「書斎」や「ワークスペース」と聞いて、ワクワクする人は多いはず。特に男性には大人気ですよね。でも、実際に書斎をつくるとなると「どうすれば便利になるかわからない」「いずれ使わなくなるのでは? 」など、疑問や不安が山積みではないでしょうか。
そこで、まずは「そもそも書斎って必要? 不要? 」から考えてみましょう。
どんな方が書斎を希望しているのかをご紹介しながら、書斎のメリットやデメリット、どんなプランが使いやすいかなどのポイントを詳しく解説していきます。
書斎とは?
書斎とは「住宅の中において、文を書いたり書を読んだりする部屋」のこと。現在ではワークスペースとも呼ばれ、「会社から持ち帰った仕事をする」「パソコンを使う」「家計簿をつける」「子どもの学校関係の書類を整理する」「趣味の手仕事をする」などの用途に使われることが多いようです。
そもそも書斎って必要?
これから家づくりをするファミリーにリサーチすると、多くのかたが「時には一人でゆっくりできるスペース」を住まいの中に求めているようです。日中は仕事に追われ、帰宅してからも家事や子育てに大忙し。
そんな人にとっては、家の中に“ 一人でリラックスできる空間" が必要なのかもしれません。
例えばこんな声がよく聞かれます。
「一人だけの空間で、寝る前に日記を書いたり、子どもの学校の書類に目を通したり、家計簿をつけたりしたい」
「家に持ち帰った仕事に集中して取り組みたい。大切な書類を他の人に触られたくない」
「手作りなどの趣味をのんびり楽しんで、作業途中のまま置いておきたい」
そしてこんな風に続きます。
「本当は欲しいけれど、床面積にゆとりがないからあきらめる」
「子ども部屋が必要だから、親の書斎は我慢する」
「つくっても使われないで荷物置きになりそう。それなら収納にした方が合理的」
このような事情から、書斎をあきらめてしまう人が多いようです。
でも、書斎のスペースは工夫次第で確保することができますし、狭くても居心地のいい書斎をつくることもできます。働き方改革が提唱されつつある今、住まいの中でも“ 一人で充実して過ごせる時間" はもっと大切になるはず。
書斎やワークスペースの必要性も見直されるかもしれません。
書斎をつくるメリット
では、書斎をつくるメリットを挙げてみましょう。こうしたメリットに着目し、目的に合わせて計画した書斎の例も、このあとご紹介します。
●個人に戻ってリラックスできる。
●趣味に集中して取り組めて、作業途中で置いておける。
●作業をすぐに再開できるので、家事の合間などの短い時間を有効活用できる。
●持ち帰った仕事の資料や製作中の作品などを、子どもに触られない。
●家計簿などを急な来客に見られる心配がない。
●家のあちこちに個人の持ち物が散らかりにくい。
●子どもの学校や習い事関係の書類を整理しやすい。
書斎をつくるデメリット
次に挙げるのは、書斎のデメリットです。スペースそのものの設計のほか、使い方によっても思わぬデメリットが生まれることになります。
●せっかくスペースを割いたのに使わない。
●行くのが面倒になり、荷物置き場になる。
●収納が足りず、作業カウンターに物があふれて使いにくい。
●レイアウトが悪く、中の雑然とした様子が外から丸見えで気になる。
●書斎に閉じこもってしまい、家族全員で過ごす時間や、家事を手伝う時間が減る(妻から夫へのクレームの場合が多い)。
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書斎をつくる際に考えるべきポイント
実際に書斎をプランニングする際は、以下のポイントを頭に入れておきましょう。
●書斎でどんな作業をするか、何を収納するかをしっかり想定してから、面積や形を考えましょう。
広さにはあまりこだわらなくてOK。
例えば、同じ畳数の部屋でも、真四角より長方形の方が、カウンターや本棚を設置しやすくなります。
●長く過ごすスペースから遠すぎると、行くのが面倒になり、利用頻度が減ってしまいます。
例えばママがよく使う書斎なら、ダイニングやキッチンに近いほうが、家事の合間に利用しやすくなります。
↑リビングとDKの間につくった書斎。キッチンから近いので、作業の途中で家事に戻るのもラク。
出入り口がオープンで扉がないのも、使いやすさのポイントです。
●家族のいる場所から離れていても空気感がつながっていると、安心して長居できます。
反対に、仕事に集中するのが目的なら、LDK から離れた個室にするのがおすすめです。
↑1 階のLDK を見下ろせる、2 階ホールの書斎。家族の声を聞きながら作業できます。
オープンな空間なのでインテリアにもこだわり、壁を自主施工でヘリンボーン張りにしました。
