椅子とテーブル、ソファといった家具を使い、板張りのリビングで暮らすことが多くなった私たち。
しかしやはり、気軽にごろんと寝そべることができる和室の存在も捨てがたいもの。
パソコン作業や洗濯物をたたむなどの家事を座って行ないたい人もいますし、子どもの遊び場にも最適です。
そんな和室を清々しく落ち着く環境として使うためには、定期的なメンテナンスと時にはリフォームはとても大切。
リフォームにどれくらい費用がかかるのか、どんな注意点があるのかなどを調べました。
一般的な和室リフォームの価格相場はいくら?
和室のリフォームには、いくらくらいかかるのでしょうか。
主なリフォーム工事の価格相場を見ていきます。
各リフォーム会社が出しているデータでは、工事代金を
①50万円まで
②50万円〜100万円
③100万円〜150万円
この3つに区分した場合、①50万円までの工事を行なうケースが約半数という結果が出ています。
壁紙の貼り替え、畳の交換などちょっとしたお色直し的な工事なら、費用は抑えられるということです。
もちろん希望する工事の内容や、工事範囲の広さなどによって金額は変わってくるのですが、
①〜③のそれぞれの価格帯でどんな工事ができるのか、一般的な例を挙げてみましょう。
すべて広さは6帖とします。
①50万円まで
・畳の表替えや新調
・障子やふすまの新調(交換)
・クロスなどの内装交換
→→これらはすべてを交換しても、50万円までにおさまりそうです。
・クロス壁を漆喰や珪藻土に塗り替え
・畳をフローリングに変更
→→壁だけ、床だけの変更でも、20万円〜50万円で可能です。
・押し入れをクローゼットに変更
→→布団棚や柱を撤去し+壁紙替え+棚とハンガーパイプ新設の場合
②50万円〜100万円まで
・掘りごたつ造作
・和室を洋室にリフォーム
③100万円〜
・リビングに小上がり風の和室コーナーを造作
→→床の高さが変わる工事が発生する場合は費用も高額になります。
畳の構造と貼り替えの方法
「畳床(たたみどこ)」と呼ばれる芯の部分に、その表面を覆うゴザ「畳表(たたみおもて)」をつけ、「畳縁(たたみべり)」を側面に縫い付けてあります。
畳の貼り替えには「裏返し」「表替え」「新調」の方法があり、経年数や畳の状態によって使い分けられます。
「裏返し」は畳表を裏返して再利用する方法です。5年程度使用したとき、表面の傷や日焼け跡などがあるときに行ないます。一度外して持ち帰り、作業して出来上がったものを納品される形で施工します。
「表替え」は畳表を新しくすることです。10年ほど使用したときや、一度裏返しを行なってからまた5年ほど経った場合などにすすめられます。裏返しと同様、作業は持ち帰って行なってくれます。
「新調」は畳床も含めた全部を新しくすることです。畳がへこんできたときや、15年ほど使用したときに行なわれます。業者が採寸にきて、作ってから納品されます。
和室の工事期間はどのくらい?
畳の裏返し……1日程度
畳の表替え……3日後納品
畳の新調……採寸から3日後
障子・ふすまの新調……3〜4日
天井と壁のクロス貼り……1日
掘りごたつ造作……3日〜1週間
押し入れをクローゼットに変更……半日〜2日
和室を洋室にリフォーム……1週間〜2週間
リビングに小上がり風の和室コーナーを造作……3日〜2週間
和室リフォームの費用内訳
畳の裏返し……1枚4000円〜
畳の表替え……1枚5000円〜
畳の新調……1枚1万3000円〜
障子・ふすまの新調……1枚3000円〜
天井と壁のクロス貼り……5万円〜
掘りごたつ造作……50万円〜
押し入れをクローゼットに変更……3万〜20万円
和室を洋室にリフォーム……50万〜100万円
リビングに小上がり風の和室コーナーを造作……80万〜150万円
和室リフォームのコストダウン
和室のリフォームを、コストダウンする方法はあるのでしょうか。
コストをかけないためには、床の高さをいじらないことです。
掘りごたつなど、床下の工事が必要なものや、小上がりなど新たな土台組が必要なものは、どうしても工事が大掛かりになり、費用がかかります。
置くだけの「置き畳」という商品もありますが、厚みが2〜3cmですので、高齢者などはつまづきやすい段差となります。
しかしこれをフラットにするために、リビングの床を3cm低くするとなると大変な工事になるわけです。
和室リフォームの注意点
和室をリフォームするときの注意点です。
特にリビングに小上がりの畳コーナーを作りたいとき、腰掛けられるおすすめの高さは40cmです。
このくらいの高さなら、圧迫感もない上に、畳に寝転んでもベッドの上のようですから、地べたに寝ているようで落ち着かないということもないでしょう。
しかし、荷物を持った状態などで、一歩で小上がりの畳コーナーに上がるにはちょっと辛い高さです。
一般的な階段の高さ、20cm程度の敷台を用意することも考えてください。
また、子どもや高齢者の事故が起こらないように考えておくことも大切です。
厚みがあまりない置き畳は高齢者がつまづきやすいですし、高さ40cmの小上がりから子どもが落ちれば怪我をします。
家族構成や家庭環境に合わせたリフォームを考えてください。
加えて、畳は天然素材ですので日焼けしたり、表面が摩耗したりします。
人の出入りが多い、よく使われる和室では畳床のふみ心地も変わってきます。
定期的なメンテナンスが必要なのが和室ですので、日々のお手入れを行なうことも気にかけてください。
和室リフォームの費用が大きく変化する要素はどこ?
まず商品の値段ですが、畳や障子などの各部材に、さまざまなランクの商品があります。
畳は化学繊維を使った数千円のものから、最高級のい草を使い、完全受注生産で手縫いしたものなどは20万円を超えるものまで。
障子も同じく、使う木材や和紙の質によって値段が変わります。
どんな使い方をする和室なのかによって、選ぶ商品のランクを考えてください。
い草の香りを楽しみながらのんびり昼寝をしたいなら、化学繊維の畳よりい草の畳がよいでしょうし、逆に子どもの遊び場として使いたいなら、あまりに高級な畳は向きません。
また、人気の琉球畳(縁なしの畳)は、同じ広さに敷いた場合、通常の縁ありの畳の倍くらいの値段がすると思ってください。
それと、前述したように、床の高さが変わると工事費が大きく変わります。
小上がりを作りたい場合などには、置くだけで小上がりになる畳ユニット商品を検討するとよいかもしれません。
また、和室を作りたい場所として多く上がるのがリビングの一角、またはリビングに隣接したスペースなのですが、数年後、数十年後に要らなくなったと言って再リフォームする人も一定数います。
リビング隣接の和室コーナーを取り払ってリビングの一部に戻すとき、撤去した畳のところにはフローリングを貼ることになりますが、同じフローリング材でないと見た目が悪いため、結局リビングごとフローリングを貼り替える工事になって費用がかかるといったことが起こります。
「ずっと必要なものかどうか」「必要なくなったらどうするか」まで考えて、リフォームに踏み切ることが大切です。
まとめ
いま和室がなくて「欲しい」と思っている人も、いまある和室が「要らない」という人もいると思います。
そのどちらにせよ、和室をどのように使うのか、または和室を取り払った時にそのスペースをどのように使うのかといった、その場所での過ごし方をしっかり考えておくことが、和室リフォームの成功の秘訣かもしれません。
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https://www.unirtechnica.com/
取材・文/加世田侑季
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