コラム

女性も要注意！お酒を飲まなくても脂肪肝に？

更新日：2017.10.27

アルコールと肝臓の関係は有名で、お酒が好きだというご主人をお持ちの方は定期的に肝臓の検査に行ったり、肝機能を気にしている人が多いのではないでしょうか。
しかし、今増加傾向にあるのは、アルコールを飲まない・飲めない人に増えている「非アルコール性脂肪肝」だと言います。アルコールはたいして口にしないからと思っていると、最悪の場合、肝がんや肝硬変に陥ることも。
今回は非アルコール性脂肪肝について紹介します。

脂肪肝ってなに？

「脂肪肝」とは字のとおり、肝臓に脂肪が必要以上にたまってしまう状態のことを言います。
もともと肝臓には脂肪を蓄える働きがあり、食事で摂取して消費しきれなかった脂肪酸やブドウ糖を中性脂肪として肝臓に貯蔵します。

したがって、運動不足、過食などで必要以上に摂取カロリーが消費カロリーを上回ると、肝臓の中性脂肪が増え、脂肪肝になるわけです。通常であれば数％の中性脂肪が30％以上になると脂肪肝と診断されます。

非アルコール性とアルコール性脂肪肝の違い

アルコールが原因の脂肪肝を「アルコール性脂肪肝」と言います。お酒好きのご主人が健康診断でアルコール性脂肪肝を指摘されたことがある人もいるのではないでしょうか。

アルコール性脂肪肝は、禁酒することで比較的に簡単に軽快すると言われていますが、放っておいたり、そのまま飲酒を続けると、アルコール性脂肪性肝炎へと移行し、さらには肝硬変、肝がんへと移行することがある病気です。

一方、飲酒によらない脂肪肝を「非アルコール性脂肪性肝疾患」と言います。Non-Alcoholic Fatty Liver Diseaseの略からNAFLDともよびます。
昔はお酒を飲まない人の脂肪肝は比較的に悪い経過をたどらないと考えられていました。しかし近年、NAFLDの中にも肝炎、肝硬変、肝がんへと進行する非アルコール性脂肪肝炎Non-Alcoholic Steatohepatitis（NASH）があることが分かっています。
健康診断で脂肪肝を指摘されても、自分はお酒を飲まないから大丈夫と甘く見ていると危険です。

肥満傾向にあるとNASHや肝がんになるリスクは高い

非アルコール性脂肪肝炎（NASH）の何が怖いかというと、肝硬変や肝がんに移行する点です。
肝がんや肝硬変というと、これまではC型やB型の肝炎ウイルスに感染していることが多かったのですが、最近はウイルス感染をしていない肝がん患者が増えていると言います。

アメリカではNASH患者に多いとされる「肥満」を肝がんの危険因子としてあげています。日本では糖尿病の患者の13.3％が肝硬変や肝がんで死亡するという統計があります。

どうして太っているとNASHになりやすいの？

細かいメカニズムは解明されていないのですが、現在考えられているものは「インスリン抵抗性」が関与するという説です。

インスリンとはすい臓から分泌され、ブドウ糖を燃焼して、血液中の糖が上がり過ぎないようにコントロールをしているホルモンです。
糖尿病がある人は、インスリンが分泌されないまたは分泌される量が少ないのですが、中には十分なインスリンがあるにも関わらず、上手に利用されないというパターンがあることが分かりました。

インスリンが分泌されているのに使われずに血糖が上がることを「インスリン抵抗性」とよび、肥満者に多いことが特徴です。肥満があると細胞がインスリンに鈍感になり、ブドウ糖を使わずにため込んでしまうというものです。そして、脂肪肝に至ると考えられています。

自分の標準体重を知っていますか？

健康診断で脂肪肝と指摘されたら、すぐに食事を見直すことが大切です。まだ脂肪肝を指摘されたことは無いけど、体重が自分の標準体重を上回っている人も、予備軍として食生活を見直すことが大切です。

どちらにしても自分の体重を標準体重に戻すことを目標にしましょう。標準体重は身長（ｍ）×身長（ｍ）×22で求められます。例えば身長が160㎝であれば、1.6×1.6×22＝56.32から標準体重は約56キロということが分かります。

食生活見直しのポイント

基本はバランスの良い食事を心がけること。
特に糖質と脂質の取り過ぎに注意してください。肉類は脂質が多いので、取り過ぎはよくありませんが、肝臓の修復にはたんぱく質が必要ですから、適量を摂取することは必要です。たんぱく源として魚や豆類を上手に利用しましょう。

食事だけで肥満を解消するのには限界があり、健康的ではありません。体重を減らさなければならない人は、必ず運動も並行して行ってください。

脂肪の燃焼に効果的なのは有酸素運動です。有酸素運動とは呼吸を意識しながら行う運動のことで、ウォーキングやエアロビクス、ヨガなどを言います。どうしても、運動する時間を作るのが難しいという場合は、万歩計を使うなどして、日常生活においてたくさん歩くことを心がけてみてはいかがでしょう。
写真　© konami11 - Fotolia.com

Profile松下歩

日本ではナースとしてバリバリ働いていましたが、長年の夢であったオーストラリアへの移住を果たしました！今は子育ての真っ最中、フリーランサーとして働きながら、家族5人ブリスベンで、のんびり生活しています。ナースの経験を活かした健康記事をお届けしたいと思っています。

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