【Iさん宅(山梨県)】
愛犬ニコくんと暮らすIさん夫妻。ご主人はパティシエ、奥さまは医療事務の仕事をしている多忙なおふたりですが、ご夫婦そろってインテリアや雑貨などのかわいいものが大好きだそう。
フルオープンの窓が気持ちいいIさんのお宅。近くにはワイナリーもある寒暖の差が大きい地域ですが、その環境に対応する工夫を盛り込みつつ、予算内で思いどおりの住まいを実現させました。
依頼したのは、オープンハウスに何度か参加した「光と風設計社」。当初は自分たちの予算で引き受けてもらえるか不安でしたが、コストと仕上がりをじっくり検討しながらプランニングを進めてもらうことになりました。
理想の住まいが「1000万円台」で実現したポイント
- 外観をシンプルにして、ゆとりをもたせながら床面積を抑えた間取りに。
- 内外装材は種類を絞り込み、業者と価格交渉しやすいものから選択。
- 収納扉をなるべく省き、収納内部も簡素な構造にして自分たちでカスタマイズ。
1F LDK
キッチンを中心にぐるりと回遊できる間取り。北側の冷蔵庫の上と階段に採光&通風用の窓を設け、南面のフルオープンサッシから入る風が抜けるようにしました。
「好きなものに囲まれて暮らすのが夢でした」とおふたり。テレビの“お宅拝見”番組や雑誌を参考にしたり、インテリアショップをめぐって、家具や雑貨を集めました。
【こだわりPoint】ショールームに通って背の高い奥さまの ジャストな高さに調整。キッチンの天井高を抑えることで LDがよりのびやかに。
キッチンに立つと、玄関ホール、LD、和室がすべて見渡せる間取り。キッチンは「トステム」のシステムキッチンを採用し、タイル張りのカウンターで手元を目隠し。
部材でコストダウンしながら“光”の反射や導き方で空間に豊かさを感じさせて
ご夫妻が出した要望は、キッチンに立つとフロアじゅうを見渡せて、家族がどこにいるかがわかる開放的な間取り。そして、オープンカフェで見てあこがれていたフルオープンサッシをリビングに採用して、デッキとリビングに一体感をもたせること。
設計者は、土地柄、猛暑になる夏に備えて風の通り道を確保するのと同時に、キッチンを中心に回遊できる間取りをプラン。リビングのサッシの上に設置したオーニングの開閉によって、夏は日ざしを遮り、冬は日ざしを室内までとり込めるようにしました。「おかげで、夏はエアコンがほとんど不要で、冬は訪れた人が床暖房を入れたの?と間違えるくらいあたたかです」
一方、コストダウンのために外観をシンプルにし、床面積も必要最小限に抑えました。また、無垢のパイン材の床などの自然素材を採用しながら、アクセントとして使う素材以外は内装材の種類をできるだけ絞り込んでコストダウンをはかりました。
「プランニング中は、セレクトされたたくさんのリストのなかから引き手金具ひとつに至るまですべて選んだり、設備のショールームに通ってはサイズを調整したり。1年かかりましたが、そのかいあって、とても満足のいく家ができました」とIさん夫妻。新築時の費用だけでなくランニングコストも抑えられる、心地よい家ができました。
1F LD
【こだわりPoint】フルオープンできるサッシで気分はオープンカフェ!
