仕事のつらさ、大変さを、業界別に大調査!今回は女性看護師の皆さんに「看護師のいちばん大変なこと」を聞きました。
精神的にキツイ
Nさん
(35歳・病棟看護師)
患者さんの命や生活に直接影響するような行為があるので、人によっては精神的にかなり追い詰められます。
血圧や体温など全身状態の確認、採血や傷の処置、ふだんの会話や表情からも「いつもと違うな」というちょっとした変化を見逃さないように観察し続けなければいけないし、さっきまで元気だった患者さんがあっという間に急変することもあるので、その責任は強く感じます。
看護によって、患者さんの目標を達成できた時のやりがいに支えられて仕事しています。
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Mさん
(34歳・病棟看護師)
夜勤が眠いのと、患者さんのクレームが怖い、先輩ナースが怖い、あと医者にはだいたいイライラさせられます。
血管が細い人の採血も、できればしたくないなって思います。
看護師のイメージを崩してしまったらごめんなさい…。
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Sさん
(29歳・病棟看護師)
病棟だと、患者さんがいつ亡くなるかもわからないので緊張が抜けないし、精神的な怖さも常にあります。
輸血で副作用を起こす人をたびたび見ているんですが、投与して数分でアナフィラキシーショックを起こすので、輸血も怖いです。
看護以外の事務&手続き仕事が大変
Kさん
(31歳・病棟看護師)
看護以外の事務処理や手続きが意外と多いのが大変です。
例えば、退院に向けて書類や処方などしっかり確認して準備をしたのに、帰る間際に「湿布が欲しい」と言われると内心発狂してます。
病棟での処方は
まず頼める医者を探す(だいたい手術や外来でいない)
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処方箋をオーダーしてもらう(だいたい入力を間違える)
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薬局が調剤する(数分ではできません)
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薬局から気送管(圧縮空気もしくは真空圧を利用して、検体、薬品、薬などを輸送するエアシューター)で病棟に送ってもらう(他の担当患者さんの対応をしつつ、薬が送られてきてるかチェック)
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送られてきた薬に間違いがないかスタッフでダブルチェックして、患者さんへお渡し。
という流れで、かなり煩雑。外来の場合は処方箋を出すだけでいいので簡単なのですが。
おそらく「家にストックしておきたいな~」ぐらいの軽い気持ちだと思うのですが、けっこう大変なんですよ(笑)。
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Uさん
(35歳・企業看護師)
社員の体調不良対応や健康診断対応で医療行為などの現場仕事はあるのですが、一番時間を割くのは書類作成で、これが最も大変でした。
EXCELを用いての表計算やグラフ作成、PowerPointで健康講座の資料や健康施策のプレゼン資料作成が日常的に必要でした。それも全てビジネス文書で作成し、上司にプレゼンしOKをもらわないと展開できません。
そのため上司の予定を確保する必要があるのですが、確認する上司が複数いるパターンが多く、それぞれが忙しいので予定を合わせるだけでもひと苦労でした。
また健康施策は「実施して終わり」ではなく、報告ならびに次回に活かすため結果をデータ化させる必要があります。
EXCEL等を用いてのデータ化は慣れないうちは特に時間がかかりました。残業もふつうにしていました。
またメールやZoom等を用いてのコミュニケーションがふつうであること、上司やチームメンバーへの相談やミーティング等は基本全てアポイントメントをとり日時や会議室の設定が必要だったり、一つ一つの作業に時間を結構とられました。
慣れればフレックスタイムがとれ、ある程度働く時間等を自分で決められましたが、医療行為の業務にプラスしてこのような事務的業務がたくさんあるのでほぼ毎日残業でした。
企業は福利厚生が整っているのでメリットも多かったですが、私のいた会社は業務量が多く、定時内で帰れるといったことはほぼなかったです。
他社の看護師と話していると、企業によって看護師は体調不良対応と健康診断対応のみに特化させて事務的作業は少ないとか、定時で必ず帰れるところもあると聞くので、企業によるようです。
女性社会ならではの人間関係が大変
Yさん
(35歳・外来看護師)
男性看護師も増えてきましたが、看護師の場合は、女だらけの職場で、先生も個性的だし、変な患者さんもいるし…。柔軟な考えと高いコミュニケーション能力を求められるのが大変です。
女性看護師は未婚、既婚にかかわらずバリバリ働いている人が多いから、個性的な人が多いなとも感じます。新しい職場に移ったら、「郷に入れば郷に従う」で、その職場の風習に慣れていかないとやっていけません。
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Eさん
(36歳・外来看護師)
病院内の他職種とのコミュニケーションや、感情コントロールがとても大変…。患者さんへのコミュニケーション能力も高くないとダメなので、日々「いい看護師」を演じなければいけないのはしんどいです。
スタッフ間でも、マウントを取る人、上の人には媚びを売るけど下の人には厳しいとか、自分はできるアピールをするけれど業務が雑だったり、言いたいことだけ言って何もやらなかったり。
看護師業界に限った話ではないと思いますが、やはり人間関係で悩むことが多いです。
オールマイティを求められるのがつらい
Rさん
(35歳・病棟看護師)
医師は研修医の段階で外科、内科などの専門を選び、その中で更に細分化されその分野に特化していきますが、看護師は配属される部署や勤め先によってどんな分野でも対応していかなければなりません。
学生の時に学んだ最低限の知識を土台に、働きながら勉強し経験を積むしかなく、慣れてきた頃に環境が変われば、またイチから新たなことを覚えなくてはならないので、年数=ベテランでは決してないところが大変です。
入院患者さんには医師より長く接しているため、些細な変化にいち早く気付かなくてはならなかったり、リハビリや心のケアも考えなくてはならない。
また、薬剤の知識、検査データの見方、放射線科の知識など全てを総合して考えてみていかなければならないため、責任も重く、些細なミスが生命を脅かすことになるので緊張の連続です。
医師の動きを見て先読みしてアシストしたり、時には接遇面での立ち居振る舞いも求められ、なおかつ正確な技術も期待される。一度修得したものが永遠ではなく時代と共に手技や原理が変わることもあるため、常にアンテナを張っていないと置いていかれてしまう世界です。
指示されたことだけ、目に見えるものだけではなく、自分で考え、調べ、動けなくてはいけないため、ボーっとしていられないのはなかなか大変だなと思います。
体力的にキツイ
Yさん
(39歳・病棟看護師)
一番は身体面への負担が大きいことです。
介助を要する高齢者の患者さんが多く、移乗や食事介助、体交、おむつ交換等で1日中動き回り、勤務中に落ち着いてすわって記録を行う時間がなかなか取れません。
また、夜勤では数人の看護師でこれらの対応を行うことになるため、一人当たりの負担は更に大きくなります。
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Hさん
(30歳・病棟看護師)
夜勤を行っていると生活リズムも不規則となるため、十分な休息が取れないまま次の出勤日となることも少なくありません。
20代の頃はまだよかったですが、30代になり体力的にきつくなってきたので、そろそろ外来のみの病院に移りたいと思っています。
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「看護師」は精神的にも身体的にもご苦労の多いお仕事…。一方で、厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、2021年の看護師の平均年収は約499万円で増加傾向というデータも。自分や家族が病気になったら、入院したらと考えると、看護師さんの心身の健康は他人ごとではありません。皆さんが健康に働けるといいのですが…。
まとめ・文/暮らしニスタ編集部
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