筆者の過去語りをお許し頂きたいと思います。筆者は1歳の頃、山口県徳山コンビナートの近くで小児喘息にかかり、6歳までに両手足の指数で足らないくらい、医者から匙を投げられました。私が生き延びられたのはひとえに父母の愛情のお陰です。
当時、喘息とアレルギーは正確に結びついていなかったように思います。私が初めてアレルゲンのテストを受けたのが小学4年生。結果は「ブタクサの花粉」と「ハウスダスト」。ただし当時、ハウスダストは「家ホコリ」と説明され、家を念入りにきれいにしても、喘息は治まりませんでした。
しかし、今は違います。アレルゲンも正確にわかっており、正確にはハウスダストのうち、チリダニのふん、脱皮カス、死骸がアレルゲンとされています。これらアレルゲンをどのようにすれば、お掃除で取り除けるのかをお話ししてみたいと思います。
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チリダニの習性とよくある間違いとは?
アレルゲンを取り除くことは、チリダニが嫌がることをしてやること。つまり、チリダニの習性を知ることが重要です。とは言うものの、難しく考える必要はありません。知るべき習性は、3つです。
1つめは、サイズ:400μm。そして人の血を吸うのではなく、フケ、垢などの人間の老廃タンパク質を食べて生きていることです。
2つめは、高温多湿が好みで、温度:25〜30℃、湿度:60〜80%以上で繁殖行為を行うということです。
3つめは、確実に殺すには、熱。具体的には、50℃20分は一つの目安と言われています。
ちょっと言い換えると次のようになります。
1つめは、チリダニがいるかどうかは、容易に判断がつかないということです。むしろ、あなたがいるかも知れないと思うところには、いると思ってください。絨毯、ソファー、ぬいぐるみ、カーテン等々。フローリングでもホコリが溜まっているとほとんどの場合います。
2つめは、チリダニが繁殖する条件は、日本だとポピュラーということです。なかなか難しいですが、換気、空調家電で、湿度:40〜60%に保つとグッと楽になります。
また人の体が接触するソファー、クッション、布団は、エサも加わり繁殖しやすいです。中でも布団は寝汗などで、予想以上に湿度が高い。布団干しの是非を問う人がいますが、布団干しは布団の中の湿度を下げるので、繁殖しにくくできるのは確かです。
3つめは、布団掃除機が目玉にしている「紫外線」はチリダニ殺傷力はないということです。強力な紫外線は、ウイルス、菌、などを殺すことはできます。しかし、それは照射数秒では無理。滅菌するには数分かかります。
ましてチリダニは、菌より防御力があります。端的に言うと布団掃除機の紫外線ではダニを殺すことは、まずできません。その上、布団掃除機は、動かないフン、脱皮カス、死骸を処理するには有効ですが、生きているチリダニは吸われまいと抵抗します。要するにチリダニを全て吸い込むことはできません。またどのくらいアレルゲンを吸い込んだのか、眼で見て判断することもできません。
チリダニの習性を考えると、ハウスダストには床掃除だけでなく、総合的なアプローチが必要なことが分かります。
医学的な根拠に基づいた掃除機の掛け方
アレルゲン対策は、掃除をしっかりしなければならないことは、お分かり頂けたと思いますが、アレルゲンを見ることはできない。どの程度、掃除をすればイイのか分からないと言われる人も多いと思います。
目安があります。20秒/m2、最低3日/回がそれです。
実はこれ、お医者さんが使う「喘息予防・管理ガイドライン」に明記されています。つまり、医学的に根拠がある数値なのです。
ベストな床掃除方法とは?
まず掃除機ですが、私は基本、紙パック掃除機をお勧めします。
理由の1つめは、サイクロン式掃除機の場合、原理的にフィルター不要としていたため、まだ優良フィルターを装着していない場合があること(ちゃんとしたメーカーは基本付いています)。つまり微細な場合、排気と共にアレルゲンを吐き出してしまう、いわゆる二次汚染の可能性があるためです。
そして2つめは、ダストボックスからゴミ箱にゴミを移す時、多くの場合ある程度の勢いでゴミが舞い上がり、捨てる人がアレルゲンを吸う可能性があるからです。
今の純正『紙パック』は3層構造以上。フィルターの役目も果たしますし、口さえ閉じさせてしまえばアレルゲンも飛び散りません。サイクロン掃除機をご使用の場合は、ダストボックスをゴミ袋に入れて開けるなどの工夫が必要です。
次のポイントは、「20秒/m2」を守ることです。ゆっくりと、ヘッドが浮くことがないように注意しながらかけるのがコツです。トライしてみると分かりますが、かなり遅いです。時間短くきれいにするため「吸引力」が叫ばれていますが、それと逆の行為なので焦(じ)れます。しかもきれいになったかどうか目に見えないのですから、なおさらです。
このため、吸い取り効果をビジュアル化できる掃除機、「ハウスダストセンサー」が付いているものをお勧めします。多くの場合、数十μmの微細ダストの有無を判定します。
結果はランプで示されますが、少なくとも、このセンサーに引っ掛からないレベルまで掃除すると、かなりキレイです。
