【近藤さん宅(千葉県)本体工事費 約2200万円 建築面積 約16坪】
職場で知り合った智さんとみのりさんは、結婚して2年。「最初は賃貸アパートに入居して、その契約更新までに家を建てるのが目標でした」。それを実現してしまった行動力に脱帽!
予算内で実現! 近藤さん宅の “心地よさ”のポイント
- 床面積をしぼりつつ中庭や吹き抜けで開放感のある住まいに
- 肌に直接ふれる床は予算を割いて無垢材に
- 離れ風の和室やバスコートなど癒しの空間も確保
1F リビング
ストーブを囲んでほっとくつろぐ。 そんな自然体の暮らしを満喫
「色のない空間はさびしいので」、ソファやラグで色をプラス。薪ストーブまわりのブラウンのタイルもインテリアの一部に。
パブリックスペースの中心は、存在感たっぷりの薪ストーブ。頭上の吹き抜けからも、中庭と家の前の道路まで見通せる大きな窓からも開放感が伝わり、住まい全体が明るくのびやかな雰囲気に包まれています。 この家を建てた近藤さん夫妻は、ともに住宅メーカーの「ポラスグループ」にお勤め。家づくりは同じグループの設計事務所「スターディ・スタイル」に依頼しました。建築費として用意したのは約2200万円。この予算内におさめられた最大の理由を伺うと、ずばり「家を小さくしたこと」という答えが返ってきました。
「部屋数を最小限にしたうえで、LDKも個室もできるだけコンパクトに。敷地にはもっと大きい家を建てられる余裕があったのですが、コストを抑えるために、とにかく無駄をなくして、床面積をしぼることを考えました」
とはいえ、各スペースの面積を削っただけでは、“ただの狭い家” ができてしまうことに。そこで採用したのが、外部空間を積極的に生かすプランでした。LDKにはデッキの中庭を、2階のホールにはサービスバルコニーを、浴室にはバスコートをつなげ、屋外に視線が抜けるようにすることで、実際の面積以上の広がりを感じられるようにしたといいます。
【コストダウンIDEA】床材にこだわった分、 壁は手頃な クロス仕上げに
引き戸や2階の手すりの「赤」が印象的なアクセントに。スケルトン階段は冷暖房効果アップのため、上り口の数段だけ板でふさいで。
薪ストーブは、ご主人のお父さまが仕事で扱っているもの。部屋のコーナーではなく中央に置いて、存在感のあるフォルムを堪能。
1F DK
オープンスタイルのDKは、作る人と食べる人の一体感も魅力。角のとれた三角形のテーブルは「アクタス」で購入。
【コストダウンIDEA】Ⅱ型や アイランド型より リーズナブルな Ⅰ型キッチンを選択
Ⅰ型キッチンは収納スペースが少なくなりがち。その対策として、DKの奥に回遊式のパントリーを設けました。
【コストダウンIDEA】アクセント壁は 素朴さが魅力の 安価な足場板に
1F キッチン
システムキッチンは「ウッドワン」の製品。木目デザインがお気に入りです。壁面のタイルも、こだわって採用したもの。
キッチンを壁づけのI型スタイルにしたのも、コストを抑えながら狭さを解消するための工夫。「対面式やアイランド型より、ずっと省スペースですみました。ただ、LDからキッチン全体がまる見えになるので、キャビネットのデザインは好みのものに。床のウォールナット材と色みを合わせました」と奥さま。こだわるところにはしっかり予算を割くことで、満足度の高い心地よい家が完成しました。 「これから子どもに恵まれたとしても、子どもと一緒に暮らすのはほんの十数年。その前もあとも夫婦ふたり暮らしなのだから、じつはコンパクトな家のほうが住みやすいんですよね」とおふたり。あえて小さな家を選んだ背景には、将来をしっかりと見通す視線も隠されていました。
1F 中庭
【コストダウンIDEA】外部空間を とり込んで 建物はコンパクトに。デッキは ご主人とお父さまで DIY。
LDKが面積以上に広々と感じられるのは、この中庭のおかげ。デッキ越しに離れのような和室が見えるプランは奥さまのアイディア。
1F パントリー
【写真左】ぐるりと回れて、家事がスムーズにこなせるパントリー。家電類を置けるカウンターと、
大容量の食器棚を造りつけました。
