次男の幼稚園入園がキャラ弁作りのきっかけに
「おおざっぱな性格だから細かい作業は苦手。自分がキャラ弁の講師になるなんて、数年前には考えてもみませんでした」。独自の世界観のあるキャラ弁にファンが多いMAAさん。キャラ弁作りを始めたきっかけは次男の幼稚園入園だったそう。
「初めて次男と離ればなれになることが不安で、ちょっとでも幼稚園を楽しんでもらえればいいなって。最初はキャラ弁のノウハウもまったくわからなかったから、ネットで画像を探したり、他の方のブログを参考にしたり、試行錯誤でした」。
MAAさんのキャラ弁は、アニメキャラクターではなく、動物やお花など身近なものを取り入れているのが特徴。本人の一番のこだわりでもあります。
「子どもたちに人気の妖怪ウォッチやポケモンのようなアニメのキャラクターのほうが、もしかすると喜んでもらえるのかもしれない。ですが、テレビでも観ていますし、おもちゃも持っていますから、やはりお弁当は私のオリジナルアイデアで作りたくて。キャラ弁で子どもの感性を育てたいという想いもこめています」。
そんなMAAさんのキャラ弁作りのモットーは、身近にある食材で、不器用な人でも簡単にできるものを作ること。作る人も食べる人も楽しくなるようなキャラ弁を目ざしていると言います。
「それには、彩りがとても大切。彩りを良くすることは、栄養バランスにもつながりますよね。キャラだけ凝っていて、栄養バランスが悪いキャラ弁は絶対にイヤなので、そうならないように気をつけています。普段の食事でも、彩りや栄養バランスには特に気をつけていますし、食事マナーにもうるさいほうですね。でも、食育にはこだわりますが、勉強をやりなさいとうるさく言ったことはありませんよ(笑)」。
MAAさんの投稿をみていると、話題のおにぎらずの中からミツバチが顔を出していたり、100均のドーナツ型で蒸し卵を作ったりする独自の技に驚かされます。その多彩なアイデアはどこからくるのでしょうか?
「“よくアイデア帳があるの?”と聞かれますが、ありません(笑)。冷蔵庫にある食材を前にして、“今日はイヌかな? ネコかな?”という感じで頭の中でアイデアが広がっていきます。以前、アイデア帳をつけてみたこともあるのですが、性格的に続かなくてやめてしまいました。最近、私のキャラ弁のルーツってあるのかなあと考えてみたところ、母の影響があることに思い当たりました。私が子どものころは今のようなキャラ弁はありませんでしたが、母はリンゴでうさぎを作ってくれたり、ごはんをクマの型で抜いてくれたり、食事で子どもを楽しませてくれる人でした。先日、実家に帰ったら、そのクマの型がちゃんと残っていて、とても懐かしくなると同時に、そんな母の子だったから今の私があるのだなあと実感しました」。
「やりたい!」と旦那さんを説得してキャラ弁講師に
現在、月に2回ほど知人からスペースを借りてキャラ弁教室を開いているMAAさん。「教える立場ですが、生徒さんといっしょに作りながら、実は自分が一番楽しんでいるかもしれません」と笑います。
「キャラ弁講師になったのは、お料理投稿アプリで仲良くなった友達に誘われたことがきっかけです。その友達がデコ巻き寿司の教室をしていて、教室の空いている時間で“キャラ弁講師をやらない?”って声をかけてもらったんです。主人に相談してみたところ、“資金もいるし、需要があるかわからない。中途半端にやっても失敗するよ”とあっさり反対されて……。でも普段はあまり“やりたい”と何かを強く主張することがない私が、このときばかりは“絶対にやりたい!”と一貫して訴えたのが響いたようで、最終的には渋々OKをもらいました」。
キャラ弁教室のある朝は、5時に起きて準備を開始。それまでの穏やかだった朝に比べてバタバタしてしまい、家族に対して後ろめたい気持ちもあったそうですが……、
「最初は強く反対していた主人ですが、今では私のブログもチェックしているみたいですし、講師の仕事も応援してくれています。子どもたちも、私のキャラ弁が本やテレビで紹介されたのを観て“ママってすごいんだ”とびっくりしています。ママの株がぐんと上がりましたね(笑)。さらに、夫婦関係にもプラスに働いています。元々、主人とはけんかをすることはほとんどなく、自分でいうのもなんですが(笑)、とても仲良し。でも、キャラ弁教室を開くことで忙しくなって、ぎすぎすしちゃうかなあと心配しましたが、それがまったく逆なんです。忙しいはずなのに、自分が満たされているからか、イライラすることがほとんどなくなって、家族に対して前よりも優しくなれている気がします。主人もすごく協力してくれるので、感謝しかありません」。
仕事と家事、育児の幸せなバランスを保てていると幸せそうに語ってくれたMAAさん。
「今はまだ月に2回の開催ですが、今後はもっと大きなスペースを借りて、教室の回数も増やして、もっともっとたくさんの人に来てもらいたいって思っています。それと、いつかキャラ弁の本を出すのも目標。今は夢のまた夢ですが、いつか叶うといいなあ。それには、日々の努力があるのみですよね」。
取材・文/金澤友絵
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