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コラム

新学期が始まる前にやっておきたい“子どもの安全教育”

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新学期が始まる前にやっておきたい“子どもの安全教育”
間もなく新入学シーズンがやってきますね。ピカピカのランドセルや新しい運動靴などを前に、新しい生活を楽しみにしているご家族は多いことでしょう。
そんな新生活が始まるこの時期は、身近にひそむ“危険”について、お子さんと一緒に準備をするよいチャンスでもあります!
今回は、この春からお子さんが歩くことになる“通学路”における安全教育のお話をしたいと思います。

通学路を親子で歩いてみる

子どもが毎日通ることになる道の状況を親が把握していないと、「気をつけてね」といくら声かけをしても、それは現実味のないものですよね。
ですから、まずは親子でまち歩きをしながら通学路に潜む“危険”を確認していくのがよい方法です。「交通事故」「連れ去りなどの犯罪」「地震」など、起こりうる危険からどう身を守るかについて確かめておきましょう。

交通安全の基本を教える

「交通事故」を防ぐために、まずは基本となる以下の「止まる」「待つ」「みる(確認する)」ことの大切さを改めて教え、親子でまち歩きをする中で実践しておきましょう。

▼道を渡るときは、信号がないところでも必ず一度“止まる”こと。
▼道で待つときは、白線や車道と歩道の境界から1歩下がって“待つ”こと(ギリギリのところに立っていたら、車に巻き込まれたり、ぶつかって危ないことも教えてください)。
▼横断歩道などを渡るときは、車が来ないかを“確認”するのはもちろん、“何色の何”が近づいてきているのかまで“しっかり確かめる”こと(子どもは顔を左右に振って“確認しているような”動作をしているだけで、きちんと確認できていないことが多くあります)。


さらに、横断歩道などを渡るときには、減速しながら近づいてくる車や、赤信号で停まっている車のドライバーとアイコンタクトができるようになると、よりいいですね。
「今から渡りますよ」という合図をアイコンタクトで送ることで、ドライバーに子どもの存在を認識させ、確実に停まってもらうことができるので、お互いに安心かつ安全です。

通学路に何があるかを知る

「連れ去り防止」については、各地域にある『こども110番の家』を活用したいですね。
地域によってデザインは異なりますが、黄色地に“こども110番の家”という文字と、子どもの絵などが描かれたプレートやシールが貼られた民家や商店などを見かけたことがある人は多いと思います。
このマークは、「怖いことや困ったことがあったら、いつでもおいで」というメッセージを表しています。ですから、何か困ったことや緊急時にはこのマークを目印に、そこにいる大人に相談できることを子どもに教えましょう。
また、こども110番のマークがない場所では、コンビニや商店などどこでもよいことを伝え、同様に確認しておくことです。

親子でそのマークを確認しながら歩いたら、『こども110番の家』のマークを掲げている家などに「これから子どもが学校にあがります。よろしくお願いします」とあいさつを交わしておくことも大事です。
こうして一度でも顔を合わせていれば、子どもはいざというときにその大人を思い浮かべることができます。逆に言うと、訪ねたことのない家に助けを求めるのはとても難しいことです。

私が実施した調査では、通学路でつきまとわれたり追いかけられるなどの怖い経験をしたおよそ15%の児童のうち、「こども110番の家」に助けを求めたのは、たった1.9%に過ぎませんでした。
もちろん、ほかの方法で危険回避できればよいのですが、何も対応できなかった小学生がおよそ18%もいたのです。その内訳は低学年の女児が63%という結果でした。
ほかにも「防犯ブザー」を緊急時に鳴らせた子どもは1%以下という少なさです。このように、平素ならブザーを鳴らせたり、「たすけて!」と大声を上げることができても、緊急場面で思うようにできなくなるのが子どもというもの。
したがって、「防犯グッズを持たせているから万全」とは思わずに、親子で実際に通学路を歩き、あらかじめどうしたらよいのか考えたり、体験しておくことで、いざというときに実行できる可能性を高める準備が大切なのです。

もちろん地震時も想定して、地震がおきたら古いブロック塀や自販機などの倒れてきそうなものからは離れること、空き地などの避難する場所を具体的に確認しておきましょう。

地域の人に子どもの存在を知ってもらう

ここまで書いてきたように、親子で危険について考えたり、予行練習をしておくことは大切ですが、共働き家庭も増えている昨今ですので、地域の協力を得て地域ぐるみで子どもを見守ってもらう必要があります。
それには、日頃からの地域との関わりが大切です。保護者がご近所の人とあいさつを交わすことから、子どもの安全対策はすでに始まっているのです。

これらのことをふまえ、新入学前に子どもに身につけたい“4つの安全ポイント”をおさらいしたいと思います。

1.地域の見守りの目
2.「こども110番の家」など、いざというときに頼れる人や場所
3.防犯ブザーなどの防犯グッズ
4.子ども自身の安全力


いかがでしたか? 新入学の子どもに限らず、新しい学年になるこの時期に、あらためて親子で安全について話し合ってはいかがでしょうか。

<プロフィール>
宮田美恵子
順天堂大学医学部協力研究員。日本こどもの安全教育総合研究所理事長(特定非営利活動法人)。大学で学生への講義のほか、児童・生徒の授業、および成人を対象とした市民安全のための生涯学習活動にも力を入れている。新聞・雑誌・テレビ・ラジオなど多数に出演(安全教育学)。

※当記事の内容を引用する場合には、必ず出所を明記してください。

●日本こどもの安全教育総合研究所HPはこちら
http://www.kodomoanzen.org/

写真© Neutrope - Fotolia.com
順天堂大学医学部協力研究員。日本こどもの安全教育総合研究所理事長(特定非営利活動法人 )。
大学で学生への講義のほか、児童・生徒の授業、および成人を対象とした市民安全のための生涯学習活動にも力を入れている。
新聞・テレビ・ラジオ・雑誌など多数に出演(安全教育学)。
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