【写真右】食器棚は、湿気がこもらないようにルーバー引き戸を採用。食器や食材、消耗品をすっきり収納。
モダンさとナチュラル感をバランスよくミックス。自分たちらしいインテリアの住まいに
1F 玄関ホール
玄関を入ると、正面に見えるのは薪ストーブ。「この眺めが大のお気に入りです」。スケルトン階段を通して、窓からの光を導いて。
1F トイレ & 手洗いコーナー
【コストダウンIDEA】トイレは 設計・施工会社の 標準仕様品に
【写真左】「トイレに色を使うのは最初から決めていました」。1階のトイレのカラーリングは奥さまが担当。少し濃いめの色を組み合わせて。
【写真右】玄関ホールの一角にモダンな手洗いボウルを設置。帰宅したときにも、トイレのあとにも、使いやすいレイアウトです。
1F 和室
【写真左】玄関のたたきから上がる和室。「LDKから離れているので、旅館を訪れたような気分で過ごせます」。ほかの居室より床を1段上げ、約4畳という広さとのバランスをとりました。
【写真右】ふすまにも色をとり入れ、落ち着いた雰囲気を高めて
2F 洗面室
水回りは寝室(洋室)と同フロアにして、生活動線をスムーズに。シンプルな洗面カウンターは「スターディ・スタイル」のオリジナル。
2F トイレ
こちらのトイレの色はご主人が選び、1階と雰囲気を変えました。クロス張りなので飽きたら気軽に
張りかえられます。
2F デスクコーナー
【コストダウンIDEA】居室の面積を削って コストダウン。 かわりに通路を賢く活用
「子ども部屋にする予定の洋室はギリギリまで小さく。そのかわり、デスクとして使えるカウンターを廊下に設けました」
2F 浴室
手頃で手入れもラクなシステムバスを選択。開放感を味わえるよう窓の外にバスコートをつなげ、目隠しのフェンスで囲みました。
2F ホール
「室内干し用のバーが便利。1階からあたたかい空気が上がってくるので、乾きも抜群です」。左手には明かり取りのバルコニーも。
外観
【コストダウンIDEA】アクセント壁は 安価なサイディングに。上下階の 凹凸をなくして 構造材の 無駄をカット。
箱を組み合わせたようなモダンな外観。中庭から採光できるため、道路側の窓は最小限に。
DATA. 近藤さん宅(千葉県)
設計のPoint
スターディ・スタイル一級建築士事務所
山田 英徳さん
建物全体の床面積をしぼり、3つの箱を組み合わせたような形状にしたことで、建築コストを大幅に抑えることができました。特に1階と2階に凹凸をつくらず、上下の壁がフラットにつながるようにするプランは、いわゆる“間くずれ”を起こしにくいため、外壁材や構造材の使用量を減らすことができます。このシンプルな箱にプラスした外壁のアクセント壁も、左官や吹きつけなどより安価なサイディング。凝ったデザインでも、素材を選べばローコストで実現できます。
賢く家を建てるために… 「コストダウンの心得」
ローコストでいい家をつくるコツは、「LDKは○畳、子ども部屋は○畳なければ……」という固定概念をなくすこと。部屋そのものは小さくても、施工床面積に含まれない外部空間をうまく使うことができれば、狭さを感じることなく快適に暮らせます。
【Profile】
日本大学理工学部建築学科卒業後、㈱中央住宅Sturdy Style事業課入社。
約70棟ほどの注文住宅の設計に携わり、現在は住まいに関する商品開発や設計の仕組みづくりなどを担当。
家族構成 |
夫婦 |
敷地面積 |
119.26㎡(36.00坪) |
建築面積 |
54.60㎡(16.48坪) |
延べ床面積 |
87.34㎡(26.37坪)1F 48.85㎡ + 2F 38.49㎡ |
構造・工法 |
木造2階建て(軸組み工法) |
工期 |
2012年7月〜12月 |
本体工事費 |
約2200万円 |
3.3㎡単価 |
約83万円 |
設計・施工 |
スターディ・スタイル一級建築士事務所(山田英徳) TEL: 048-987-2011
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