↑自宅でのお仕事が多いご主人のための書斎。こちらが1 階でLDK は2階なので、一人でじっくりと仕事に取り組めます。疲れたらごろりと横になれるよう、床は畳敷きにしました。
●デスクやカウンターの配置では、座っている人の“ 背中" より“ 側面" が見えた方が、近づいてくる人の気配がわかって安心。作業中のプライバシーも守りやすくなります。
↑カウンターをⅡ列に配置したお宅。どちらのカウンターも、作業する人の“ 側面" が見えるレイアウトです。
狭さ解消のため、出入り口はオープンにして、天井との間をあけた壁だけで囲みました。
●無駄な床面をつくらないように家具を配置します。飛行機のコックピットを参考にすると、イスは75cm角くらいの面積があれば置けるので、なるべくカウンターや収納を充実させるのがおすすめです。
↑玄関ホールとDKの間にある、まさにコックピットのような書斎。アールのついた壁の内側が作業スペースになっています。
●作業している手元が隠れるように計画すると、扉をつけなくても落ち着ける空間になります。この場合は、雑多なものが外から見えないように、収納のレイアウトにも工夫しましょう。
↑奥さまが読書や編み物などをする書斎。程よいこもり感があります。腰壁でさりげなく囲んであるため、外からはデスク上が見えません。
本棚も真正面ではなく、目立ちにくい角度に配置しました。
●面積を小さくするなら、窓は小さくてもOK。直射日光が気にならない方が居心地がよくなります。
デスクの前を壁にするか窓にするかは、好みで選んで。
利き手の反対側に窓をつけると“ 手暗がり" になりにくくなります。
ハイサイドライト( 天窓 )から採光し、壁を生かす方法もあります。
↑寝室の一角につくった書斎。1 畳ほどの小さな空間なので、背面の小窓から採光しています。扉をつける代わりに入り口をアーチ型にして、こもれる雰囲気に。
↑こちらはですく正面に窓をとったお宅。外の景色を見ながらゆったりと過ごせます。書斎を使う時間帯が昼間か夜間かということも、窓を考えるときのポイントになります。
書斎をプランする際の注意点
小さくても使いやすく、落ちつける書斎をつくるためには、こんなことに注意しながらプランするのがおすすめです。
●書斎では収納が大切。ものの定位置を決めて、そこに戻すようにすると、つねに作業スペースを広く使えます。収納は扉のないオープンタイプの方が、片づけが面倒になりません。
●夫婦や親子など、複数の人で使う場合は、各人のエリアを限定するとラク。
それぞれの専用収納を設けて自分で片づければ、持ち物が混ざらず、紛失も防げます。
●“ 閉じこもり" になりそうなら、家族のいるスペースを通って行く場所に書斎を配置してみては。
廊下を書斎がわりにする方法もあります。廊下では長い収納やカウンターが設けやすく、省スペース化にもつながります。
●小さな書斎の出入り口には、扉より引き戸が便利。一人で通るなら、幅は60cmあれば十分です。扉も引き戸もつけずにオープンにする方法もあります。
●隣の部屋との間に室内窓を設けると、孤立感を軽減でき、インテリアのポイントにもなります。
●書斎には家電が多くなりがちですが、「たこ足配線」はNG。
充電器なども必要と考えて、コンセントの数や位置を検討し、配線が混雑しないようにしましょう。
書斎の間取り・プランニングのコツをもっと知りたい
こちらの記事でも、書斎・ワークスペースのプランのコツをご紹介しています。
書斎のある間取りを考える際は、ぜひ参考にしてみてください。
【ワークスペース編】人気のスペース・コーナーづくりのポイント! 建築家がプランのコツを伝授!
https://kurashinista.jp/house_building/detail/3453
まとめ
家族に気兼ねなく、本を読んだり趣味に打ち込んだり。家の中にプライベートな空間があると、余暇の時間が充実しますよね。「面積が足りないから」とあきらめるのではなく、出入り口や窓のとり方、収納の設け方などのポイントを押さえれば、小さくても居心地のいい書斎が実現できるはずです。
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アドバイスをくださったのは
プランボックス 一級建築士事務所
小山 和子さん
1955年広島県生まれ。女子美術大学芸術学部卒業。87年に小山一級建築士事務所、95年に一級建築士・湧井辰夫さんと共同で現事務所を設立。http://www.mmjp.or.jp/p-box/
取材・文/後藤由里子
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