コラム

ダニ駆除の効果は？マルチに進化する「ふとん乾燥機」

更新日：2018.09.18

人は睡眠時かならず汗をかきます。冬は100〜200ml/晩が平均ですが、夏は2〜3倍くらいになります。そのふとんから湿り気はなかなか抜けません。
梅雨、降雪時など、外の湿度が高いと、何時までも湿ったまま。ひんやりと冷たいふとん。通常より、ちょっと体温が下がると人は眠りに落ちるのですが、冷た過ぎると、どうにもなりません。しかも水分を含んだふとんは、重い上になかなか温まりません。とにかく寝にくいものです。

ふとんが乾いていると状況が全く違います。まずふとんが軽い。これは睡眠時に必要な寝返りも打ちやすいということです。その上、すぐ睡眠に適当な温度になります。「ダニを殺せない」＝「日光消毒はありえない」と言うことで有名になった「ふとん干し」ですが、湿気を取り去るには、とても良い方法です。

ふとん乾燥はアレルゲン除去に有効！

ここ数年ふとん家電で流行ったモノに、「ふとん掃除機」があります。ふとんをキレイにする家電ですが、目玉はアレルゲンの１つであるハウスダスト除去。ハウスダストはいくつか種類がありますが、ここでいうのは「ダニ」。アレルゲンになるのは、生きたダニではなく、ダニの脱皮殻、死骸、フンですが、ダニがいると発生するので「ダニ」と言っておきます。

ふとん掃除機はこの「ダニ」の除去が売りです。ダニが嫌う紫外線と、叩き出し機構。ずいぶんと流行ったものです。
しかし、生きているダニは動きますし、生きている限りは抗います。寿命がこない限り、死を抵抗なく受け入れる生き物は、まぁいません。つまり、紫外線でも叩き出しでも、100%取り切ることはできないということです。

が、先に書いた通り、アレルゲン自体は生物ではないのですから動きません。掃除機をかければ取れます。ふとんの掃除機がけは、特にアレルギー体質者には有効な手段です。しかし、生きているダニがいると、またアレルゲンができてしまうわけで、根本原因を除くところまで行っていないということです。

では、殲滅させるには、どうすればイイのか？
ズバリ「熱」です。
いろいろな説がありますが、アレルゲンとなるチリダニ類は、50℃60分で確実に殺せるとされています。
熱を伝えるのに最も確実なのは、コインランドリーの乾燥機。多くの場合、熱源はガス。この熱風は強烈です。しかもふとん全体を乾燥させるので、ダニも逃げ場がありません。完全に殲滅。その後、吸引力の高い掃除機にふとんアタッチメントを付けて吸わせればいいわけです。
使う掃除機のポイントは、密閉度が高く、HEPAフィルターレベルの排気フィルターを持つことです。これはアレルゲンが掃除機の排気と共に部屋に散らばるのを防ぐためです。過去テストした時、安い掃除機の中には、本体やホースなどの継ぎ目から排気が漏れるモノもありました。

ちなみに、ふとん干しでは、ダニを殺せないと書きました。。しかし別の効果があります。ダニが繁殖するのは、温度20～30℃、湿度60～80％。干すと湿気が劇的に下がります。つまり繁殖に適さない環境にしてしまうのです。

ただし、今の世の中、空気も汚染されています。洗濯物の外干しが段々できなくなってきているのも事実です。そうなると、便利なのがふとん乾燥機。ふとん乾燥機と掃除機を上手く使い、きれいにする。『ふとん乾燥機』は、今後必需品に変わってくると思われます。

マットなし？マットあり？どっちを使う？

ふとん乾燥機の原理は簡単で、本体で乾いた熱風を作り、その熱風をホース、マットなどで、ふとんの隅々まで行き渡らせる方式を取ります。書くと簡単そうですが、昔はマットの出し入れが面倒だったり、使わない時に場所を取ったりと、割と面倒で、何時しか使わなくなった人も多かったと思います。

しかし、それは昔の話。今の主流はマットなしです。ホースの先に温風を拡散できるノズルを付け、ふとんの程よいところに設置するのが主流です。ノズルにより、風向、風量を調整。かなりイイ感じで、温風がふとんに拡がります。設置、収納共に簡単。置き場所も取らない。とても便利になりました。

