例年よりも早い梅雨明けが発表された今夏。梅雨は明けても湿度の高い日が続き、なんとなくスッキリしない気分で過ごしているという人も多いのでは?
もしかしたら湿気の多いこの季節特有の症状、「湿邪」が原因かもしれません。
そこで今回は、東京・大田区に本店を構えるツヅノ薬局の廿野 延和(ツヅノ ノブヤス)さんにお話を聞いてきました。
「湿邪」が入り込みやすい季節
体の中に水分が多くたまることで不調を起こす原因のひとつを「湿邪」と呼びます。
湿邪は、「粘着」「停滞」「重くて濁っている」「体の下部に溜まりやすい」という性質を持っているため、体に入り込むと水分代謝や血行を滞らせ、「むくみが取れない」「いつもより疲れやすい」「だるさが続く」「食欲不振」などの症状を引き起こすことがあります。
甘いものの取りすぎに注意!
湿邪が入り込む原因のひとつが、甘味や油物の多い食生活です。これらが湿となって体に溜まっていき、排出されないことによって不調が生じます。普段の食生活を見直し、スイーツや脂っこい食事を避けることも、「湿邪」対策になるのです。
バランスの良い食事を心がけるのが一番ですが、利尿作用が期待できる食材は余計な水分を排除して湿邪を逃がしてくれます。女性は「湿邪」の症状として「冷え」が生じる場合もあるので、胃腸や体を温める食材を取るように心がけると良いでしょう。
利尿作用が期待できる食べ物
コーヒー、緑茶、トウモロコシ、キュウリ、スイカ、冬瓜など
温め効果が期待できる食べ物
生姜、ニンニク、玉ねぎ、松の実、シナモン、紅茶など
舌の状態でセルフチェック
もしかしたら自分が感じている不調も、「湿邪」によるものかもしれないと思った人は、簡単にできるセルフチェックをしてみましょう。
自分の舌を鏡に映し、舌の淵に歯型がついている、もしくは舌の表側に白い苔のようなものがついているかを確認してみてください。もし歯型がついていたら、舌もむくんでいる証拠。舌に白い苔がつくのは、湿が溜まっていることが原因と考えられます。
漢方で湿邪対策も
「湿邪」のような症状は、漢方によって改善していくという方法もあります。今回お話を伺った薬剤師の廿野延和(ツヅノノブヤス)さんによると、茯苓、人参、六君子湯、当帰芍薬散、五苓散といった漢方薬が症状の緩和に役立つそうですが、人によって合う漢方薬はさまざま。「漢方ツヅノ薬局本店」では、オーダーメイドによる調剤を行なっており、一人ひとりに合った漢方薬を見立ててくれますので、お近くにお住まいで漢方に興味のある方はぜひ相談してみてください。
豆知識:五行学説と湿邪の関係性
中医学では、こちらの図「五行学説」に基づいてあらゆる現象をとらえ、5つの要素には、時計回りに四季と「長夏」の5つ(春・夏・長夏・秋・冬)が割り振られます。今の季節はちょうど不調が重なるといわれている「長夏」にあたるのです。
「長夏」と重なる「脾(ひ)」は消化・吸収を司る胃腸や脾臓器官のことを指し、「長夏」の時期に体へ悪影響を与える邪気のひとつ「湿邪」がその「脾」に大きく影響を与えるといわれています。
そして湿邪の症状は、「外湿」と「内湿」の2つがあり、だるさやむくみ、さらには皮膚トラブルや尿のトラブルに及ぶ症状を「外湿」と呼び、食欲不振や胃もたれなど脾の不調を「内湿」と呼びます。しかし脾は、ストレスによって弱まってしまう人も。このタイプの人は、長夏の季節以外でも「内湿」と呼ばれる症状に悩まされる場合も多いようです。
Profile
廿野延和(ツヅノノブヤス)
薬剤師であり、ツヅノ薬局代表。北里大学薬学部修士課程卒業。漢方薬に関する独自の研究を重ね、漢方を通して様々な痛みや症状に苦しむ人の症状を改善し続けている。「調和・心・相談」を重視し、じっくりと患者様の相談に耳を傾け心も身体も元気になれる治療方針を掲げる。
「漢方ツヅノ薬局本店」
https://tuzuno.co.jp/m/
名前によって損したり得したりしているアラサーフリーライターです。昨年突然の湿疹を伴うアレルギー症状に見舞われ、食事や生活習慣を改善したことで克服した経験から、オーガニック食品や漢方などに興味があります。
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