新生活が始まってしばらく経ち、環境の変化に少しずつ慣れるころ、「よく眠れない」「慢性的な睡眠不足が続く」といった悩みを抱える人が急増します。また、リモートワークと出社が混在し、生活のリズムを崩してしまっている方も多いのではないでしょうか。
睡眠時間が足りない生活を長く続けていると、生活習慣病などの思わぬ病気の原因になることも。そこで今回は、不眠症の原因と改善方法について、医師の木村眞樹子さんに伺いました。
新しい職場の人間関係のストレスで眠れない!
主婦の未可子さん(43歳/仮名)は、最近、不眠症に悩んでいます。4月からスーパーのパートとして働き始めて以来、身体は疲れているのに夜寝つけず悩んでいるのだとか。
「生活のリズムが変化したうえに、パート先で少し性格が合わない人がいて…余裕のない毎日のせいか、ストレスがたまり眠れません」
不眠が続くようになり、眠気のせいで仕事でも集中力が切れてミスを連発。スーパーの店長から怒られてしまったそうです。
未可子さんのように、新生活シーズンに不眠症で悩んでいる人は多いです。不眠症は家事や仕事の能率の低下だけでなく、病気や事故、怪我などの原因になることもあるため、放置せず早めに対処することが肝心です。
不眠症になる原因とは?
不眠症とは、1か月以上、睡眠異常が続く状態を指し、以下の4つに分類されます。
・寝つきに問題がある「入眠障害」
・寝ている途中で何度も目が覚めてしまう「中途覚醒」
・朝早くに起きてしまう「早朝覚醒」
・睡眠時間を十分にとっているのに浅い眠りのため満足感がない「熟眠障害」
不眠症において、睡眠の時間はさほど問題ではありません。理想的な睡眠時間には個人差があり、かつてよくいわれていた「理想的な睡眠は7時間」という説も、最近の研究ではそこまで重要視されていません。
不眠症の原因は複数ある
不眠症の原因はひとつではなく、さまざまな要因が不眠を引き起こすといわれます。
●ストレスや心の病気
ストレスと不眠は大きく関係します。人間関係や仕事のプレッシャーなど、新生活の環境の変化は、ストレスの原因に。また「眠れない」ということ自体がストレスになってしまうこともあります。
鬱病によって不眠になってしまう人もいます。
●身体の病気
病気による痛みやかゆみ、頻尿も不眠症の原因のひとつです。まずは根本原因となっている病気の治療を優先しましょう。
●生活リズムの変化
深夜勤務や時差など、生活時間が変化すると不眠症に陥ってしまう場合があります。いったんリズムが崩れると、元に戻るまでが大変です。
●環境音や明るさ
周囲の環境がうるさかったり、明るすぎたりすると寝つきにくくなります。眠り自体も浅くなり、中途覚醒が起こりやすくなります。
不眠症を改善する方法
不眠症を改善するには普段の生活から見直すことが大事です。ここからは、手軽に試せる不眠症の改善方法についてご紹介します。
1.目覚めたら太陽の光を浴びる
朝日を浴びることで、簡単に体内時計を調節できます。睡眠ホルモンと呼ばれる「メラトニン」の分泌は光によって調節されていて、朝に光を浴びることで身体に正しい時間を伝えます。
普段、外出する機会が少ない方は、とくに意識して朝に光を浴びましょう。短時間浴びるだけでも効果があります。散歩やジョギングを習慣にすると、運動効果で生活習慣病予防もできて一石二鳥です。
2.カフェイン摂取は午前中だけに
コーヒーや緑茶、エナジードリンクなどに大量に含まれるカフェインは、睡眠に悪影響をおよぼします。午後からはカフェインの摂取は控えましょう。
カフェインを摂取すると覚醒物質のヒスタミンが放出されやすくなり、脳を興奮状態にさせます。寝つきが悪くなるだけでなく、睡眠の質を下げ不眠症の原因になります。
3.適度な運動をする
日中に適度な運動を行うと、心地よい疲労感とともに寝つきを改善できます。ウォーキングなどの軽い有酸素運動が、とくに効果的です。
ただし、就寝前に激しすぎる運動をすることは逆効果です。あくまでも日中にとどめ、適度な疲労を感じる程度に行いましょう。
4.寝室にスマホを持ち込まない
就寝前にスマホなどのブルーライトを浴びると、睡眠物質のメラトニンが抑制され、寝つきを悪くさせます。また眼精疲労にも影響があるといわれています。
布団やベッドにはスマホを持ち込まないなど、寝る前の行動にも気をつけましょう。
5.漢方薬を飲む
「いろいろ試したが、不眠症がなかなか改善しない」
「西洋薬には頼らず不眠症を解決したい」
そんな方には漢方薬がおすすめです。
漢方薬は多くの症例により効果が認められている医薬品ですが、自然の素材がやさしく働くため、一般的には、西洋薬よりも副作用が少ないといわれています。
また漢方薬は対症療法ではなく、根本的な体質の改善を目指すものですので、不眠症に悩む方に、ぜひ試していただきたいお薬です。
効果が認められている自然由来の漢方薬を毎日の生活にとり入れることで、健康を維持して快適な生活を目指してはいかがでしょうか?
<不眠症の方におすすめの漢方薬>
●加味逍遙散(かみしょうようさん)
体力が中等度以下の方向けの漢方薬です。不眠症や肩こりや疲労、便秘の症状などのほかに、女性の更年期症状にも用いられます。
●抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)
体力中等度で、胃腸が弱い方に用いられる漢方薬です。不眠症や神経症、更年期症状などにも用いられます。
●柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
体力中等度以上で、不眠症、精神不安やイライラ、抑うつなどの症状にも用いられる漢方薬です。高血圧の不眠、動悸にも用いられます。
ただし、漢方薬を選ぶときに重要なのは、その人の状態や体質に合っているか、ということです。うまく合っていないと、効果を感じられないだけでなく、場合によっては副作用が生じることもあります。
どの漢方薬が自分に合うのかを見極めるためには、プロの力を借りるのがおすすめです。「あんしん漢方」などのオンライン漢方サービスに、一度相談してみるのもいいでしょう。
「オンライン個別相談」なら、AI(人工知能)を活用した漢方のプロが、一人ひとりに効く漢方薬を見極めて、お手頃価格で自宅に郵送してくれます。
スマホで完結するサービスですので、対面では話しにくいことも気軽に相談できますよ。
▶「あんしん漢方」を詳しく見てみる
寝不足の毎日から開放されてスッキリした新生活を!
新生活で不眠の症状に悩んでいる方は、今回ご紹介したさまざまな対処方法を試し、生活習慣を見直してみましょう。
不眠を解消するには、漢方薬もおすすめです。自分で判断するのではなく、漢方薬の専門家に相談しながら自分の身体や症状に合ったものを選ぶことが大事です。
不眠症を改善し、スッキリ熟睡できる毎日をとり戻しましょう!
<監修者>
医師 木村 眞樹子
医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事。
妊娠、出産を経て、産業医としても活動するなかで、病気にならない身体をつくること、予防医学、未病に関心がうまれ、東洋医学の勉強を始める。
臨床の場でも東洋医学を取り入れることで、治療の幅が広がることを感じ、西洋薬のメリットを活かしつつ漢方の処方も行う。
また、医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行なっている。
▶あんしん漢方(オンラインAI漢方)
コメント
全て既読にする
コメントがあるとここに表示されます