結婚したら、子どもは自然に授かるもの…そう思っている人も多いかもしれませんが、それとは違う現実もあります。「不妊治療」は、言葉こそ一般的ですが、実際にどんな治療をするのかやその辛さは、経験者にしか分からないもの。
そこで今回は、不妊治療の経験があるママたち100人に、一番辛かったことを聞いてみました。
胸に刺さる周囲の言葉
・「2人目不妊だったのですが、あまり親しくない人から、『兄弟つくってあげなきゃかわいそうよ!』とか言われました。そういう言葉が何より辛いですね。生理が来てしまった日は主人の言葉もあまり慰めにならなかったです。何を言ってくれても、がっかりした気持ちが癒されることはなくて。時間が解決してくれた感じですね」
・「治療中最も嫌だったことは診察中ではなく、周囲の言葉。心配してくれているのだろうけど『どんな様子?』『今度は大丈夫そう?』などの言葉は聞きたくないし、答えたくないもの。正直、何も言わず、そっとしておいてほしい時期でした」
・「同時期に結婚した友人から『妊娠した』という知らせを聞くこと。神様が決めた順番と割り切るしかなかったです」
・「周りでは当たり前のように次々と妊娠出産して、そのことを普通に話していることです。私は当たり前のこともできない人間なのかと落ち込みました」
心配や興味本位で治療の様子を聞いてくる人もいますよね。特に親などの身内はあれこれ聞いてくるかもしれませんが、そういった言葉がプレッシャーになってしまうのもまた事実。「できればそっとしておいてほしい」というのが、治療経験者の本音のようです。
激痛をともなう治療
・「排卵が一定でなかったため、排卵誘発剤を内服し、注射を使い治療しました。運よくすぐに妊娠できたものの、注射での副反応があまりにも強く、身体には影響が大きくて、腹水、胸水が貯まり、卵巣過剰刺激症候群に苦しみました」
・「毎日朝晩に、お腹に自己注射をしなければいけなかったことです。恐怖心から、うちそびれると、お腹から出血してしまい、血まみれになりました」
・「肉体面でキツかったのは卵管造影検査です。めっちゃくちゃ痛くて気を失ってしまったほど」
不妊治療といっても、具体的にどんな治療をするのか知っている人は少ないのでは?激痛をともなう検査や注射を頻繁に実施するため、これが苦痛で治療を諦めてしまう人もいるとか。「こんな痛い思いをして、また報われなかったらどうしよう」と、先行きが見えない不安も相まって、かなり辛いようです。
パートナーとのすれ違い
・「一番つらかったのは夫婦間の治療に対する温度差です。痛い治療をするのは自分自身、それなのに夫は疲れているからという理由でタイミングを拒んだり、愚痴を言うと、『自分が望んで受けている治療でしょ』という言い方をされ、精神的にも肉体的にも追いつめられる日々でした。とにかく話し合う時間を増やしました」
・「始めは協力的だった主人も治療の結果が出なかった時にはあからさまに嫌な顔をするようになってきて困りました。乗り切るというよりは説得して協力をお願いしてなんとか妊娠しました。でも今思い出すと肉体的に辛かったのは私なのにと不満が残ります」
・「主人の不妊治療への理解がイマイチだったのが辛かったです。ステップアップの際に、これからの事を考え、主人に通院の同行を求めると、『何で俺が!?』と、他人事でいたのがショックでした。その後、無理矢理に病院に連れていき、先生に主人へ話をしてもらったら積極的に協力してくれるようになりました」
不妊治療にはパートナーの協力が不可欠。「子どもが欲しい」という気持ちに温度差があると、頑張っているのになんで私だけ…と女性側が追い詰められてしまいます。また、パートナー側に不妊の原因があったとしても、それをなかなか受け入れてもらえないこともあるようです。
いつ終わるのか…先が見えないこと
・「いつまで治療すればいいのか先が見えない不安がありました。何歳までと自分で決めて、それまでは自分が納得いくまで頑張ってみてダメならキッパリ諦めようと決めた。そしたら少しは気持ちが軽くなった」
・「頑張ったからといって報われることではないということ。期待をしすぎないように、治療以外のことにも目を向けるようにする」
・「いつ治療が終わり、妊娠できるようになるか分からなかったことです。ストレスも良くないと助言されたので、医師を信じて、穏やかに過ごすようにしました」
治療には高額な費用がかかりますし、頑張ったからといって必ず妊娠できるとは限りません。治療を続けていくと、「これだけお金をかけたのに、今さらやめられない」という気持ちになる、との回答もありました。いつになったら終わるのか、先が見えない…そんな漠然とした不安が常につきまとうことに辛さを感じる人も多いようです。
思うように働けない
・「人工授精を受ける際に、どうしても予定の調整がつかないことが辛かったです。仕事をしながらだったので急に休むこともあったりしました。結局会社には治療中であることを伝えて、急な休みにも対応してもらいました」
・「治療していて副作用で毎日目の見え方がおかしかったり、頭痛がしたりしていても職場では普通にしていなくてはならないし、治療に合わせて急に休まなくてはならないこと。結局仕事はやめました。普通にできることが病院のベッドでないとできない自分が欠陥人間に思え、死にたかったです」
・「受診日をあらかじめ決められない事が苦痛でした。仕事の融通がなかなか効かず優先順位をつけなければならなかったからです。当時の私は赤ちゃんが欲しかったので上司に生理不順で婦人科にかかっている事だけを明かし、突然の受診に対応しました」
不妊治療はタイミングが重要ですし、副作用で強い倦怠感に襲われることも。そのため、治療中はたびたび仕事を休んでしまった、という声が多く寄せられました。高額な治療費のために働かなければならないのに、思うように働けないジレンマ。経済的にも精神的にも辛いですね。
肉体的・精神的・経済的に、非常に辛い不妊治療。どれも経験者にしか分からないことばかりですし、一人で抱え込みがちなデリケートな問題です。子どもを望む一人でも多くの女性に、赤ちゃんが授かりますように。
文/こばやしつかさ
写真© kei907 - Fotolia.com
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