箱根でモグラ2大勢力が激突!
日本にいる7種類のモグラのなかで2大勢力といえば、アズマモグラとコウベモグラですが、その2種類のモグラの陣地の境目があるのが、箱根の北側あたり。
コウベモグラが縄張りを広げてきた様子がまるで陣取り合戦のようなので、「モグラ戦争」と言っているというわけ(笑)。
では、なぜ箱根がモグラ戦争の最前線なのかといえば、やっぱりそこには理由があります。箱根は昔から「天下の険」と言われ、箱根越えは東海道最大の難所でした。
それはモグラにとっても同じ。なぜかといえば箱根は大噴火によって厚く溶岩が堆積しているから。
土がないところでは、モグラはトンネルを掘れません。とくにコウベモグラは体が大きい分、たくさんのミミズを食べないと生きていけない。かたい土を掘ると力をいっぱい使うから、もっとミミズを食べないといけない。だから、コウベモグラはやわらかい土が好きなんです。
溶岩帯の箱根にぶつかって、コウベモグラ軍の進軍は足踏み状態が続いています。豊臣秀吉も小田原城攻略に苦戦したけれど、あれも箱根が自然の要塞だからですよね。
モグラを調べていると、人間のやってることと、モグラのやってることって同じだなぁ、と思います。
あと50年で、コウベモグラが関東に!?
ただ、あと50年もすれば、西軍のコウベモグラが関東に現れるのではないか、と予測しています。箱根から相模湾に流れ込む酒匂川、あの川に乗って流れてくればもう関東です。
モグラは泳ぎも上手ですから、もし洪水なんかがあれば、やがて関東にくるでしょう。
そうしたら、アズマモグラはどうなるか?体の大きいコウベモグラに一方的にやられて、一気に姿を消すことになってしまうのでしょうか。
実はそうとも言い切れません。
アズマモグラは、小さな体をいかしたゲリラ戦が得意です。アズマモグラは、コウベモグラが掘ったトンネルにもスイスイ入っていけますし、敵に出会ったらパッと自分のトンネルに引っ込んでしまえばいい。コウベモグラは体がつかえて、追いかけてこられません。
ですからコウベモグラが箱根越えを果たしても、なかなか戦況が一気に変わることはないでしょうね。
私たちが暮らしている地面の下では、モグラたちの営みが繰り広げられている。そう思うと、なんだかおもしろいでしょう?
トンネルの大きさでモグラの種類がわかる
さて、私は動物学者になった50年前から、モグラを研究し続けてきました。
モグラ戦争の最前線が箱根にある、というのがわかったのも、モグラの種類別の生息域を調べるなかでわかったことです。
どこにどのモグラが住んでいるか、簡単にわかる方法を教えましょう。
最初に探すのは、モグラ塚です。モグラ塚というのは、モグラがトンネルを掘って、土をかき出したあと。芝生の上にもくもくと土が盛り上がっているところがあったら、それがモグラ塚。
ザーッと土をどけると、真ん中あたりに土がやわらかいところがあります。そこに指を突っ込んでみる。
大人の手で3本指が入れば、だいたい横幅4.5cmでアズマモグラのトンネル。4本指が入れば、横幅6.5cmでコウベモグラのトンネルです。子どもが調べるなら、4.5cmと6.5cmの幅に切った厚紙を持って行くといいですね。
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