ようやく梅雨が明けたと思ったら、連日の猛暑…。暑さとマスクで息も絶え絶えですが、暑くなってうれしいこともありますよね。それは……ビールがうまいッ!
旅行も飲み会も自粛のこの夏。おうち時間に「最高においしいビール」を飲みませんか。いつもの缶ビールが劇的においしくなるプロの技をご紹介します。
“呑みニスタ”ぞろいの暮らしニスタ編集部から、日本酒党ですがビールもLoveな、わたくしコンドウがレポートします♪
香りも味わいも違う!「三度注ぎ」 って?
せっかくなのでプロから直接学びたい!こんなご時世なので取材もオンラインです。
教えていただいたのは、キリンビールの鄭正(てい・せい)さん。「一番搾り」のブランド担当をされている“ビールのプロ”です。どうぞよろしくお願いします。
鄭さん「よろしくお願いします!」
やさしい系イケメンの鄭さんは中国のご出身。小学生のときに来日し、日本で育ちました。今年お子さんが生まれたばかりの新米パパさんです。
今回学ぶのが「三度注ぎ」という方法。ビール大国のドイツやチェコから伝わった注ぎ方で、ビールがよりマイルドな味わいになっておいしくなると言われています。
鄭さん「ビールは注ぎ方で味が変わります。三度注ぎをしたビールは、炭酸ガスがほどよく抜け、苦み成分がおさえられてまろやかな味わいになるんですよ」
キリンビール系列のビアレストラン「キリンシティ」でもこの注ぎ方でビールを提供しているそうで、つまり、缶ビールも「三度注ぎ」で注げば “お店級の味”に近づける!早くも、のどが鳴ってきました。
ステップは3つ!
名前の通り、3度に分けてビールを注ぎ、ゆっくり時間をかけておいしいビールをつくっていきます。
缶ビールはもちろん「一番搾り」、グラスは一番搾り専用グラスで「三度注ぎ」を実演していただきました。
ステップ1:コツは高さと勢い!恐れずに上から注ごう
鄭さん「缶はなるべく高めに上げて、グラスの中を泡でいっぱいにするつもりで勢いをつけて注いでください。
泡だらけになっているのを落ち着かせます。少しずつ泡の部分が液体に変わってきます。
初めてだと吹きこぼれる可能性があるのでご注意くださいね」
鄭さん「グラスの半分ぐらいに泡が下がるまで待ちます。だいたい2分ぐらいです」
ステップ2:泡の下からそっと注ぎ込む
鄭さん「2回目に注ぐのときは高さを付けずに、グラスの縁からそっと泡の下にビールを注ぎ込むイメージです」
鄭さん「こんな感じですね。泡がグラスから1cmぐらい盛り上がるまでビールを注いでいきます。
泡と液体の割合は3:7、もしくは、2:8がいいと言われているんですね。そのぐらいのバランスを保っていただければOKです」
ステップ3:ゆっくり泡が盛り上がるように
鄭さん「最後にさらにビールを注いで泡をこんもりとさせていきます。
少しずつゆっくり注いでいきます。泡が崩れないようにそっと注いでいきます」
鄭さん「このように泡がこんもりした状態になります。これで完成です」
おおお、ここまで泡が盛り上がるんですね、すごい!
ビールとグラスの準備は抜かりなく!
ビールやグラスをしっかり準備しておくことも、ビールをおいしく飲むためには必須です。
1.ビールは数時間前に冷蔵庫にスタンバイ
一般的に、ビールのおいしい温度は6~8度と言われています。
実際に温度を計るのは難しいですが、目安としては冷蔵庫に数時間入れておけば問題なし。ただし、冷蔵庫の送風口に前に置くと凍ってしまう可能性があるのでご注意を。
2.グラスは常温が正解
よく、グラスを冷凍庫でキンキンに冷やすイメージがありますが、実はこれNG。
鄭さん「グラスを出したときに室温との温度差でグラスに水滴が出来てしまい、水分がビールに混ざって味が薄くなってしまいます」
夏でも冷房がきいた部屋の室温なら問題なしです。
3.グラスはよく洗って自然乾燥が◎
バーテンダーさんのマネをして布でキュッキュと拭くのもこれまたNG。
鄭さん「布の繊維がグラスの内側についた状態でビールを注ぐと、クリーミーな泡ができにくくなってしまいます。汚れもいっしょです。グラスはよく洗って自然乾燥させましょう」
グラスをきれいに洗ったら、バットにキッチンベーパーを敷いてふせておくといいですね。
酒飲み歴20年超でもけっこう勘違いしていることが多くてびっくりです。プロに教わって本当によかった。
やってみました!
今回は特別に、一番搾り専用グラスをお借りして「三度注ぎ」に挑戦します。
ステップ1。
高い位置からグラス目がけて勢いよくビールを注ぎます。これはなかなか気持ちいい!
グラスの上まで注いだら、だいたい、泡の中心がグラスの半分まで下がるまで待ちます。ここはしっかり待つ。
鄭さん「このグラスだとグラスのしずくマークの下まで沈んだから、2回目を注ぎます。
泡をよく見ると、表面は粗い泡(カニ泡というらしい)で、だんだん密度の高い泡になってきます。これが泡の中心です」
こんな感じになったら、ステップ2へ。
ここでモタモタしていると、3:7ではなく、1:9になってしまうので要注意。
泡の下にビールを注ぎ込むイメージで、そっと注ぐのがコツです。
ステップ3。
仕上げはゆっくりと。グラスの縁から静かにビールを注ぎ入れます。
完成!
クリーミーな泡になってますね。ちょっと泡の形がイビツですが、手をかけて注いだビールは愛おしさも倍増です。
それでは、待ちに待ったお味見タイムに…。
鄭さん「ちょっと待ってください!」
飲み方にもコツがあった!
実は、ビールの苦み成分は「泡」に留まるそう。せっかく三度注ぎをしても、こんもりしている泡をそのまますすってしまうと、いつも以上に苦く感じてしまいます。
鄭さん「こんもり盛り上げた泡はフタの役割で、ビールの香りやうまみを閉じ込めてくれます。
泡の下からビールを飲むとよりおいしく飲んでいただけます。首を後ろに倒して飲んでいただくと上手に飲めますよ」
改めまして、泡に下から(ングングング)プハー♡
グビグビいけます!ほどよく苦味が抜けて、いつも以上にビールの香りを感じます。そして味わいが実にマイルド!
注ぐたびに腕が上がる♪
うちにあるグラスでも「三度注ぎ」をやってみました。一番搾り専用グラスのような形が理想的ですが、写真のようなストレートのグラスでも良いそう。
注ぐたびに上達していきます。
頼まれてませんが、味もチェック!
炭酸が効いたビリリとした缶ビールの味も好きですが、「三度注ぎ」のマイルドで香り高いビールは、食事と一緒にゆっくり味わうのに最適ですね。
プロの技でいつもの缶ビールがマイルドな“お店級の味”に変身。この夏のおうち時間にぜひ味わってみてはいかがですか。
撮影・文/暮らしニスタ編集部 近藤
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