カルトナージュで“あったら便利!”な可愛い小物を作っています
暮らしニスタ主催の『はぎれを活用!手作り小物コンテスト』では工作用紙とはぎれで作ったキュートな安全ピン入れで金賞を受賞した沢村泉さん。様々なコンテストで受賞歴のある彼女は、カルチャーセンターでカルトナージュの先生として活躍されています。
「普段から『こんなものがあったら便利だな』と、作りたい小物のアイデアを思いついたら、メモをして形にしています。『暮らしニスタ』で金賞を受賞した安全ピン入れも、いざというときにあると何かの役に立ちそうだから、カバンに入れておくと安心かなと思ったことがきっかけで作りました。製作時間はボンドがくっつくまでしばらく置いておく時間を除けば5分です。身近にある材料で簡単に作ることができるのもカルトナージュの魅力ですね」
カルトナージュとは、厚紙で組み立てた箱などに布や紙を貼って仕上げるフランスの伝統的な手芸。沢村さんのカルトナージュとの出会いは、15年前、カルチャーセンターで開催されていた手作りノート教室に参加したことがきっかけだったといいます。
「手作りノートの教室を主宰されていたカルチャーセンターの先生のアトリエに通って、手製本の作り方を習っていたことがあるんです。製本に使う紙で作った筆箱がアトリエに置いてあり、その可愛らしさに衝撃を受けました。そのときはそれがカルトナージュだと知らなくて。後から知って、習いに行ったり、海外の本を参考にして作るようになりました。そのうちいつか自分でカルトナージュ教室を開いて教えたいなと思うようになりましたね」
カルトナージュで誰かに喜んでもらえたら幸せ!
現在は月に8つの教室でカルトナージュ教室を開催。始めて8年目になる教室のモットーは“細く、長く続けられる教室にすること”。
「女性の生徒様ですので、若いお母さんなら子育て中に子供が熱を出して行けないとか、ご両親の介護で行けない、自分の体調もすぐれないなど、いろいろありますよね。それでも都合のよいときに遠慮なくみんなが心地よく参加できるように心掛けています。教室の楽しさは、なんといっても、みなさんに喜んで頂けること。『この前作った箱をもう一個柄違いで作って、お友達にプレゼントしました』とか、『孫に作ってあげたら、もう一個作ってと言われたわ』というような嬉しい言葉を頂けたときは、前日まで必死に教室の準備をしたことも忘れてしまいますね(笑)」
もうひとつ大切にしていることは、「身近な材料で作れるものを提案すること」。
「私の教室では高価なレースやブレード、金具など、装飾品はあまり付けません。もちろん作品によってつけるものもありますが、手芸屋さんやホームセンターなどどこでも手に入るもので作るように提案しています。1日で簡単に作れるものも多いので、公共施設などの1日講座で呼んでいただくこともあります」
自分自身の悩みがきっかけで新しい教室も誕生!
