コラム

イクメンを期待しすぎないのが夫婦円満の秘訣ってホント?

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イクメンを期待しすぎないのが夫婦円満の秘訣ってホント?
育児をする男性”としてすっかり定着した感のある「イクメン」ですが、そもそもは2010年に、当時の厚生労働大臣らの提唱により男性の育児休業取得率を上げ、少子化対策につなげるのが狙いで作られた言葉です。厚生労働省が運営する「イクメンプロジェクト」のHPでは、イクメンについて「子育てを楽しみ、自分自身も成長する男性のこと。または将来そんな人生を送ろうと考えている男性のこと」とあります。しかし、男性にイクメンぶりを求めるあまり、不満を感じる女性が増えているのも事実。なぜこのようなことが起こるのか、今回は考えてみます。

イクメンと言っても育児参加の程度は人それぞれ


2012年にインターネット調査会社のマクロミルが実施した「イクメン実態調査」によると、男性が日ごろから行っている育児協力は「週末に子どもと遊ぶ」(68.0%)、「子どもをお風呂に入れる」(58.3%)が圧倒的に多い回答率を集めました。一方で「子どもの食事をつくる」は8.7%、「予防接種や持ち物など子どもの予定を把握する」は12.9%、「夜泣きの面倒を見る」は13.6%にとどまるという結果に。この調査で興味深いのは、「イクメン」を意識や関わり方の程度によって6タイプに分けていること。
たとえば家事も育児もすべて分担してこなす“イクメン優等生”として「家庭献身型」、子どもの面倒を見るのは好きだけれど基本的に育児は妻任せの「仕事優先型」、育児への参加意識は高いが実際はあまり協力していない「ファッション型」などが挙げられています。今や育児に協力的な父親は当たり前となりつつありますが、その行動や意識にはそれぞれ大きな差があるということ。上記の育児協力についても「家庭献身型」の父親ならば、全体では割合の低かった「子どもの食事をつくる」も30.9%に上昇。一方で「仕事優先型」ではわずか1%、「ファッション型」については0%になってしまうのです。つまり、たとえ「イクメン」と自称したり、他人から思われていたりしても育児参加の程度はそれぞれ違う、ということに…。そのため、母親にとっては「この程度の協力でイクメンのつもり?」と不満を感じたり、「お友達の旦那さんはこんなことまでしているのに…」と比較する要因になったりするというわけです。

お風呂に入れる・休日に遊ぶことだけが子育てじゃないのに


自称「イクメン」であっても、“子どもと遊んだり”“お風呂に入れたり”といったことだけが実際の育児ではありません。多くの男性が担うこの二つは、はっきり言えば「おいしいとこどり」。もっともっと子育てには大変なことがあり、その大部分を担うのが母親であるのに、男性だけが「イクメン」ともてはやされることに違和感を覚える人も多いと思います。もともと育児休業の取得率を上げることを目的に作られた「イクメン」でしたが、厚生労働省の調査では、平成25年度の育休取得率は過去より上昇しているとはいえ、男性はわずか2.0%しかいません。「24時間ずっと子どもと過ごす」ということを経験するのは、圧倒的に母親が多い現状はあまり変わらないのです。そのため、平日は勤務が終わってから「子どもをお風呂に入れる」、休日は「子どもと遊ぶ」というのが父親の役割になるのは致し方ないこと。夫が休みの日に子どもと外出してくれるだけで妻にはわずかでも自由な時間が生まれ、楽になるのも事実です。でも、現実の生活はそれだけではまわりません。帰宅するまでに家事を済ませ、「おかえり」と笑顔で迎えなければいけないのです。お風呂も子どもだけ先に出す父親が多いですが、「体を拭いて、着替えさせて」までやってくれないと妻の労力が減ったとは言えません。そこまで妻を気遣っている男性は、もしかしたらまだ少ないのではないでしょうか。

誰にでもできること、できないことがある


一方で、男性の立場に立ってみると、育児中は年齢的に仕事が大変な時期とも重なりがち。会社ではプレッシャーのかかる仕事を抱えていたり、残業が続いたりして疲弊しているのに、家に帰れば妻から「家事や育児をするのは当たり前」と思われるのはどうでしょう。妻の言い分とすれば、一日中、子どもと一緒にいるストレスの方がはるかに大きく、外で仕事をする夫が自由でうらやましく見えることもあるでしょう。妻は「せめて家にいるときぐらい…」と子育てのサポートを期待してしまうのですが、夫だって家で一人になりたいときがあり、息抜きしたいときもありますよね。だからこそ、夫の状況を理解せず、ただ当たり前のようにイクメンを求めてはいけません。また、夫が家事や育児をするとき、上から目線で「ここはこうして」など頼んでいませんか? 自分が思うようにやってくれないと不満を感じていませんか? 男だから女だから、という役割分担はナンセンスですが、実際は、妻にはできて夫にはできないこともあります。ですから、自分の立場や考え方から、夫にイクメンを強要するのはやめるべきですね。

もしかしたら夫に「イクメン」を期待するから、妻は不満がたまるのではないでしょうか。「イクメン」という概念を外したら、もっとラクに夫と付き合えるようになるかもしれません。小さな子どもを育てている時期は、人生で一番ハプニングや思い通りにならないことが続く大変なとき。そこを乗り越えるには、夫が「イクメン」かどうかではなく、夫婦が互いに思いやり、尊重しあい、理解しあう姿勢があるかどうかにかかっています。人はそれぞれ性格も気質も違い、男性と女性でも考え方は違います。さらに置かれている立場も異なり、それぞれにできること、できないことがあって当たり前です。その相互理解がなく、ただ一般的なイメージで夫を「イクメン」の枠に当てはめようとしても上手くいくわけはありません。まずは夫婦で子どもをどう育てるか、お互いのために何ができるか、などを話し合うのが先なのです。育児中は大変ですが、可愛い子どもと一緒に過ごすかけがえのない時間です。この二度と戻らない時間を、夫婦として、家族として、共に支えあって過ごしたいものです。

<プロフィール>
けんざきゆり
webライター
2人の子どもを子育てする傍ら、新聞社での記者経験を生かして幅広いジャンルの記事を執筆中。結婚、子育てにまつわるライフスタイルの記事を得意としつつ、美容や音楽、流行のものなどにも好奇心を働かせ積極的に執筆活動を続けている。

写真© hakase420 - Fotolia.com
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2人の子どもを子育てする傍ら、新聞社での記者経験を生かして幅広いジャンルの記事を執筆中。結婚、子育てにまつわるライフスタイルの記事を得意としつつ、美容や音楽、流行のものなどにも好奇心を働かせ積極的に執筆活動を続けている。
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