天井高を2.6mと高めに設定し、構造の梁を見せて開放的に。パイン無垢材の床は「光と風設計社」でよく使うものに統一し、壁紙はプレーンでも上品に見えるものを選択。
1F キッチン
【こだわりPoint】カウンターのモザイクタイルが空間のアクセントに
Ⅰ型のシステムキッチンをアイランド風に見せるカウンター。奥さまお気に入りのモザイクタイルを張りました。
背面側のチェッカーガラスの扉の中は、階段下を利用したキッチン収納。内部には「イケア」の引き出しが入るシンプルな棚をつくってもらい、家電から食器、調味料まで収納できるようにしました。
1F ダイニング
【こだわりPoint】入居の半年前から準備していたイタリア製の鳩時計。アンティークのダイニング家具は質感がお気に入り
富士吉田市のインテリアショップ「ロンタン」で買ったアンティークのパイン材テーブルとチェア。床を「AURO」の蜜蝋でお手入れしたら、家具に質感が近づいてきました。
2F 和室
【こだわりPoint】隣地の竹林を望む借景窓はまるで屏風絵
ひとつはほしいと思っていた和の空間は、縁なし畳と土佐和紙で、隣接するLDKと自然につながるインテリアに。落ち着いた雰囲気にするため、地窓にしました。
2F 廊下
【こだわりPoint】天井まであるドア枠は空間がつながって見えて開放的
北に面していながら明るい廊下。窓やドアを天井いっぱいの高さまでつくることで、影ができず、部屋の隅々にまで光が届きます。建具はすべて既製品を採用してコストダウンをはかりました。
2F ワークスペース
2階の廊下のつきあたりには、シンプルなカウンターを造りつけただけのコンパクトなワークスペースを。窓を端に寄せることで、光が壁に反射し、ふんわりと明るく。
2F 寝室
正面の窓は道路側に面しているので、木製サッシを採用。左手にはウォークインクローゼットがあり、扉をつけず、婚礼だんすなどをおさめて使っています。
階段
上がり口と階上の窓から自然光がさし込む階段。踏み板はパイン材、蹴上げ部分は壁と同じクロス張りで仕上げることで、明るくおしゃれな仕上がりに。
2F サニタリー
【写真左】洗面脱衣室にトイレも設け、ホテルのような空間にしました。床は掃除がしやすいクッションフロア。高窓を設けることで、湿気がこもりにくい明るいサニタリーになりました。
【写真右】サニタリーの収納用に棚受けレールだけをつけてもらいました。コストダウンの工夫でもありますが、暮らしに合わせて棚板やかごの数を調整できるので便利だとか。
2F 浴室
【こだわりPoint】めずらしい2面の窓で月見風呂も実現
「トステム」のシステムバスを「光と風設計社」オリジナル仕様にし、窓を2面につけてもらいました。周囲は山林なので、人目を気にせずゆったりバスタイムを楽しめます。
1F トイレ
ワインレッドの壁で印象をがらりと変えた1階のトイレ。クロスにつや消し塗装を施し、コストを抑えながらシックな雰囲気に仕上げました。
1F 玄関ホール
【こだわりPoint】玄関ドアは本物の木そっくりのアルミ製断熱ドア
【写真左】たたきに使った石畳のような質感のタイル、床のパイン材、木製サッシで、ナチュラルな雰囲気に仕上げた玄関ホール。左手にはシューズクローゼットもあります。
【写真右】玄関ドアまわりの壁だけにレッドシダー材を張り、床面は天然石のような質感のタイルで仕上げて、シンプルな外観にナチュラルな素材感をプラスしています。
1F デッキ
【こだわりPoint】オーニングは カフェ風の演出と夏の日ざし対策に◎
リビングの床面とフラットにつながるデッキは、部屋の続きとして使える空間。冬はひなたぼっこ、夏は夕涼みと、一年じゅう快適に過ごせます。
外観
【こだわりPoint】南傾斜にして太陽光発電にも対応できるように
外壁はモルタル仕上げ、屋根はガルバリウム鋼板葺き。片流れ屋根のシンプルな箱のようなフォルムにしてコストを抑えました。通りに面した2つの窓は木製サッシに。
DATA. Iさん宅(山梨県)
設計のPOINT
光と風設計社 五味 政重さん
Iさんのお宅は敷地にゆとりがありましたが、当社のポリシーである“光と風が渡る設計”を実現させつつ、むやみに床面積をふやさずにコストを抑えました。肌に直接ふれる床材は経年変化によって10年20年たったときに味が出る自然素材を使いましたが、内外装材は業者さんとも価格交渉しやすい、当社でよく使う素材を採用することによって、コストダウンをはかっています。住むほどに愛着を感じてもらえる、普遍的なロングライフデザインも心がけました。
Profile.
一級建築士。1989年に光と風設計社の母体であるジーエムコーポレーションを設立。生まれ育った山梨県を営業エリアに、住むほどに愛着が深まっていく家づくりを提案している。
家族構成 |
夫婦 |
敷地面積 |
210.21㎡(63.59坪) |
建築面積 |
66.25㎡(20.04坪) |
延べ床面積 |
102.50㎡(31.01坪) 1F 53.00㎡ + 2F 49.50㎡ |
構造・工法 |
木造2階建て(在来工法) |
工期 |
2009年8月〜12月 |
本体工事費 |
約1950万円 |
3.3㎡単価 |
約63万円 |
設計・施工 |
光と風設計社(五味 政重、志村 香織) TEL: 055-232-7201 |
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