昔、1インチ1万円と言われたテレビですが、今は全然安い。1インチ5000円を切っています。中国で多量のテレビが作られるようになったため、価格が軟化したわけですが、それでもテレビはそれなりにします。そうなると、長い間楽しみたいと思うのは当たり前です。
4Kテレビは、地上波の2Kの倍の解像度があるので、一見、どれを買ってもお得に見えます。しかし「安物買いの銭失い」と昔から言われた通り、安いからで買うと損をすることがあります。損をしないためには、何を確認すれば良いのか? 今回はそのお話です。
4Kテレビでも確認すべきスペック 〜アップコンバーター〜
地デジ化が行われたのが、2011年夏。この時のテレビが2Kと言われるモノです。2K、4Kと言っていますが、これはテレビの画質のうち、解像度のこと。要するに、どれだけ細かく描写できるのかということです。
スマホも、解像度を上げに上げて来ました。スマホが多くの情報量を扱うには、細かな文字を読んでもらう必要があります。細かい字がスムーズに見えるように解像度をアップしたわけです。このように高解像度は、「キレイに見える」という効果があります。
「でも、私は普通地上波の2K放送しか見ないし…」と思いながら4Kテレビを買おうか、どうしようか迷っている人への第一アドバイス。
ちゃんとした、4Kテレビは2Kの画像データーを4Kに変換する、「アップコンバーター」が付いています。日本メーカーはまず大丈夫ですが、海外メーカー、特に中国メーカーでは付いていないことも。そうなると4Kテレビの良さは全く発揮できません。これが確認すべき最初のポイントです。
4Kテレビの次世代色 〜HDR〜
解像度の次に見るべきことは、色です。2Kの時は、色のスペックはありません。4Kでできたスペックです。ちょっと考えてみてもらえるとご納得いただけると思うのですが、画素数が少ない場合、微妙な色味は必要ありません。淡緑と深緑なら、そう色づければ良いだけの話です。
ところが解像度と画素数が上がると、描写点数が増えます。その場合は、色が移り変わる間の中間色が必要となります。2Kより色数が増えたわけです。そのためにできた規格が、HDR(ハイ・ダイナミック・レンジ)という規格です。
この規格を取り入れたテレビは色鮮やか。9月に行われたIFA(イーファ。ドイツ、ベルリンで行われる世界最大の家電博覧会)でも、今までのテレビ(SDR(スタンダード・ダイナミック・レンジ)と呼ばれるようになりました)とHDRを採用したテレビの色味比較は、大人気でした。実は、ちょっと前まではなかった規格。4Kテレビでも採用していない場合があります。型落ちは安いですが、これが付いてないと、色で大幅に損をする可能性があります。
コンテンツを確保するために 〜有線LAN、Wi-Fi(無線LAN)〜
テレビで最後にチェックすべきは、有線LAN、無線LANの有無です。
今、民放は無料ですが、質はどんどん落ちています。見たいスポーツ、音楽イベントなどを放映するためには、高額な放送権を買わなければならないのですが、予定通りの視聴率が取れるかは不明です。エンターテイメントの種類が増えた今、どちらかと言うと、取れない可能性が高い。つまり割が合わない。と言うことで、安くできるバラエティー番組が増えています。当然似てしまうので、面白みが減るというわけです。
逆に、スポーツ、音楽イベントなどは、ペイビューが世界の常識。日本でも有料になりつつあります。放送もありますが、今、増えているのは配信。「今、そこまではいいや」と思うかもしれませんが、2〜3年後で配信を受けられるようにするとなると面倒臭いです。あるに越したことはありません。
音を強化して、より面白く
テレビを買えば、それだけで楽しめるかと言うと、ちょっと寂しいモノがあります。理由は音。平面テレビの泣き所はオーディオ再生です。スピーカーをキチンと鳴らすには、ある程度の奥行きが必要なのですが、平面テレビは薄いのが特長。必要な奥行を確保することができません。メーカーもいろいろ工夫をしているのは事実ですが、音のイイ映画、スポーツ、音楽などだと、プアな感じがするのは否めません。
このため、テレビメーカーは各社、専用スピーカーを用意しています。横に長いのが特長で、名付けて「サウンドバー」。AVライフを十分楽しむためには、テレビと共に欲しいモノです。
