ふるさと納税

ふるさと納税と医療費控除は併用できる？知っておきたいポイントをチェック！

更新日：2018.04.16

家庭での医療費が年間で10万円を超えると利用できる医療費控除。一方、ふるさと納税は、地方自治体に寄附をすると、額に応じて税金が控除される制度。ふるさと納税をしたいけれど、医療費控除と併用はできるの？とギモンに思っている人もいるでしょう。
両者を併用した場合、税金の控除にどんな影響があるのか、ファイナンシャルプランナーの中村芳子さんにお話しをうかがいました。

ふるさと納税の仕組みとは？

そもそも、ふるさと納税とは、好きな自治体・応援したい自治体に寄附をすると、自己負担額の2,000円を引いた全額が、税金（住民税・所得税）から控除される制度。
さらに、寄付をした自治体からお礼として地域の特産品などがもらえるところが大きな魅力となっています。
ふるさと納税の基本についてはこちらの記事に詳しくまとめていますので、ご覧ください。

ふるさと納税とは？人気の理由とうれしいメリットをわかりやすく解説！

2017.12.01

「ふるさと納税」って最近よく聞きますよね。牛肉やイクラといった豪華なお礼の品がもらえておトクと話題になっているけど、実際どんなものなのかわからないという人も多いのでは？そこで、「ふるさと納税とは？」という疑問からスタートし...続きを見る

医療費控除ってどんなもの？

医療費控除とは、本人または家族が1年間に支払った医療費が10万円（課税所得200万円未満は所得の5%）を超えた場合、所得から控除してくれる制度です。医療費控除は年末調整では対応できないため、給与所得者の方が年末調整をした場合でも確定申告をする必要があります。
対象となる医療費は、次のようなものです。

・治療費（病院に支払った額）
・薬代
・病院へ行くまでの交通費
・入院時に発生する費用（入院費・食事代・寝巻・歯ブラシ等一式）
・介護費用の自己負担分
・出産や不妊治療にかかる費用全般

簡単にいうと「治療のための医療費」は対象となりますが、「予防のための医療費」は対象となりません。
例えば、風邪をひいた場合の風邪薬などの購入代金は対象、病気の予防や健康増進のために用いられるビタミン剤などの購入代金は対象外になるので、気をつけましょう。

また、医療費控除は、年間に支払った医療費の10万円を超えた分がすべて戻ってくるわけではありません。所得から医療費控除分を引くことで、所得額が下がり、結果的に税負担を減らせる（給与所得者は確定申告後に差額が戻ってくる）という仕組みです。

医療費控除とふるさと納税の寄附金控除は併用できるの？

結論から言うと、医療費控除とふるさと納税は併用できます。
しかし、中村さんによれば、「できますが、医療費控除を受けると、ふるさと納税で税金が控除される上限額は下がります」とのこと。

医療費控除を利用することで、納める税金が安くなります。それによって、ふるさと納税の分の税金の控除上限金額も下がるというわけ。
どのくらい下がるかは、医療費控除の額がいくらか、所得税率がいくらかによって変わってきます。

税金の控除上限額ギリギリまでふるさと納税を利用したいと思っている人は、医療費控除を受ける場合、注意が必要。自己負担金2,000円を超えた分、全額控除を受けたいなら、現在の年収での上限（予測額）よりもやや少なめにしておくのが安全です。

医療費控除と寄附金控除を併用した際の注意点

ワンストップ特例制度はそもそも確定申告をしない人のための制度です。
医療費控除を利用するには確定申告が必要なので、ふるさと納税の寄附金控除と併用しようとした場合も確定申告が必要となり、ワンストップ特例制度は使えないことになります。

やっぱり面倒…？　いえいえ、医療費控除を申請するために確定申告をする時に、寄附をした先の自治体から送られてくる寄附金受領証明書も一緒に添付すればよいだけのこと。案外簡単に申告できるので、しっかり控除を受けましょう。

ふるさと納税と医療費控除は併用可能。そして、その際の注意点もご紹介しました。確定申告をすれば、両方一緒にできてしまうので難しくはありません。ぜひチャレンジしてみてください！

【監修者プロフィール】
中村芳子◎ファイナンシャルプランナー。有限会社　アルファアンドアソシエイツ　代表取締役。家計診断や、複雑な金融や保険をわかりやすく解説する記事や講演に定評がある。女性向けの個人マネー相談も人気。『いま、働く女子がやっておくべきお金のこと』（青春出版社）、『結婚したら、やっておくべきお金のこと』（ダイヤモンド社）などお金に関する著書も多数。
中村さんのサイト『いま、やっておくべきお金のこと』はこちら

取材・文／長沼良和

ふるさと納税を申し込む