身体の健康に欠かせない睡眠。最近話題の「睡眠負債」を抱えたままでいるとどうなるの?今回、「暮らしニスタ」編集部は、睡眠についてのセミナーに潜入してきました!
適切な睡眠をとらずに抱えてしまう「睡眠負債」
今回、編集部が参加したのは、江崎グリコ株式会社主催のセミナー「良いパフォーマンスを実現する最高の睡眠について」。
スタンフォード大学医学部精神科教授で、昨年出版された「スタンフォード式 最高の睡眠」(サンマーク出版)の著者でもある西野精治先生から、睡眠についてのお話がありました。
睡眠というと、2017年の流行語大賞トップ10に「睡眠負債」という言葉が入ったのが記憶に新しいですが、適切な量の睡眠をとらないままでいると、睡眠が足りていない状態がどんどん蓄積されていく、つまり「睡眠負債」を抱えた状態になってしまいます。睡眠不足は、日中のパフォーマンスを下げたり、病気のリスクを高めたりと、身体も心にもよくない影響を与えてしまいかねません。
寝不足によってどんな障害が起こるの?
睡眠には、脳と身体を休息・ホルモンバランスを調整・自律神経のバランスをとる・免疫力を上げる、といった役割があります。それだけに、きちんと睡眠をとるのはとても大切であり、睡眠が足りない生活を続けるのはかなり要注意といえます。
たとえば、睡眠不足は食べることを抑制するホルモンが分泌されないため、たくさん食べて肥満度が高くなり、高血圧や糖尿病など生活習慣病のリスクが高くなるのだそう。さらに不安障害などの発症率が高くなったり、睡眠不足は免疫不全や認知症、癌などの深刻な危険につながったりする恐れもあります。
睡眠時間が短い日本 東京の睡眠偏差値は最低?
「暮らしニスタ」読者のみなさんの中にも、仕事や家事、育児が忙しくて睡眠時間がとれない、ストレスが溜まって不眠気味…という方が少なくはないかもしれませんね。実際、日本人の睡眠時間は他の国と比較してもかなり短いのが実情のようです。
特に東京では、
・理想の睡眠時間=7.21時間
・平均の睡眠時間=5.59時間
と、「これだけ寝たい…」という睡眠時間に対して、実際の睡眠時間がかなり低いという結果に。
この東京の平均の睡眠時間はニューヨーク、パリ、上海などの主要都市のそれと比べても最も短く、つまり、日本では睡眠時間の理想と現実のギャップが、世界の中でも特に大きいということになります。
質の高い睡眠をとるにはどうしたらいいの?
質のよい睡眠を得るカギとなるのは、体温の上げ下げです。
人の身体の深部体温は日中高く、夜になると就寝に向けて下がり始めます。そして、深部体温が下がると、逆に皮膚の温度は上昇し手足が温かくなり、深部体温と皮膚温度の差が小さくなるほどに、人は眠気が増していきます。
この体内のシステムを理解して、就寝の時間に合わせて体温を下げる調節をしていくことがよい睡眠につながります。そのための方法として西野先生がすすめているのは、入浴、つまりお風呂に入る時間を活用すること。
人の身体の体温は一度上がると下がる性質があります。40度のお風呂に15分間入ると人の体温は0.5~0.6度上昇し、その後、90分くらいかけて元の温度に戻ると、入浴しないときと比べてより体温が下がっていき、このタイミングで就寝につくと、入眠が早く深い睡眠をとることができます。
アミノ酸が睡眠改善に効果が期待できる?
主催した江崎グリコからは、同社の実験で「アミノ酸等含有サプリメント」を摂取することで睡眠改善に有効である可能性が示唆されたとの発表がありました。
▲ 同社ではアミノ酸を始め、ビタミンB6、亜鉛などを休息時に摂りたい成分を配合した「エキストラ アミノアシッド」などを販売中。
適切な睡眠をとるのは、忙しい人にはなかなか難しいかもしれませんが、身体と心を健やかにしていくためにも眠るのはとても大切なこと。きちんと眠らないでいると、いつか深刻な病気を招いてしまうかもしれません。
今回、紹介した入浴の時間を調整する方法などを試したり、昼間の家事の合間でお昼寝の時間を少しだけとってみたりして、「睡眠負債」をためない工夫を少しずつでも心がけてみてはいかがでしょう?
豆知識:毎日14時間ベッドに入ったら、睡眠負債は解消されるの?
かつて人を毎日14時間ベッドに入れるという実験を行ったところ、睡眠量が以下のように変化しました。
実験前は毎日平均7.5時間眠っていた人を毎日14時間ベッドへ
↓
最初の日と次の日は13時間近く眠ってしまうも…
↓
1週間たつと、ベッドの上で3~4時間起きている状態が続く
↓
3週間後に睡眠時間が平均8.2時間に固定されていった。
この実験でわかったのは、平均7.5時間の睡眠をとっていた被験者の身体が求める睡眠時間は8.2時間であり、40分の睡眠負債を慢性的に抱えていたこと。そして、負債を解消するのに3週間もの時間がかかったということ。
睡眠不足、睡眠負債がたまっていくと1~2日長く眠っただけでは解消はできず、適切な睡眠時間に身体を安定させるためにはそれなりに長い時間が必要とされるようです。
平日の睡眠時間が比較的短く、お休みの日になるとたくさん寝てしまういわゆる「寝だめ」をしてしまう人は、その時点で睡眠負債の兆候があると考えたほうがよいのかもしれません。
フリーライター。エンタメやオタク系コンテンツを中心に仕事をしていますが、文房具や100均・300均アイテムも大好きです。
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