こちらはパナソニックのサウンドバー DY-SP1。DY-SP1は一体型ですが、重低音用スピーカーを独立させたり、メーカーにより形式などが異なります。
BDプレーヤーはあると便利
今後は、配信コンテンツが充実してきます。が、日本の場合はまだまだレンタル店が多いのも事実。連休の前後には、旧作100円/枚など安くなりますし。配信の方もあの手、この手を駆使してきますが、ここ当分、レンタル店がなくなることはないと思われます。いったんディスクに落とすことが多い。また、多くの人が、コレクションとは言わないまでも、大切なディスクを持っていると思います。
そんな時便利なのが、BDプレーヤー。ブルーレイ、DVD、CDを含め、ほとんどのディスクを再生することができます。ただし、10年使うなら、4Kのブルーレイ・ディスクが増えることを見越して、Ultra HDブルーレイプレーヤーがお勧めです。
写真はソニーのUltra HDブルーレイプレーヤー UBP-X800。同一メーカーだと、テレビかプレーヤー片方のリモコンですむことが多く、楽です。
4Kテレビ単体ではなく、まとめ買いがおすすめ
テレビ系家電の買い方は、買い足しでなく、一気買いがお勧め。理由の1つは、まとめ買いなので、少し勉強してもらえる可能性が高くなります。商品そのものでなくとも、おまけを付けてくれたりしてくれる時があります。
理由の2つめは、配送時に配線もやってもらえるということです。同じお金を出すなら、ラクしたいものです。ゆっくり買い足すのも、面白いものですが・・・。
以上のことを踏まえ、40〜50型の4K液晶テレビ(アップコンバーターはもちろん、HDR対応)に、サウンドバー、BDプレーヤーを付けて、実売:20万円以下で買えるおすすめモデルをメーカー別にセレクトしてみました。極めて実際的なセレクトです。今、全メーカー共、技術は拮抗しており、画質などでも、普通の人だと決定的な差はないレベルです。このため、各モデルには画質以外の寸評を入れてあります。
今回は、テレビメーカーからセレクトしましたが、サウンドバーは、ボーズ、オンキョー、ヤマハ他、オーディオ専門メーカーも手がけています。少々お高くなりますが、予算に余裕がある人は、どうぞ。
■シャープ
テレビ:アクオス US45シリーズ(45V/ 50V型)
→低反射パネルのため明るいところでも見やすい。
サウンドバー:AN-SA1
→AC電源不要。ケーブル1本接続でOK。
■ソニー
テレビ:ブラビア X8000Eシリーズ(43V / 49V型)
→シルバー、ブラックの2色が選べる。
サウンドバー:HT-MT300
→サブウーハーを備えた本格派。オーディオ用としても使える。
BDプレーヤー:UBP-X800
→映像もキレイだが、音もハイレゾ対応でキレイ。
■東芝
テレビ:レグザ M510Xシリーズ(40V / 50V型あり)
→USB HDDに直接録画可能
サウンドバー:RSS-AZ55
→テレビの後ろに設置できるので目立たない
BDプレーヤー:DBP-S600
→DVD特典映像を子画面で出すことができる
■パナソニック
テレビ:ビエラ TH-43EX750(43V型)
→放送番組、録画番組、無料・有料のネット動画を一覧表示可能な、アレコレチャンネル搭載。
サウンドバー:DY-SP1
→ビエラと一緒に使うと、テレビ番組のジャンルに合わせて自動でサウンドモードを切り替える「番組ぴったりサウンド」搭載。
BDプレーヤー:DMP-UB30
→幅:32cmと小型。
■LGエレクトロニクス
テレビ:UJ6500シリーズ(43V / 49V型)
→LGは有機ELパネルの供給で有名だが、液晶TVも自社。世界的にも評価が高い。
BDプレーヤー:UP970
→4Kのインターネットコンテンツに対応。有線 / 無線双方のLANに対応。
【筆者プロフィール】
多賀一晃 さん
1961年生まれ。慶應義塾大学大学院理工学部卒。大手メーカーにて商品開発、企画を担当後独立。国内はもちろん、世界最大の家電見本市「IFA」等で世界中の家電を取材し、役立つ情報を「生活家電.com」から発信中。日本経済新聞夕刊の家電製品特集や土曜日別冊「日経プラス1」の「家電ランキング」選者、WEDGE Infinity「家電口論」主筆としても活躍。
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