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コラム

話題の「AIスピーカー」って何ができるの?とりあえず買うならどれにする?

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話題の「AIスピーカー」って何ができるの?とりあえず買うならどれにする?

毎年年末恒例の「2017ユーキャン新語・流行語大賞」の候補30語に選ばれた「AIスピーカー」。海外で圧倒的なシェアを持っているAmazon Echo(以下アマゾン エコー)が日本上陸した今月から、メディアへの露出量もぐんとアップしています。

なぜこれが、全世界的に流行っているのでしょうか?
それは、スマホが持っている「映像」関連の機能以外を全て、会話を通じて使うことができるからです。
例えば「今、何時?」と聞くと「8時です」。「銀座の美味しい寿司屋。予算5000円で!」と言うと「銀座にはありませんが、となりの新橋に、『××』があります」。「ルンバで掃除して!」といえば「わかりました」という塩梅です。

このレポートでは、ちょっとわかり難いAIスピーカーを、「AI」「文化」「インターフェイス」「IoT」という四つのキーワードを交えて説明します。

何をする「AI」なのか

AI。日本語で言うと人工知能。普通のコンピューターではなく、人間の脳と同じ働きをするコンピューターを意味します。
最近、棋士がコンピューターに負けたりして、「AIはスゴい。」とメディアが書き立てていますが、実はそれでも、人間の脳には達していません。理由は、コンピューターは専門、人間は総合だからです。

1950年代から、人工知能という考えはありました。今までのものにできなかったのは、人間の力では、到底、人間が学ぶ知識量をコンピューターにインプットできなかったからです。
ここで言う知識は、学校で習うような知識とはちょっと違います。会話の中に出てくる「そこにあるでしょ!」という言葉をコンピューターは理解できないのです。
「そこ」「あそこ」のような曖昧な言葉は、正確さをモットーとするコンピューターは理解できないのです。

しかし、近年のコンピューターはそれがある程度理解できるようになりました。それは膨大なデーターをコンピューターが自己学習することにより、「そこ」というのは、こんなことを意味しているということをつかむことができるようになったためです。
ちょっと専門的な言葉を使うと「ビッグデータ」をコンピューターが「マシン・ラーニング」することにより、AIと呼べるレベルに達したということです。

棋士の対戦相手のコンピューターは、今まで記録された棋譜を学び棋士に勝つようになりました。これは将棋専門のAI。
AIスピーカーのAIは、各国の言葉が話せる「言語」に特化したAIです。(正確には、人は言葉が使えるのを前提に、いろいろなことをするとし、AIでも、言葉はAIをサポートするものとされ、正しくは「AIアシスタント」と呼ばれます)

「文化」も共有させてこそのAI


日本語を話せてわかる人は、全日本人と話ができるかと言うと、そうではありません。それは、日本の文化、風俗、歴史まで知らないと会話がなりたたないからです。
例えば、関東の「マック」、関西の「マクド」は両方ともマクドナルド・ハンバーガーですし、アップル社のPC、マッキントッシュも「マック」です。
「マックを食べながらマックをしている」というのは「マクドを食べながらマックをしている」と同じですが、それを正確にわかるには、そこまでコンピューターに学習させる必要があるのです。メーカーにより差がありますが、正確に理解できるということは、何気なくも膨大な知識が必要なのです。

言葉という「ヒューマンインターフェイス」

音声入力はスマホでできるから、新しくないのではと言う人も多いと思います。今、スマホで出来るのは、音声認識。
しかし考えても見てください。人とのコミュニケーションは「会話」です。しかも音声による情報交換は「おぎゃあ」と生まれた瞬間からです。死ぬときも、最後まで使うのは音声。そのくらい、人に馴染んだコミュニケーションは、言葉による会話です。コンピューターと会話できるというのは、タッチパネル以上に楽ということなのです。

言い換えると、スマホでは、人がスマホに適応していました。直感的とはいえ、操作を覚えなければなりませんでした。しかし、AIスピーカーは違います。「会話」ですからね。今度はネット(AIスピーカー)が、人に適応する形になります。

もっと大上段に振りかぶって言いますと、創世記の冒頭にも「『「光あれ!」と神は言った」とあります。人間が神に似せて創られたのなら、一番最初に神が使った言葉による意志伝達が、人間に最も相応しいものです。

