火災は、私たちの日常を一瞬にして奪ってしまう恐ろしいもの…。万が一、火災が起きてしまった際、パニックにならず、適切な行動がとれるかどうかで、被害の大きさは大きく変わってきます。正しく初期消火を行えるかどうかが、被害を最小限に抑えるカギとなるのです。
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そこで今回は、火災が起きた時にやりがちなNG行動と、状況に応じた正しい消火方法、そして日頃からできる火災予防のポイントをご紹介します。意外と間違った情報を信じてしまっている場合もあるので、一緒に確認していきましょう!
初期消火実施の判断基準!天井に火が移った場合は即避難を
総務省消防庁によると、初期消火が可能なのは、天井に火が燃え移るまでの間です。火が小さいうちに消火活動を行い、もし天井に火が移ってしまったら、ためらわずに避難しましょう。
避難する際は、マンション等では空気を遮断して炎や煙の広がりを抑えるために、部屋のドアを閉めるようにしてください。そして、大声で周りの人に火災発生を知らせ、落ち着いて119番通報しましょう。
避難時に貴重品や荷物等を持ち出したくなることもあるかもしれませんが、とにかく避難することを最優先に。炎や煙の広がるスピードは想像以上に早いものです。仮に免許証や保険証、実印など、身分を証明するもの一切を失くしても、罹災証明書等で一つずつ再発行できます。
やりがちなNG行動!やってはいけない火の消し方
万が一、火事が発生して初期消火を行うとき、誤ってやってしまいがちな消火方法をご紹介します。
① 火を消すために布でバタバタと仰ぐ
火を消すとき、布でバタバタと仰いでしまうと、かえって空気を送り込み、火を大きくしてしまう可能性があります。もし、シーツやタオルなどの布で消火を行う際は、水で濡らして軽く絞り、火元全体を覆うようにかぶせるだけでOK。空気に触れさせないようにすることが重要です。
② 油火災や電気火災で水をかける
油火災や通電状態の電気火災では、絶対に水をかけてはいけません。油火災では油の飛び散りや、火の勢いが増してしまう危険性があり、電気火災では感電の恐れがあります。
正しい消火方法について
では正しく消火するには一体どのように行動をすればよいのでしょうか。ここからは、お家で起こりやすい出火原因ごとの適切な消火方法をご紹介します。
① 天ぷら油などによる油火災
消火器で初期消火を行う場合は、放射距離が近いと油が飛び散る危険があるため、4〜5m離れたところから徐々に近づいて行います。消火できたらガスの栓を閉じて、鍋のフタ等で空気の遮断を続けましょう。
もし消火器がない場合は、水で濡らして軽く絞ったタオルや布で、火元全体を覆うようにしてかぶせて窒息消火させます。このとき、複数枚かぶせると効果的です。火が消えたと思っても、決してすぐにはとらないのがポイント!
② 電化製品やコンセントからの電気火災
電化製品やコンセント、電気コードなどから出火したときは、まずブレーカーをOFFにして電気を遮断。その後、やけどに注意して、電気プラグをコンセントから外し、消火器や消火スプレーなどで消火します。
このとき、消火器や消火スプレーは、必ず電気火災に対応しているものを使用しましょう。もし消火器等がない場合は、電気遮断後に水で消火します。
③ 石油ストーブによる火災
石油ストーブから出火した場合は、消火器で初期消火を行うのがベスト。消火器がない場合は、水で濡らしたタオルやシーツなどで、ストーブ全体を覆い、空気を遮断しましょう。
上から複数枚重ねて、さらに水をかけると、消火できる可能性が高まります。もし消火できたとしても、かぶせた布はすぐには取らず、そのまま119番へ通報してください。
④ 着ている服に着火した場合は
フリースやニットなどの燃えやすい服を着用しているときに、ストーブの近くで暖まったり、コンロで調理をしていると、そのまま火が服に移る場合があります。これを着衣着火と呼び、年間で100人近くもの方が亡くなられている、家庭で起こりやすい火災の一つです。
万が一、着衣着火が起こってしまった場合は、すぐに水をかけたり、浴槽に飛び込みましょう。もし周りに人がいなかったり、水が近くにない場合は、急いで横になってください。火は上に向かって広がるので、立ったままだとあっという間に燃え広がってしまうためです。横になったら、すぐに火が付いている部分を床に向けて、空気を遮断して消火します。
なお、どんな状況でも初期消火を行ったあとは、安全のため、119番通報をしましょう。
日頃からできる火災予防!注意したいポイントは
火災を防ぐためには、日頃からの心がけが重要です。一部ではありますが、チェックしておきたいポイントをご紹介します。
放火対策のための注意点
・ゴミ出しは各自治体で決められた時間、ルールを守りましょう。
・家の周りに燃えやすいものを置かないようにしましょう。
キッチンでの注意点
・コンロ周りに燃えやすいものを置かないように注意し、定期的に掃除を行いましょう。
・調理中は、マフラーやストール、袖が広がっている服などは身につけないようにしましょう。
・エプロンは、燃えにくい防炎品を使用しましょう。
電気設備の注意点
・たこ足配線や古い配線の使用は避けましょう。
・モバイルバッテリーや充電器などの電化製品は、PSEマークを取得している商品を選び、破損や故障がある場合は使用を中止し、メーカーに問い合わせたり、正しい方法で処分しましょう。
タバコの注意点
・タバコの火の始末には十分注意し、必ず完全に消火を確認しましょう。
・ベッドやソファなど、燃えやすい素材の近くでの喫煙や寝タバコは絶対にやめましょう。
消火器の使い方、避難経路の確認
・火災報知器や消火器を設置し、定期的に点検、使い方を確認しましょう。
・万が一に備え、家族で避難経路、非常口、避難器具の場所を確認しておきましょう。
しっかりと知識を備えて火災を予防!
火や電気を使う生活は便利で快適ですが、その裏には常に火災のリスクが潜んでいます。だからこそ、火災は誰にでも起こりうる事故・災害として、常に意識しておく必要があります。
万が一の事態に備えて、家族と火災について話し合い、避難経路や消火器の場所を確認、正しい消火方法や予防策をしっかりと理解しておくことが大切です。
今回ご紹介した内容は、火災に関する情報のほんの一部です。消防庁や各自治体のホームページ、YouTubeなどでも、さらに詳しい情報が掲載されているので、ぜひ一度チェックしてみてください。正しい知識を身につけ、火災から大切な命と財産、思い出を守りましょう。
まとめ/滝谷遥
参考
総務省消防庁「初期消火」(参照日:2024年8月1日)
総務省消防庁「消防統計(火災統計)」(参照日:2024年8月1日)
東京消防庁「 STOP!着衣着火」(参照日:2024年8月1日)
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