、ウォールナット色をセレクト。白いしっくい壁とともに、あたたかみのある雰囲気に。
古材の棚板とアイアンのカーテンポールを組み合わせ、リースなどを飾れるコーナーに。
ソファ後ろの中2階の部屋は、ご主人の書斎やお子さんの遊び場に。リビングとつながりつつ、こもり感があるのが楽しい。
リビングに続くアトリエは、ニュアンスのあるグレーの引き戸で仕切って。床はヘリンボーン張りにして雰囲気を変えています。
システムキッチンは3口並列のIHヒーターが気に入ったそう。勝手口も便利です。
外観
通りに面した窓は外観のアクセントにしつつ、小さくしてプライバシーを保護。変形敷地を生かして駐車&駐輪スペースを設けました。
キッチン
室内窓はアイアン枠の太さにもこだわったオーダーメイド。調理をしながら、LDのお子さんの様子がうかがえます。
カウンターにはシンプルな白タイルを貼り、扉はあたたかみのあるミルクペイント仕上げに。「飾る」と「隠す」のバランスも絶妙。
以前の家でも使っていたお気に入りのガラスシェードのランプ。天井高に合わせて、長いコードにつけかえてもらいました。
キッチンの壁面収納は低めにし、窓を設けて明るく。右手のアーチの奥はパントリーで、シューズクローゼットと玄関につながります。
アトリエ
ウッドデッキにも続く心地いいアトリエ。床は見学会で見て憧れたヘリンボーン張りに。アンティークのデスクにミシンを置いて。
アトリエには、木材としっくいによる造りつけ棚も。ミルクペイント仕上げの扉の中には手芸用品を収納しています。
玄関
塗り壁ならではの角の丸みがやさしい表情をかもし出すニッチ。味わいのある古材もプラスして。
たたきは風合い豊かな天然大理石のタイル。正面のドアは輸入品を床の色に合わせて塗装しました。
アーチの奥は外遊びの道具も置けるシューズクローゼット。左手にパントリーが続きます。
階段
アーチの高さや曲がり具合も、かわいらしさを左右する要素。コーディネーターの中山真由美さんのこだわりポイントです。無垢材としっくいの階段も絵になります。
アイアンの階段手すりやフェンスは、シンプルなものをオーダーメイド。2階の床は明るい色合いの無垢のバーチ材を選びました。
子ども部屋のドアは姉妹それぞれが好きなピンクとパープルに。輸入ドアを塗装しています。丸い陶器のドアノブもかわいい。
子ども部屋の内部はワンルーム。真ん中にデスクを置いてスペースを分けています。ベッドサイドの壁はそれぞれのドアと同じ色に。
全体をブラウン&ベージュのトーンでまとめた寝室。壁はしっくい調のクロス張りにしてコストを抑えました。
洗面所&トイレ
1階のトイレは1面に花柄の壁紙を採用。古材風の床は手入れがラクなクッションフロアです。階段下を利用したアーチ扉の収納も。
2階の洗面室。モザイクタイル貼りの造作カウンターと洗面ボウルを組み合わせて、デザインと使い勝手を両立させました。ミラーキャビネットの中にもたっぷり収納できます。
花柄やチェッカーなどの型ガラスを組み合わせたステンドグラスをオーダーし、1階のトイレ前の手洗いコーナーの壁にはめ込んで。
手洗いコーナーは、ボルドー色のモザイクタイルが印象的。トグルスイッチ、ステンドグラスのランプ、楕円のミラーなど、レトロな雰囲気でまとめました。
設計のポイント
ウエストビルド 中山真由美さん
2×4工法とナチュラルな家づくりにこだわる「ウエストビルド」で、土地・資金の相談、設計、コーディネート、引き渡しまで、トータルに施主をサポート。
「かわいい」のニュアンスはお客さまによって異なります。藤川さんはシンプルなかわいさを希望され、雑貨などを飾るのもお好きなので、飾ったものが映えるよう、つくり込みすぎないようにプランしました。トーンをある程度統一しながら、決めどころもほどよくつくる。そのバランス感覚が大切だと思います。
profile
雑貨やインテリア、手作りが大好きな奥さまと、「妻の好きな家を建ててあげたかった」というやさしいご主人。こはるちゃん(10歳)とひまりちゃん(7歳)姉妹の笑い声の絶えない、仲良し4人家族です。
DATE
家族構成 |
夫婦+子ども2人 |
敷地面積 |
100.45㎡(30.39坪) |
建築面積 |
57.79㎡(17.48坪) |
延べ床面積 |
109.74㎡(33.20坪) 1F53.01㎡+2F56.73㎡ |
構造・工法 |
木造2階建て(2×4工法) |
工期 |
2014年7月~11月 |
本体工事費 |
約2107万円 |
3.3㎡単価 |
約64万円 |
設計・施工 |
ウエストビルド ☎06-4258-7200 |
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