こんにちは。和田明日香です。
一年で一番好きな季節が終わってしまいました。まだしばらくは暑い日が続くけれど、カレンダーが9月のページになったら、わたしの中で夏は終わり。
井上陽水さんの「少年時代」を聴いて、「八月は 夢花火」という歌詞に身悶え、時に涙しながら、秋味(8月中旬から秋限定で発売するKIRINのビール)を飲むのが、毎年恒例、わたしの夏の終わらせ方です。
▲プールは毎年レミさんちの庭に出させてもらいます。「子どもをつまみに飲むビールが一番うまいね!」って、レミさん。
秋の金木犀も、冬の早い夕暮れも、同じように切なくて好きなのですが。やっぱり夏の終わりは特別。しかも、親になって切なさの深みがぐっと増したように思います。
久しぶりに履いたスニーカーがちょっときついと、子どもに言われてハッとする夏の終わり。そういえば身長も伸びたよね。日焼けのせいかもしれないけど、顔つきも変わった気がする。
飽きるほどずっといっしょにいたのに、いつの間に成長していたんだろう。こんなにいっしょに遊べる夏は、あと何回残されているんだろう。そんなことを考えて胸がぎゅーっとちぎれそうになります。いつもより苦めのビールがしっくりくるわけです。
▲夏休みの宿題は「うどん研究」。わたしもいっしょに学びました!
なんだか、夏が好きなんじゃなくて、夏の終わりが好きなんじゃないかと思えてきましたが。ごはんに関して言えば、夏は調理がシンプルになる気がします。
『10年かかって地味ごはん。』で紹介した、「茹でただけのもやしと切っただけのトマト」も、夏の食卓によく登場するひとつ。その名の通り、茹でたもやしと切ったトマトをひとつの皿に盛り付けて、ごまだれをかけて食べるのですが、夏はこんなおかずが多くなります。
とうもろこしと枝豆を同時に蒸して、バサバサっと粗塩をかけ、竹の盆ざるに載せるとか。もずくをガラスの器に移して、ポン酢をかけるとか。きゅうりを縦に斜めに切って、氷をガラガラと入れた器に入れるとか。これには、刻んだ大葉やみょうがを混ぜ込んだ味噌をつけながら食べますが。
▲とうもろこしと枝豆は、一気に蒸す!夏はこれが主食なんじゃないかってぐらい、食べました。
とにかく、食材を食べられる状態にして、涼しげな器を選んで盛るだけ、味付けのことはそんなに考えません。
暑くて火の近くに長くいたくない、という理由もありますが、夏の食材は、パパッと料理されることを望んでいるように思います。生命力溢れる季節に収穫された、ピチピチの野菜たちは特にそう。あんまり手を加えずに、素材がたくわえているみずみずしさを味わうべきなんじゃないかと思うのです。
まあ、子どもたちが家にいて、いつも以上に料理の回数が増える夏休み、少しでも手間を減らしたいだけの言い訳にすぎません(笑)
今回は、夏ならではの料理、我が家の冷やし中華をご紹介しようと思います。夏は毎日でもいいぐらい冷やし中華が好きなのですが、ものすごーく食べたくならないと作りません。さっき書いたような、シンプル調理なおかずに比べて、意外とやることが多い気がするからです。
具を準備して、たれ(我が家はごまだれ一択)を混ぜて、麺を茹でて、人数分盛り付け。書いてしまえば簡単だけど、手数はかかるんですよね。これはもう、好きなものを飲みながら、ちんたらマイペースに作るのがおすすめ。これが今年の食べ納めかな〜なんて思えば、ひとつひとつの工程にも気持ちがこもります。
夏の終わりにちんたら作る 冷やし中華2021
<材料(4皿分)>
トマト…2個
ピーマン…2個
オクラ…4本
もやし…100g
きくらげ…80g
ささみ…3本
(でも、具の量はお好みで増減してください!オクラをひとり2本ずつ食べたって、ピーマンを入れなくたって、ぜんぜん構わないです。レタスにしたり、きゅうりにしたり、ささみの代わりに豚しゃぶにしたり、いろいろ楽しんでくださいね)
中華麺…3〜4玉(我が家ではひとり1玉だと多いので、少なめに茹でることが多いです)
A具の茹で汁…大さじ5
A醤油…大さじ4
A砂糖…大さじ2
A酢…大さじ2
A白ねりごま…大さじ2
A白すりごま…大さじ1
A長ネギの白い部分…10cm分
<下ごしらえ>
・鍋にたっぷりとお湯を沸かす。具用と、麺用、2個沸かしておくと早いです。
・トマトは縦に薄切り。ピーマンはへたと種を除いて縦に細切り。オクラは、頭の先を少しだけ切り落とし、がくの茶色くなっているところを包丁でくるっと1周むく。オクラのチマチマした下ごしらえ、意外と好き。
・たれの長ネギはみじん切りに。
<作り方>
1.具用の鍋で、もやし、きくらげ、オクラを順に茹で、ザルにあげる。大きなザルに並べてあげると、道具が少なくて済みます。
2.1の鍋の火を止めて、沸騰の泡が完全に静まったらささみを入れ、蓋をして3分。ざるにあげて粗熱をとる。茹で汁は使うので流してしまわないように!
3.Aを混ぜてごまだれを作る。余裕があれば冷蔵庫で冷やしておく。
4.水気をきったきくらげを細切り。ささみは手でさいて、ごまだれを少量かけて絡める。
5.麺用の鍋で中華麺を茹でる。ザルにあげて冷水でキュッと引き締める。とはいえ、夏って水道水がぬるくなっちゃってることがありますよね。氷があれば、ザルに氷を入れて冷やすと、麺の食感がよくなります。
6.皿に麺を盛り、ごまだれをひとさじかけて馴染ませる。具を盛り付けて、再度ごまだれをまわしかけ、完成。お酢をかけたり、豆板醤を混ぜたり。カスタムもご自由に!
和田明日香(わだ・あすか)●料理家。東京都出身、3児の母。料理愛好家・平野レミの次男と結婚後、食育インストラクターの資格を取得。オリジナルレシピの紹介、企業へのレシピ提供のほか、講演会、コラム執筆、CM、ドラマ出演など幅広く活躍。近著『10年かかって地味ごはん。』は20万部を突破。
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kurashinista.henshuubu@gmail.com
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