ただし、マットにも良さがあります。それはふとんの隅から隅まで確実に熱を伝えられると言うこと。アレルゲンは呼吸により、鼻もしくは口から体内に侵入します。このため、頻繁にふとん掃除される場合、頭回りのダニ退治だけで問題ありませんが、年に２回位は、完全にキレイにしたいもの。マット式はそんな時、頼りになります。

どちらを選ぶのかは、あなた次第です。

靴乾燥、部屋干しサポートなどにも活躍

また、結構あなどれないのが、ふとん以外も乾燥できちゃうこと。

特にイイのが靴乾燥。お気入りの靴なんだけど、急に雨が降り出してつま先だけ濡れてしまった何てことはないでしょうか？　夏場だと新聞紙を詰めておけば、一晩でかなり乾きます。が、冬場だととんと乾かきません。仕方ないので、そのまま放置して置いたら革が硬くなってしまった。なんて経験はありませんか？

そんな時便利なのが、ふとん乾燥機。ほどよい温度と風で、乾かしてくれます。ふとん乾燥機をしまう時、靴の方もクリームを塗るなど軽く手入れをしてやれば、元通り。明日もまた履くことができます。

また、最近ではイオン発生機を付けて、枕などのニオイを取る機能があるものもあります。靴＋温風だとニオイが気になるのではという人もいますが、対策はできるということです。

当然、部屋干しの洗濯物にも有効です。この場合は最近疎まれがちな「マット」が活躍することも。洗濯物をマット内にセットできるモデルがあります。マットは温風を貯めることができますので、非常に効率がいいです。

ふとん乾燥機は、エアコン以上、ドライヤー未満の温風です。一つあるととても便利な家電です。

ダニを一掃！おすすめのふとん乾燥機とは？

さまざまに進化しているふとん乾燥機ですが、ダニ対策できるおすすめは次の通りです。

■シャープ　プラズマクラスター　ふとん乾燥機　UD-AF1

性能もさることながら、形がいいです。キノコを模しているます。個人的にはもう少し強くキノコに似せてもイイのではと思います。マットなし。お得意のプラズマクラスター機能付きで、ニオイ対応もしています。
●サイズ：幅24.3×奥行24.3×高38.6cm、●重さ：約 4.0kg、●電源コード：約 1.8m

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■象印マホービン　スマートドライ／RF-AC20

マットレスどころか、ホースもないモデル。それだけに収納時は非常にコンパクトになります。枕の位置に本体をセットし使います。このため電源コードはちょっと長めです。
●サイズ：幅28×奥行13×高35cm、●重さ：4.1kg、電源コード：2.6m

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■パナソニック　マットレス・ナノイー搭載タイプ　FD-F06X2

マットなし型。細かい所まで気配りが、パナソニックらしいところで、ホースの長さ：100cmと長く、設定が非常にしやすいです。また水につつまれた微粒子イオン「ナノイー」で、ニオイケアなどもばっちりしてあるのモデルです。
●サイズ：幅39.8×奥行14×高30cm、●重さ：約3.3kg、●電源コード：約1.9m

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■日立　アッとドライ　HFK-VH880

U字型のふとん乾燥アタッチメントが特長のマットなし型。敷きぶとん両面を一度に乾燥できるなど、使い勝手がイイアタッチメントです。その他のアタッチメントも含め、全部本体内にしまうことができます。本体がやや大きくなりますが、やはり便利です。
●サイズ：幅28.3×奥行21.7×高33.8cm、●重さ：約4.3kg、●電源コード：約1.9m

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■三菱電機　フトンクリニック　AD-X80

マット式。「フトンクリニック」という言葉が、性格を物語っています。使い勝手よりも確実性に重きを置いたモデル。ふとんだけでなく、まくら用の乾燥マットもあります。こちらはぬいぐるみなどにも使えます。質実剛健。三菱らしいモデルです。
●サイズ：幅35.5×奥行16.1×高31.4cm、●重さ：約3.6kg

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【筆者プロフィール】
多賀一晃さん
1961年生まれ。慶應義塾大学大学院理工学部卒。大手メーカーにて商品開発、企画を担当後独立。国内はもちろん、世界最大の家電見本市「IFA」等で世界中の家電を取材し、役立つ情報を「生活家電.com」から発信中。日本経済新聞夕刊の家電製品特集や土曜日別冊「日経プラス１」の「家電ランキング」選者、WEDGE Infinity「家電口論」主筆としても活躍。
生活家電.com　

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