コラム

どれくらい安くなる？安全なの？ジェネリック医薬品の基礎知識

更新日：2017.10.27

テレビのコマーシャル等でよく耳にするようになった「ジェネリック医薬品」。価格が「安い」こと以外に、どんなものなのかご存知でしょうか。薬が安いと聞くと、効き目が悪くなるような気がして、つい敬遠してしまう人も多いと思います。今回は、ジェネリック医薬品についてご紹介します。

そもそもジェネリック医薬品とは？

薬は大きく2種類に分けることができます。薬局で簡単に手に入る「一般用医薬品」と、医師の処方箋がないと買えない「医療用医薬品」です。ジェネリック医薬品は医療用医薬品に含まれます。

医療用医薬品のなかには製薬会社が莫大な費用をかけて開発した新薬があり、先発薬ともよばれ、20～25年程度の特許が認められおり、その間は独占販売することができます。医療の開発には何十億を超える費用がかかるといわれていますから、この特許がないと、どの製薬会社も開発をしなくなってしまうので、重要な制度でもあります。

この特許の期間が切れると、他の製薬会社も先発薬と同じ薬を作ることが許されます。そうしてできた薬がジェネリック医薬品で、先発薬に比べて経費が少なく抑えられるので、一般的に安価になるわけです。

特許が切れた薬のみジェネリック医薬品の販売が許されているので、全ての薬にジェネリック医薬品があるわけではないのです。

ジェネリック医薬品はどれくらい安い？

価格は先発薬の大体2～5割引きになることが多いです。
日本ジェネリック医薬品学会が平成28年度4月に計算したものでは、高血圧の薬を1日1錠飲むと仮定した場合、3割負担では年間に6千円以上の差になり、脂質異常症で薬を1日1錠飲んでいると、7千円以上違ってくることになります。がんの薬など単価が高いものになると、差も大きく年間で5万円以上になることもあります。ただ、ジェネリック医薬品も１つではありませんし、それぞれ価格が違うので、一概には言えません。

使っている薬をジェネリック医薬品に変えることでどれくらいの節約になるかを詳しく知りたい方は、日本ジェネリック製薬協会のサイトに「かんたん差額計算」というページがあるので、ご利用ください。

また、ジェネリックを選択するということは、国が負担する薬代を軽減することにもなるので、高齢化で医療費が膨らんでいる日本の医療費削減にもつながります。

ジェネリック医薬品は安全？

ジェネリック医薬品は先発薬と同じ有効成分を同じ量だけ使用して作らなければいけません。
しかし添加物だけは独自に変えても問題ないので、ジェネリック医薬品は製造時に添加物を変えるなどして先発薬より飲みやすい薬にしようと、味や形が工夫されています。ただし、同等の効果が得られなければ、認可はおりません。

薬は各々の製薬会社で試験をして、先発薬と同等の効果があるかが確かめられ、さらにPMDA（独立行政法人医薬品医療機器総合機構）という公的機関によって、安全性、品質、有効性が審査されます。そして最後に厚生労働省から認可されて、販売に至ることになります。
WHO（世界保健機構）でもジェネリック医薬品を推奨していて、アメリカでは90％以上の普及率とされ、ヨーロッパなどの先進国でも70％以上と、日本より高い支持を得ています。

先発薬とジェネリック医薬品は全く同じ？

前述したように、有効成分とその分量は先発薬と全く同じですが、添加物が違ってきます。添加物を変えることで、より良い薬に仕上がるように作られていますし、安全性や有効性なども確認されていますが、人によってはその添加物でアレルギーを発症したり、効果が落ちたりすることもマレに起きるとされています。

ジェネリック医薬品は厚生労働省で認可された薬で、先発薬と同じ主成分で、同等の効果が認められています。先発薬より安価で、継続的に薬を服用しないといけない人や、単価の高い薬を使用する人にとっては、経済的なメリットは大きいと言えます。

海外では約7割以上の普及が認められていますし、試してみる価値は大きいと考えますが、100％同じ薬ではないということを頭の片隅に入れておくと良いかもしれません。
継続して薬を飲んでいるという方は、信頼のおける薬剤師を見つけて、薬に関することを何でも相談できるようにしておくと心強いでしょう。

写真　© studiopure - Fotolia.com、© one - Fotolia.com

Profile松下歩

日本ではナースとしてバリバリ働いていましたが、長年の夢であったオーストラリアへの移住を果たしました！今は子育ての真っ最中、フリーランサーとして働きながら、家族5人ブリスベンで、のんびり生活しています。ナースの経験を活かした健康記事をお届けしたいと思っています。

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