お散歩中の犬のリードに、黄色いリボンがついているのを見たことがありますか?じつはこれ、おしゃれのためにつけているのではありません。
【ペットの肥満】運動効果のある正しいお散歩の仕方をおさらい!
「人や他の犬が苦手」「病気がある」「怖がり」「トレーニング中」など、さまざまな理由で犬と距離を保ってほしいという飼い主からのサインなんです。
この黄色いリボンの意味について、「みんなのイエロードッグプロジェクト」代表の染川美智子さんに詳しく聞きました。
「イエロードッグプロジェクト」とは
「イエロードッグプロジェクト」とは、もともとスウェーデンで生まれたプロジェクト。
さまざまな理由で散歩することが難しい、他の犬や人と交流することが難しい犬たちのために、イエローリボンをつけ、「近づかないでほしい」という意思表示をする活動です。
染川さんがこのプロジェクトについて知ったのは、2021年1月のことでした。
きっかけは、引き取った保護犬がお散歩中にパニックで倒れたこと
「私は2021年の1月に、保護犬の"まるこ"の里親になったのですが、まるこは当初から、他の犬がとても苦手でした。
散歩中にもなるべく人や他のワンちゃんを避け、挨拶に来てくださるかたにも事情を話してお断りしていました。
でも中には『うちの子は大丈夫』と近づいてくる飼い主さんも。あるとき強く吠えられて、まるこはパニックに…。発作を起こしてしまったんです。
このことをSNSで発信したところ、フォロワーさんからのコメントで「イエロードッグプロジェクト」について知りました。
早速イエローリボンをつけ、個人のSNSで情報を広めていきましたが、『地域全体に広まっていかなければ意味がない』と思い、2021年秋にボランティア団体『みんなのイエロードッグプロジェクト』を立ち上げたんです」
強化地域は3ヶ月ほどで効果が出始めました
「まずはサクセスモデルを作るため、強化地域にチラシを掲示。3ヶ月ほどで効果が出始めました。
強化地域では現在8割ほどのかたが散歩中にイエローリボンに気づいてくださり、距離を保ってくれるまでになっています」
▲SNS用のチラシ。この他、実際に街にチラシを貼ったり、イベントでPRするなど、イエローリボンの啓蒙活動を続けている。公式リボンも発売中。各種チラシのダウンロードはコチラから。
イエローリボンの正しい使い方は?
「手持ちのリードにリボンをとりつけるだけです。ただしつける位置がポイント。
中央が最も見えやすく、認識もされやすいのでおすすめ。体に近すぎると洋服の一部と見間違えたり、飼い主さんの手元に近すぎると背後からリボンが見えにくくなるからです」
近づかないでほしい距離を長くしたい人ほど、大きくて下紐が長いリボンを選び、目立つようにするといいそうです。
▲リボンをサポートするためのバッジも用意。イエローリボンを知らない人にも、メッセージをわかりやすく伝えられる。
犬の世界にはヘルプマークがない。愛犬家にもそれ以外の人にも知ってもらいたい
「しつけで改善する犬ももちろんいると思いますが、持って生まれた性格や過去に怖い思いをしたなどで、トラウマを抱えている犬もたくさんいます。
それなのに、犬の世界にはヘルプマークがなく、これまで愛犬家同士の共通サインは何もありませんでした。
でも犬は人と暮らし、社会の中で受け入れられてきた生き物。家だけでなく、散歩に出て地域の中で暮らしていくために『イエローリボン』のようなサインが必要です。
黄色いリボンをつけた犬(イエローリボン犬)を見かけたら、近づかずそっと見守る。ヘルプマークのようなサインとして認識してもらえるといいですね。
それと同時に、飼い主のお散歩マナーも大事。イエローリボン犬でなくとも、挨拶するときは飼い主同士で確認してから犬同士を近づけることが大切です。
いきなり犬を触るのもマナー違反。不意な接近や接触がトラウマになり、新たなイエローリボン犬を生まないようにするためです」
取材・文/佐藤望美
コメント
全て既読にする
コメントがあるとここに表示されます