カルトナージュ教室を始めてから、材料などの在庫を可愛く見やすく整理したいと考えていたことをヒントに開くことになったのが“お片付けカルトナージュ”教室。カルトナージュの雑貨で整理収納できるコツをアドバイスしています。
「独身時代は引っ越しの多い生活だったこともあり、必要以上になるべくモノを持たないようにしていました。それが結婚してから生活は一変。子どもも産まれ、何かと物が多い生活に圧迫感を感じていた時期もありました。夫は生活用品の在庫を抱えたがる人なので、歯磨き粉や紙オムツなどストック分も買うんですよ。なくなりそうなときに買いに行きたい私にとっては在庫を抱えることがちょっとストレスでしたね(笑)。
それで、何かよい整理方法はないかと整理収納アドバイザーの講座を受けに行ってみたんです。決まった場所に決まった分量のみ置くという方法がピッタリだと思い、少しだけ置くことに妥協できるようになりました(笑)。その経験を生かして、材料の在庫を上手に整理するための教室をやることにしたんです。“お片付けカルトナージュ教室”で『この場所にこういう箱で片づけることもできますよ』という提案に『なるほど~』とか『それ、いい!!』と言ってもらえるとやっぱり嬉しいですよね」
ここ4年くらいは、講師仲間と手作り体験イベント『つくるフェスタ』を主催することも。
「講師仲間と『tsuk*tsuk』(ツクツク)というユニット名で手作り体験イベントを主催しています。コンセプトは、暮らしを素敵に彩る手工芸がジャンルを超えて集まった体験型イベント。マカロンメジャーや小物置きになるトレイのワークショップなど、手作りを気軽に1日何個か体験して頂ける内容になっています。年に2回のペースでやっていて、次回は11月に第9回目を予定しています。最近では出展者さん、企業の方にもご協力頂いて『つくるフェスタ』が大きくなりながら継続できていることが本当に有り難いですね」
「人に何かを教えたい!」と子どもの頃から思っていました
結婚前までは普通の会社員だった沢村さんですが、子どもの頃に母親から何度も言われた「何か家でできる仕事を持ちなさい」という言葉が印象に残っているといいます。
「幼稚園のときにエレクトーンを習っていた頃、『いずれ自分の家で生徒さんに教えられるようになるといいね』と母から言われていたことを覚えています。練習があまり好きでなかった私は『それはないなあ…』と心の中で思っていましたが…(笑)、漠然といつか何かの教室をやってみたいなという気持ちがあったのは母の影響かもしれませんね。振り返ってみると高校生の頃は、学校に持っていくサブバックを自分でミシンで縫ってたくさん作っていましたし、手芸はやっぱり子供の頃から好きでした」
学生時代に夢中になっていたことを尋ねると「アルバイトに明け暮れていました」と笑います。
「小学生の頃からレジ打ちに憧れていて、『早く働いてみたい!』と思っていました。高校を卒業して大学生になる前の春休みから早く働いてみたいなと思っていて。友達が新しく本屋がオープンするから、そこに一緒に応募しようと言ってくれたので、本屋にアルバイトをすることに。話題の小説が新刊で出ると、みんなこぞって買いにくる光景にビックリしましたね。本屋でアルバイトしながらも、単発でもたくさんバイトをしていたのがいい思い出です」
現在、中学3年生になる娘さんが小さい頃は、一緒にカルトナージュの手紙入れを作ったり、小物作りを親子で楽しんでいたといいます。
「娘もモノを作ることが好きです。最近は絵を描くことが大好きで、水彩画をよく書いていますね。なので、買い物に行って、一緒に文房具を見ることも多いです。あとは、部屋の模様替えを一緒にすることあります。うちは琵琶湖から近いので、夫と娘みんなの時間が合ったときは、昼ご飯を兼ねて琵琶湖でバーベキューを楽しんだりしています」
自然の中でのんびり過ごすリラックスタイムを大切に
教室がないときは、朝9時から夕方5時までは作品展などに提出するカルトナージュ製作に没頭するという沢村さん。リラックスタイムは、琵琶湖で過ごすひとときなんだとか。
「いちばん好きなのは、ミラーレスのカメラを持って琵琶湖で写真を撮る時間。まだ家族が寝ている朝5時や6時に起きて、一人でふらっと写真を取りに行くのがいい気分転換になっています。夕方から散歩に行くこともありますよ」
多忙な沢村さんですが、「これからは家でもカルトナージュを教えてみたいです」とやりたいことはつきないようす。誰かにカルトナージュを楽しんでもらうことを考えると、ワクワクは止まりません。
「家をもう少し整えて、リビングやキッチンなども公開しながら、家でお片付けカルトナージュのレッスンをしていきたいです。そして、ゆくゆくはカルトナージュの箱の作り方のレシピや片付け方、インテリアなどを1冊の本にまとめられたら嬉しいですね。大好きなカルトナージュの魅力をいろんな角度から伝えられたらいいなと思います」
取材・文/福田恵子
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