やわらかな緑が目に優しい壁面緑化の外壁。学校や役所、病院といった公共の施設で見かけることが多いですが、個人の住まいでも、植物好きの人だけでなく、安らぎの効果やエコ意識から取り入れる人が増えつつあります。
外壁の壁面緑化とは
住宅の外壁を植物で覆う仕組みを作って緑で彩るのが壁面緑化です。
格子状のネットやワイヤー、パネルなどを外壁に固定して、そこへつる性の植物などをはわせるやり方や、外壁の固定した支柱にプランターをたくさん並べて取り付ける方法があります。
また、スポンジ状のマットなどに軽量土壌を入れ、水やり用の点滴チューブを使った自動かん水装置を取り付けた壁面緑化ユニットもあります。
環境保全の目的で、地域によっては壁面緑化や屋上緑化を促進する助成金制度を設けているところもあるようです。
壁面緑化の特徴
メリット
○建物の温度上昇を抑える
住宅外壁の表面温度が上がるのを抑制する効果があるとされています。
○室温の上昇を抑える
壁面の温度上昇を抑制することで、室内の温度上昇も抑えられるとされています。夏の冷房効率を上げることで、省エネ効果が期待できます。
○CO2の削減効果
大量の植物による二酸化炭素の削減効果が期待できます。
○リラックス効果
緑色にはリラックス効果があるといわれています。硬い質感の壁をやわらかい葉が覆う外観も、見る者の心を落ち着けるのに役立ちます。
デメリット
△植物の世話に手間がかかる
水やりや枯れた部分の入れ替えなど、植物の世話は予想以上に手間がかかるものです。しかも、壁面緑化は町の景観にも影響しますから、手を抜かずこまめに緑の世話をする必要があります。
△害虫の駆除
土や植物があるところには、必ず虫が発生すると言ってもいいでしょう。害虫駆除のための薬品は近隣への影響も考慮して使う必要があります。
壁面緑化に適した植物
壁面緑化には、以下のような特徴のある植物が向いています。
〈生長の早い植物〉
有名なアイビーをはじめとする常緑植物のヘデラの仲間は比較的生長が早く、さまざまな色合いの緑が楽しめるのが特色です。
〈きれいな花や実を楽しめる植物〉
春に咲くカロライナジャスミンやツリガネカズラ、夏に咲くテイカカズラ、ツキヌキニンドウにツルハナナス、秋に赤い実を付けるビナンカズラやムベなど。いずれもヘデラ類との混植がおすすめです。
〈芳香を楽しめる植物〉
春のクレマチス・アルマンディ、初夏のハゴロモジャスミンやスイカズラなど。いずれもヘデラ類との混植がおすすめです。
〈比較的育てやすい植物〉
幅広い世代に親しまれていて比較的育てやすいとされているのが、ゴーヤ、ヘチマ、アサガオです。
壁面緑化の補修・メンテナンス
壁面緑化に用いる植物は生き物ですから、生長に合わせたメンテナンスが必要です。
植物の種類や季節、環境によってお手入れは変わってきますが、一般的には水やり、肥料やりを怠らないことが第一。枯れた部分の入れ替えはまめにおこなって、排水溝などに枯れ葉がたまらないよう気を配るのも、重要なメンテナンスの作業です。
景観を保つためには、年に2回程度、剪定(せんてい)を必要とするケースも。病害虫対策には薬剤散布が効果的ですが、これも周囲の環境に配慮しなければなりません。
手入れについては、壁面緑化のための施工をおこなう段階でプロにアドバイスをもらうのがよいでしょう。
初期費用にくらべて、1回ごとのメンテナンス費用はあまりかからないでしょうが、手入れの頻度としては他の外装材より多くなります。
また、植物の生長によって重量が増した場合は、建物の構造強度を上げるといった大掛かりな施工が必要なので、要注意です。
壁面緑化の施工法
壁面緑化の施工の場合、植物のタイプや取り入れるシステムによって施工法はそれぞれですが、一般的なワイヤーメッシュにつる植物をはわせるやり方は、大まかに次の通りです。
1 壁面にワイヤーメッシュを取り付ける支柱を固定する。
2 ワイヤーメッシュを取り付ける。
3 ワイヤーメッシュの下部にプランターを設置。
4 プランターに排水管を取り付け、排水マットや育成基盤を入れる。
5 育成基盤に土を盛って植物をワイヤーに誘引しながら植え込む。
6 自動かん水装置を取り付ける場合は、点滴チューブを設置。
まとめ
壁面緑化は、手入れの手間がかかる半面、環境保全や省エネに対する効果があり、地域の景観にも貢献できる良さがあります。
ガーデニングで草花の世話を経験して植物の魅力に気づいたのであれば、壁面緑化を考えてみるのもいいかもしれませんね。
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記事作成協力:株式会社北九州住宅診断研究所
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