今年は7月初めから、かなりの暑さが続き、長い夏でした。
9月になり、秋の気配も少しずつ感じられ、夜は大分涼しくなりましたが、日中は相変わらず蒸し暑いですよね。まだまだ冷房なしでは過ごせないという人も多いのでは?
今回は、夏の終わり頃に多い“隠れ冷え性”の改善についてご紹介したいと思います。
「薬膳」の理論に基づいた食べ物の力で冷えを撃退しましょう!
なぜ、暑い夏に"冷え"てしまうの?
今年の夏も、熱帯夜が続き、日中は熱中症予防にエアコンが欠かせない毎日。会社やスーパー、移動の電車も冷房が効きすぎて寒いくらいですよね。
夏場は、このように冷えすぎの環境に長時間、長期間いることで、外側から体を冷やしすぎてしまっています。
さらに、この時期はアイスクリームやかき氷、冷たいビール、ジュース、果物を食べ過ぎてしまいがち。その結果、内側からも体を冷やし、気温の高さとは逆に、知らないうちに体が冷えすぎていることが多いのです。
特に残暑の頃には長らく「冷え」にさらされて、自分でも気づかないうちに冷え性になっていることもあります。
中医学では冷え性の原因は“陽気”と“血”の不足
中医学では体には陰と陽の気が存在し、両者のバランスが整っていることがよいとされています。
もともと、男性は陽、女性は陰に属すので、女性は陰に偏る人が多く陽気が不足しがちです。
最近では、本来陽気が多い男性にも冷え性に悩む人が増えているようです。
陽気は全身を巡りながら温める働きがあります。
もともと陽気が足りない人や、普段バランスが整っている人でも、先に述べたとおり、冷房にあたりすぎたり、冷たいものを摂りすぎたりして体の内外から冷やしてしまっている人は、温める力が弱くなっています。
陽気が不足するような生活習慣が冷えの原因になるのです。
陽気不足のまま過ごしていると脾胃の働き(消化吸収)が低下し、お腹の調子が悪くなったり、むくみになることもあります。
中医学では脾胃の働きが低下すると“血”の不足を引き起こすと言われています。
“血”は全身を巡りながら体温を維持する働きがあるので、“血”の不足により冷え性が悪化したり、貧血になることも。
温める作用のある食材と血を補う食材をとりましょう!
冷え性におすすめの食べものは以下のとおりです。
「温性」の食材は体を温める作用があり、「補血」の食材は、文字どおり“血”を補う作用があります。
「温中散寒」は、お腹を温め、寒さを取り除く作用のある食材です。積極的にとりましょう。
●温性
生姜、ネギ、にんにく、紫蘇、ニラ、羊肉、鶏肉、エビ、マグロ、栗、酒、ヨモギ、クルミ、花椒、唐辛子
●温中散寒
生姜、ネギ、ニンニク、羊肉、黒砂糖、シナモン、八角、フェンネル、ヨモギ、胡椒、花椒、酒、紅茶など
●補血
レバー、ほうれん草、人参、黒豆、黒きくらげ、黒ごま、松の実、マグロ、カツオ、タコ、牛肉、鶏卵、ライチ、棗など
冷えにおすすめ薬膳レシピ「鶏肉と栗の生姜八角煮」
上記の効能を持つ食べ物をたっぷり使った冷え症改善の薬膳レシピをご紹介します。
〈材料〉 (2人分)
手羽元…6本
むき甘栗…6粒
黒きくらげ(乾燥)…3g
にんにく…1かけ
しょうが(皮付き)…1かけ
八角…1個
しょうゆ …大さじ2
酒…大さじ1と1/2
三温糖 大さじ1
塩、こしょう…各少々
油…大さじ1/2
長ねぎ…10cm
香菜…少々
〈作り方〉
1.手羽元はフォークで全体に穴をあけ、塩、こしょうを振る。黒きくらげは水につけて戻し、堅い部分を取り除き、一口大に切る。しょうが、にんにくはスライスする。長ねぎは白髪ねぎにする。香菜は刻む。
2.深めのフライパンに油を熱し、しょうが、にんにくを入れて炒め、香りがたったら鶏肉を加え、焼き目をつける。三温糖を加えてからめる。
3. 水200mlと、甘栗、八角、しょうゆ、酒を加え、中火でアクをとりながら約30分煮る。塩で調味する。器に盛り、長ねぎ、香菜を散らす。
いかがでしたか? 薬膳を取り入れるのは、決して難しいことではありません。おすすめ食材を参考に、ふだんの食事に上手にプラスして、夏の冷えを改善しましょう。
写真© blanche - Fotolia.com
フードコーディネーターであり、管理栄養士・国際中医薬膳師・国際中医師・調理師の資格を持つ。
料理のおいしさ、シズルを伝える調理、盛り付け、食器のセレクトなどのスタイリングだけでなく、カロリー計算されたダイエットレシピの作成・アイディアレシピの提案、栄養専門調理実習講師、栄養関連の監修、中医学に基づいた薬膳レシピの提案、講師、などを行う。
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