ネットにつながっている「IoT」製品だから

このAIですが、個々のAIスピーカーの中にそれだけスゴいチップが詰まっているわけではありません。頭脳はネット上にあるクラウドコンピューター。ネットにつながっているのがポイントです。ここが普通のスピーカーと違います。

ネット上には膨大な情報があります。いろいろな質問にはここから答えを引いてきます。ぐるなび、クックパッド、価格.comのような、特殊な専門的な知識も、先方がOKすれば、情報を使うことが出来ます。
また有料で、先方がOKすればですが、ストリーミングサービスの音楽にも対応します。

インターネットと家電が連携した「IoT家電」も同様。ロボット掃除機、オーブンレンジなどは、多くの場合、Wi-Fiを持ちメーカーのクラウドとつながっています。メーカーがOKすれば、家電をコントロールすることも可能です。

AIスピーカーのポジションとは?

AIスピーカーは、今後普及するとされているスマートホームでの家庭におけるインターフェイスと考えられています。しかしそれは未来の話。スマートホーム自体、まだ整ってはいません。
一部動かせる家電もありますが、今は単純な会話(音声)で、ネット情報を入手し、音楽が楽しめると言った程度です。

その進化型として、インターネットというビッグデータに支えられた「AI」により、人とナチュラルに「言葉」で会話でき、ネットの「いろいろな情報」が自在に引き出せる。AIスピーカーとはこのようなものです。

これだけわかると、AIスピーカーの記事を理解できるようになると思います。
今、AIを持っているとされているのは、メジャーなところで、アマゾン、グーグル、ライン、マイクロソフト、アップル。それぞれ、AIには、Alexa(アレクサ)、Google Assistant(グーグル・アシスタント)、Clova(クローバ)、Cortana(コルタナ)、Siri(シリ)と名付けられています。
全て、ネットワークもしくはスマホ、PCで、ビッグデータを集めてきたメーカーです。

それに対し、製品としてのAIスピーカーは、これらメーカーに加え、オンキョー、ソニー、東芝、パナソニック等が加わっています。AIはネット上にあるので、借りてくればいいのです。これらメーカーの特長は、オーディオに強いこと。逆に言うと音はいいのですが、その分価格が高くなります。

AIスピーカーの代表モデルをご紹介

日本で販売しているモデル、もしくは販売が予定されているモデルです。
とりあえずAIスピーカーを味わってみたい場合は、グーグル、ライン、アマゾン社の製品がいいです。ただし音はBGMレベルと思ってください。
日本メーカー製は高音質ですが、衝動買いするにはちょっと高い。スピーカーとしての完成度は高く、音はいいです。

いずれの場合も、AIは自己学習で、日々進化を続けます。データ数が多ければ、多いほど進化します。どんどんできないことが少なくなっていくと考えてもらえば、間違いありません。

■グーグル Google Home 2017.10発売
AIは、Google Assistant。魅力は、質問に対しての答えの正確さ。なんせ検索エンジンを持っている会社ですからね。



ライン Clova Smart Speaker WAVE 2017.10発売
AIは、Clover。魅力は、LINE musicとの親和性と、家電コントロールが他より優れていることです。赤外線が内蔵されているので、赤外線リモコンでコントロールできる家電を操れるためです。


■アマゾン Echo 2017.11発売
AIは、Amazon Alexa。何と言っても全世界でトップシェアを持っていること。参入が一番古かったため、いろいろなメーカーがスマートホームのベースに置いています。価格も安いので、とりあえずAIスピーカーを使ってみたい人に、お勧めです。

Amazonで詳しく見る

オンキョー G3 2017.11発売
AIは、Google Assistant。それに、DTS Play-Fi機能を搭載。高音質が魅力です。


ソニー LF-S50G 2017.12発売
AIはGoogle Assistant。それに、ソニーのオーディオ技術を導入しています。防水設計で、キッチン周りでも安心して使えます。


文/多賀一晃
1961年生まれ。慶應義塾大学大学院理工学部卒。大手メーカーにて商品開発、企画を担当後独立。国内はもちろん、世界最大の家電見本市「IFA」等で世界中の家電を取材し、役立つ情報を「生活家電.com」から発信中。日本経済新聞夕刊の家電製品特集や土曜日別冊「日経プラス1」の「家電ランキング」選者、WEDGE Infinity「家電口論」主筆としても活躍。

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