そして3つめは、布団掃除用のアタッチメントが付いていることです。布団掃除機を別途用意する場合は、これは不要です。ただ布団掃除機をわざわざ買わなくても、ハウスダストに対応できることをご承知頂ければと思います。
アレルギー対策にお勧めの掃除機
お勧めの掃除機は、パナソニックの紙パック式掃除機 MC-JP800G。パナソニックの誇るJコンセプト家電の中でも傑作家電です。扱いやすいするために考え抜かれた掃除機です。20μm以上のダストを感知する「ハウスダストセンサー発見」も付いています。しかし、布団ノズルは別売になります。
また、シャープの「RACTIVE Air」の紙パック式掃除機 EC-AP700もお勧め。今年のトレンド、コードレスキャニスター型です。軽くて、扱いやすく、バッテリー駆動ですが吸引力もなかなかのもの。しかも、このモデル、布団掃除用パワーヘッドも同梱されています。しかし「ハウスダストセンサー」は付いていないため、ゆっくり(20秒/m2)を意識しながら掃除する必要があります。
アレルギー対策にお勧めの布団掃除法
まず布団の中のチリダニを殺すことから始めます。生きていると、フン、脱皮カス、そして死骸を作り続けます。
使うのは布団乾燥機。「ダニ除去モード」を使います。ほとんどの場合、60℃の高温で数十分。時間もかかりますし、電気代もかかりますが、それをケチってはダメ。
敷き布団より、掛け布団と枕を中心に行います。持っていない人は近くのコインランドリーの乾燥機を使うという手があります。
そして、布団カバーを外した状態で、掃除機を掛けます。ポイントは、ここでも『ゆっくり』です。そしてアレルゲンは、鼻、もしくは口からですので、寝る時に頭をのせる部分を徹底的にということです。そして、新しい布団カバー、枕カバーを付けてやることです。
ダニを殺しますので、フン、脱皮カス、死骸は増えません。
お勧めの布団乾燥機は、三菱電機のAD-X80。マット式なので広範囲まで乾燥させることができます。その上、枕専用のマットがあり、温風も60℃と、ダニ対策もしっかりしています。
布団掃除機ならコレがお勧め!
布団掃除機は、人気商品ですが、中にはシーリング(密閉度)が悪いモノがあります。シーリングが悪いと、ゴミを伴った空気が外に漏れだし、再度布団を汚してしまいます(二次汚染)。しかもそれが頭部だと、掃除する意味もないです。
このため、しっかりした作りの布団掃除機がイイです。
この布団掃除機でも、本当は紙パックがイイのは普通の掃除機と同じです。サイクロン式のもので、ダストボックスを水に沈め、開け、ゴミを出すことを前提としたモノがありますが、使用者はなかなかそうしてくれません。ゴミ箱へそのままが多いです。人間、楽な方向に流されやすいですから。
お勧めは、パナソニックのMC-DF500G。「紙パック式」なので、ゴミ捨てのところは問題ないですし、「ハウスダスト発見センサー」も付いています。紫外線照射機能はなく、布団叩き機能があります。
どうしてもサイクロン掃除機を使いたい場合は、ゴミを捨てる時、ダストボックス全体をゴミ袋の中に入れ開け、ゴミを捨てるなど注意することをお勧めします。
ハウスダストのアレルギーを持つ人の掃除を中心に、お話しさせていただきました。
掃除のやり方は、この他にもいろいろあります。
例えば雑巾がけ。今時、ポピュラーではなくなりましたが、有効な手段です。
今回の掃除は、アレルギーが、喘息がひどい方に対してのお話であり、軽い方はこれよりラフな対応でもイイかも知れません。そこは、ご自身でアレンジをお願い致します。
またこれは、アレルゲンがない環境を整えただけの話です。これで発作などを最低に抑えているうちに、体質改善など健康増進してください。
【注意】
医療に携わる医師は、アカデミーが定めた「ガイドライン」に沿って治療をします。基本、ガイドラインは、病気発症後の治療のためにあります。しかし例外もあり、患者が発作を起こさないように定められたガイドラインもあります。それが「喘息予防・管理ガイドライン」。20秒/m2は、1990年の神戸の保健所が集めたデーターを元に組み立てられています。
1990年ですから、掃除機の吸引力も今よりも足らないと思われます。吸引力が強くなった今、再度データーを集めて欲しいモノです。
ちなみに、この本、Amazonで入手することが可能です。
ついで、WHO(世界保健機構)が、アレルギー性喘息の感作、発作基準を定めています。
感作:2μg/g塵(Der1量):10μg/g塵(Der1量)
発作:10μg/g塵(Der1量):10μg/g塵(Der1量)
感作というのは、アレルゲンに対し抗体反応が始まる時を言います。
また、Der1は、ふん由来のアレルゲンの事を言います。
1μgは、1/1000gですから非常に微量であり、眼に見えないレベルの戦いであることがわかります。
文/多賀一晃
1961年生まれ。慶應義塾大学大学院理工学部卒。大手メーカーにて商品開発、企画を担当後独立。国内はもちろん、世界最大の家電見本市「IFA」等で世界中の家電を取材し、役立つ情報を「生活家電.com」から発信中。日本経済新聞夕刊の家電製品特集や土曜日別冊「日経プラス1」の「家電ランキング」選者、WEDGE Infinity「家電口論」主筆としても活躍。
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