美味しいもの盛りだくさんの秋も終盤。寒くなると体を温めようと脂が多めでカロリーが高い料理を求めてしまいますよね。食欲の秋のあとは、体に溜め込む冬。そう、秋から冬は太りやすい季節です。
実は、「薬膳」の理論でも太りにくい体作りに役立つことがあります。
食べ物の力で、食べ過ぎても太りにくい体を目指しましょう!
太り方には2つのタイプが。あなたはどちら?
中医学では肥満とは、ぽっちゃりの「水太り」とがっちりした「脂肪かた太り」の2タイプにわけられます。まずは、どちらのタイプに当てはまるかチェックしてみましょう。
●ぽっちゃり体型の「水太りさん」の特徴
□冷え性
□むくみやすい
□お腹を壊しやすい
□寒がり
□気温が高くなくても汗をかきやすい
□食欲は普通
●がっちり体型の「かた太りさん」の特徴
□がっちり筋肉質
□昔部活などでスポーツをやっていた
□顔がほてりやすい
□暑がり
□痰が多く胸がつまった感じがする
□食欲旺盛
当てはまるものか多い方がタイプになり、どちらの特徴も半々くらいと言う方は2つのタイプを持った肥満の傾向があります。
「水太りさん」は“脾”を、「かた太りさん」は“腎”をケア!
どちらの肥満のタイプかわかったところで、それぞれの中医学からみた改善方法をお話します。
中医学では、人の体の中には「肝・心・脾・肺・腎」の五臓があり、それぞれさまざまな機能を担っていると考えられています。
そのなかで、「水太りさん」に関わる臓器は”脾”、「かた太りさん」に関わる臓器は”腎”です。
脾は消化、吸収、代謝(エネルギーに変えること)を担っています。
脾の働きが悪くなると消化吸収がうまくいかなくなり、効率よくエネルギーに変えることができなくなり、肥満の原因になります。
また、気や体を温める力が弱ることでも代謝が悪くなり肥満の原因になります。
また、腎は西洋医学の腎臓の働きである尿の浄化、排泄だけでなく、からだの成長、発育、老化、ホルモンバランスを整える働きも持っています。
腎の働きが悪くなると「痰湿」という余分なものをつくり、溜め込んでいきます。
この「痰湿」には実は肥満の原因となる脂肪などが含まれますので、肥満の方は「痰湿」を多く体に抱えていると言えます。
太りにくい体を作るには、「水太りさん」は脾の働きを助ける食べ物をとること、「かた太りさん」は腎をいたわり、「痰湿」を取り除くことが大切です。
それぞれの働きがきちんとできるように養生することで、太りにくい体を作ることにつながります。
肥満気味の方はこれ以上進行しないよう、また、もう肥満だという方は少しでも適正な体重へ戻すきっかけになると思います。
太りにくい体作りにおすすめの食べ物はこれ!
「水太りさん」は脾をいたわる「健脾、補気・補陽」の食材をとることがおすすめです。
一方、「かた太りさん」は、痰湿を取り除く「利湿・袪湿」作用の食べ物を積極的に摂ることが大切です。
「水太りさん」におすすめの食べ物
●健脾・補気作用
大豆、いんげん豆、ひよこ豆、じゃがいも、さつまいも、山芋、枝豆、オクラ、なす、人参、米、豚肉など
●補陽作用、温性のもの
ニラ、ねぎ、生姜、らっきょう、まぐろなど
「かた太りさん」におすすめの食べ物
●利湿・袪湿
小豆、黒豆、緑豆、えんどう豆、大麦、玄米、とうもろこし、アスパラ、冬瓜、きゅうり、レタス、スイカ、ぶどう、あさり、海藻、緑茶、ウーロン茶、さやいんげん、キャベツ、枝豆、ココナッツ、さくらんぼなど
「かた太りさん」は、中医学で肥満の原因になる「肥甘厚味」の食べ物=文字通り、脂っこいもの、甘いもの、味の濃いものの摂りすぎは特に注意が必要です。
薬膳のおすすめレシピ
肥満予防の薬膳を2種類ご紹介します。
「水太りさん」におすすめ!「山芋と豚肉の生姜ご飯」
<材料> (2人分)
山芋…200g
豚ひき肉…150g
塩・こしょう、しょうゆ…少々
油…大さじ1/2
生姜・・・1かけ
長ねぎ・・・1/2本
ごはん・・・多めの2膳分
<作り方>
1.山芋は1㎝角に切る。生姜は千切り、ねぎは小口切りにする。
2.フライパンに油を熱し、長ねぎ、生姜、豚ひき肉を加えて炒め、油が出たら山芋を加え表面に焼き色がつくまで炒め、しょうゆを回しかける。
3.ごはんに2混ぜ、塩で味をととのえる。
「かた太りさん」におすすめ!「レタスのあさりとアスパラの酒蒸し」
<材料> (2人分)
あさり…20粒
レタス…5~6枚
アスパラガス…2~3本
酒・・・大さじ2
塩…少々
<作り方>
1.あさりは砂抜きし、よく洗う。レタスはちぎり、アスパラは斜めに切る。
2.フライパンにあさりと酒、アスパラを入れフタをしてあさりの口が開くまで蒸す。
3.レタスを加えレタスが少ししんなりしたら塩で調味する。
いかがでしたか? 薬膳を取り入れるのは、決して難しいことではありません。おすすめ食材を参考に、ふだんの食事に上手にプラスして、太りにくい体を目指しましょう!
写真© kei907 - Fotolia.com
フードコーディネーターであり、管理栄養士・国際中医薬膳師・国際中医師・調理師の資格を持つ。
料理のおいしさ、シズルを伝える調理、盛り付け、食器のセレクトなどのスタイリングだけでなく、カロリー計算されたダイエットレシピの作成・アイディアレシピの提案、栄養専門調理実習講師、栄養関連の監修、中医学に基づいた薬膳レシピの提案、講師、などを行う。
コメント
全て既読にする
コメントがあるとここに表示されます