コラム

食ライターが選ぶ！旅館・ホテルの絶品お取り寄せグルメ5選

更新日：2018.02.27

旅館やホテルに泊まった時に、お土産コーナーで「朝食でお出ししている◯◯です」と書かれている佃煮やお菓子があると、つい惹かれてしまいませんか。多くの品が「お客さんの声に応えて」「飲食店からの引き合いが多くて」と、美味しさが評判になって販売されているものなので、味はお墨付き！
今回は、筆者が全国の旅館やホテルで出会った手作りのお土産グルメをご紹介。ネットでお取り寄せ可能なものから、電話注文しか受け付けないものまで、レアな品も登場します。

岬の宿が作る「鮑肝の醤油麹漬」（北海道・宮寿司）

函館から少し北西に上がった日本海沿い、上ノ国町にある「宮寿司」。岬に立つ一軒家の和風オーベルジュといった料理旅館で、すぐ近くの漁港で揚がった魚介類をふんだんに使った夕食が自慢です。

しかも岬の周辺は良質なエゾアワビの養殖場。このアワビの煮汁で炊き上げたご飯に、殻ごとアワビを1個のせた贅沢な「あわび飯弁当」が有名ですが、残念ながらこちらは取り寄せ不可（函館空港で４〜11月限定販売、または百貨店の催事に出品）。ですが、隠れた名物「鮑肝の醤油麹漬」はネットで通販可能です！

貴重なアワビの肝を自家製醤油と麹で漬け、添加物を加えず濃厚な肝の味わいをそのまま生かしています。お酒の供にもご飯にのせても絶品ですが、この肝の味が溶け込んだ醤油だけでもご飯が進むほど！冷奴にのせたり、寿司醤油に入れたりと楽しみつくせるのです。
ほかに「真ほやの塩麹漬」「アスパラジャム」なども販売しているので、気になる品はポチッと！
★岬の料理宿　宮寿司

賄いから始まった「島茶漬け」（長崎県・平山旅館）

長崎・壱岐島の「平山旅館」が作るのは、特産の鯛とイカを使った「島茶漬け」。見るだけでおいしさが伝わりそうなビジュアルです。もともとご主人が夜に賄いで食べられていたものを商品化したところ、テレビや雑誌で取り上げられ大ブレイク。今では生産が追いつかないほどだそうです。

女将と亭主が勝本漁協で競り落とした新鮮な天然真鯛と天然真イカをさばいて旅館秘伝のタレに漬け込み、急速冷凍をかけます。刺身でも十分美味しいのですが、こうすることで鮮度を保持。自家農園で採れた梅肉と、ワサビ、ふりかけがセットです。解凍してアツアツご飯にのせてお湯をかければ、コリコリしたイカと風味豊かなタイが口の中で美味しさのダンスを踊ります！

ゴマ醤油ダレのよく染みた味わいも絶妙。平山旅館では「燻製工房」というブランドも立ち上げ、サザエやアワビの燻製、さらには燻製しょうゆなども販売しています。
★平山旅館

老舗旅館オリジナルの「フレーバーバター」（北海道・川島旅館）

北海道稚内市の手前、日本最北の温泉郷といわれる「豊富温泉」。全国でも珍しい油の浮いた湯が特徴で、アトピーや乾癬などの療養に効果があると注目されている温泉です。

ここで約90年続く老舗「川村旅館」の若い3代目夫婦が先代からバトンを受け継ぎ、2016年にリニューアル。館内はモダンなバリアフリー空間に新装し、料理店で修業を積んだ大将による食事が楽しめるオーベルジュとして生まれ変わりました。

そして朝食に出すうちに評判を呼び、商品化されたのが手作りバター「バターフィールド」。豊富町の新鮮なサロベツ牛乳を使い、地元の食材を練り込んだフレーバーバターです。「うに」「鮭ぶし」「昆布」「山わさび」「いちご」「はちみつ」「ブルーベリー」など、しょっぱい系から甘い系まで多彩です。北海道のご当地ご飯「バターしょうゆめし」をこれで作ると最高。

ほかにも川島旅館は、とろとろで濃厚な白いプリン「湯あがり温泉プリン」のお取り寄せも人気です。
★川島旅館

クオリティ高すぎ！「森山のおんせんたまご」（福島県・ニュー扇屋）

どこの温泉でもだいたい温泉卵はありますが、福島県の土湯温泉「ニュー扇屋」では、「温泉卵のために温泉を湧かしているのでは」と思うほど（もちろん違いますが）クオリティの高い温泉卵を作っています。
ここは源泉。旅館の一角から湧くのは炭酸水素塩泉という塩分を含んだ温泉で、この天然の塩分が卵に浸透し、白身はほんのり塩味、黄身は甘味とコクが引き立ち、濃厚で食べ応えがある温泉卵ができるのです。

しかも扇屋には温泉卵専用のネットショップもあり、滋養卵の「ガンバ卵ショ」、特選卵を使った贅沢な赤玉「たまご美人」、じっくり1週間かけてスモークした冷製燻製卵「スモッち」、特撰紅玉を使用した燻玉「キミがいちばん」、さらには「卵卵ぷりん」「卵卵ぽてと」など、実にバラエティに富んだ卵関係商品を販売。

本当に「卵のために温泉を湧かしているのでは…」と疑ってしまいますが、源泉68℃の炭酸水素ナトリウム泉はメタケイ酸も豊富で、保温や美肌効果に優れているともちろん入浴も高評価です。
★森山のおんせんたまご

鹿肉のヘルシーな「ジビエカレー」（山口県・ホテル楊貴館）

山口県油谷湾温泉で、ホテルが地域と共同開発したカレーが話題を集めています。それが「ホテル楊貴館」が山口県と一緒に作った「ジビエカレー」。ジビエとは狩猟で獲った野生鳥獣の肉を指すフランス語。この地域では鹿が増えることで農作被害が発生し、その打開策と地域活性化のために鹿肉をカレーに生かすことに。

カレーのベースは山口県産ブランド地鶏の長州黒かしわ、また地域ブランドの玉ネギや塩を使用するなどヘルシー＆安全性にこだわっています。しかもグルテンフリーでバターも小麦粉も不使用。さらっとしているのにコク深く多層の味わいがあり、じんわりした辛さが特徴です。

こうしたヘルシー系カレーは印象が薄いことが多いのですが、鹿肉も柔らかく、ほかの肉にはない独特の風味があるので、筆者は自分用にも贈り物にもリピートしています。
★ホテル楊貴館